気配を隠し、観測をすることにした観測者は、面白そうな戦いや漁夫の利を得れそうな状況を探っていた。
『戦わないのね』
「バカ言え。こんな状況で戦えば無駄に消耗するだけだ」
簡単に勝つためにもできるだけ情報を集め、せめて終盤になってから動きたいと考えている観測者は、そのまま観測を続ける。
『この子達とかどう?』
「ん?一色 空とルミネ・シュネージュとエンキの戦いか」
チラッと見えた戦い合う三人の様子を見て、羊さんはそう提案した。それを聞いて観測者は、どれどれと目を向ける。
「一色 空は、斬撃系と魔眼系と移動系か」
『色々多かったから、まとめて改造したんだよね』
一番に目を向けたのは、二枚目の黒目で黒髪短髪の旅人風の男だ。細かい内容は教えてくれないが、観測結果と羊さんの口ぶりから厄介で強力なものに違いないと思う観測者。
「ルミネ・シュネージュは、存在の固定化ってところか?」
「一点特化でわかりやすかったわ」
次にルミネに視線をむける。その姿は色白で白の長髪の少女で、襟にファーの付いた白いロングコートを着ている。どうやらこの少女は、特化型で改造しやすかったらしく、心なしか元気そうな羊さん。
「エンキも特化型の炎熱系か。体を炎熱にして高速移動もできると」
「非実体ね。回避に特化してるから倒すの大変よ」
最後に見たのは、燃えるような赤髪が特徴で、和装をし太刀を構えた高身長の鬼人だった。そいつの能力を捉えた観測者は眉をひそめる。
「非実体は嫌だな」
「ん?トラウマでもあるの?」
「ちょっと昔にな。特に多元存在での非実体となると無敵感が凄いし」
「否定できないわね。攻略法知らなきゃ一方的になるから」
心底嫌そうに言う観測者は、三人の戦いの観測に戻る。
炎熱の波が周囲を焼き尽くし、一撃の斬撃がそれを斬り裂き、あらゆるものを貫く無数のビーズが飛び交う戦場。一瞬でも気を抜けばその先は死が待ち受ける激闘の中で、三人は中々勝負を着けられずにいた。
(困った。あの女が邪魔で鬼人に逃げられるな)
一色は、迫りくる炎熱を斬り裂きそう考える。彼の能力は、実体のない相手に強い能力だったが、単純に破壊が難しい物体を投げつけてくるルミネに困っていた。
(強化された測定眼である程度見えるが、どちらも隙がない。この炎熱の中じゃ、せっかく強化された世界の扉も使い物にならないか……さて、どうしたものか)
考えるが、妙案が浮かばない。他の乱入者を期待するのも手だが、各地で戦闘が起こっているので可能性は低く、能力によっては自身が不利になる場合もある。そこまで考え、横から飛来するビーズをかわし、目の前の炎熱を斬り裂く。
(あの鬼人、邪魔……)
目の前の獲物を、何度も炎熱せいで取り逃がす。それに嫌気が差して、調子よく高まっていた興奮が狂わされストレスが溜まるルミネ。
(侵蝕と制御で、せっかく、強くなったのに……)
ルミネの触れたビーズが白くなり始め、それを振りまくとともに完全に白化して飛んでいく。するとそれに触れたものは問答無用で貫かれ、少しの時間周囲を薄っすらと白化させる。
(……でも、私じゃあいつたおすの難しいし……)
周囲の気体や炎熱そのものを白化させて防御をし、足を進めながらそう考える。非実体との相性が非常に悪く、もし対象を白化させたところで、倒したのではなく封印に近いので点数は入らない。そもそも周囲の炎熱が止まると自分も閉じ込められることになるため、無暗に動けなかった。
(ああも簡単に非実体に攻撃できるとは、あの男は厄介だな)
エンキは、炎熱をまき散らしながらそう思っていた。多元存在にとって、無敵だろうが絶対だろうが非実体だろうが、それ単体ではどうとでもなるものでしかない。そこに技量が合わさって、初めて実力として発揮される。
(回避の余地はあるが、意識を割かれる)
非実体の場合はその能力が回避や受け流しに特化しているため、通常の攻撃では触れることすらできず、技を使っても高い確率で対処されてしまう。だが能力の場合はそうもいかない。技の上位互換なだけあって、明確に回避しようとしなければ危うい場面が多いのだ。
(あの女から仕留めようと思っていたのだが、どうにも難しそうだ)
相性的に有利なルミネを倒したかったようだが、一色は無視できない相手だと思い作戦を立て直す。
そして……
「あっ、離れた方がよさそう」
『そうね』
何かを感じ取った観測者は、激しくなる戦闘をよそに、さっさと退避するのだった、
少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?
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バケモノ
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凄く強い
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まぁまぁ強い
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普通
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弱い
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凄く弱い
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ザコ