~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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とりあえず観察2

 次の相手を探して移動していると、観測者は足を止めて気配をより周囲に溶け込ませた。

 

「どいつもこいつも血気盛んだな」

『あなたも抵抗しなきゃああなるのよ』

 

 荒れ狂う斬撃の嵐と、それに耐える三人の姿があった。

 

(斬撃を撃ってるのはギルバルト・ホーエンスってやつか。それで耐えてるのが、ミストレア、田中 圭一、デルサネスの三人か)

『斬撃王、ギルバルト。霧幻の魔術師、ミストレア。不死の傭兵、田中 圭一。死王デルサネスね。あと数歩近づけばギルバルトの斬撃範囲に入るから気を付けてね』

 

 観測者が読み取った情報をわかりやすくまとめる羊さん。

 

(こっちからの移動は難しいな。見るだけ見て遠回りしよう)

『あなたにはそれがあってるわ』

 

 そうして観測を開始するのだった。

 

 

 

「ふむ、なかなか倒れないな」

 

 上空から斬撃を撃ちまくっているギルバルトがそう呟く。

 

(量を重視しているとはいえ、質を疎かにしたつもりはないのだがな。あの娘には水で防がれておるし、男は斬り刻んでもすぐ復活。骸骨に関しては届きすらしてないように見えるな)

 

 優位に事が進んでいても決して油断しない。勝負事とは、気を抜いた奴から消えていくのだ。

 

(反撃は今のところ見られないな。余裕がないのか、様子見されているのか)

 

 一発でも当たれば切りくずされる可能性のある斬撃の嵐。対処できていても奥手になって、反撃の余裕がないように見える。事実防ぐ手段を持っていない田中は、傷だらけになりながら時には四肢や首が切断されても再生復活を繰り返して、ギリギリで耐えているように見えた。

 

(いや、どちらにしろ……)

 

 能力を強め

 

「すべて斬り刻めばいい」

 

 斬撃の嵐が一層強めようとした。

 

 

 

「すごい手数ね」

 

 ポツリとそう呟くミストレアは、吹き荒れる斬撃を防ぎながら、研究者である自身の思考をフル回転させながら現状の打破と解析を進めていた。

 

(この斬撃。斬撃同士が干渉しあって乱反射してる。それなのに威力がほとんど下がってない)

 

 無差別に発生し続ける斬撃は、お互いを斬り裂き分裂を繰り返し、空間を埋め尽くすまで止まらない。いくら一発一発が小さくても、圧倒的量で押し寄せてきていた。

 

(結界を出ればあいつみたいに粉微塵……)

 

 水で作った結界の中から、遠くでズタボロになっている田中のことを見る。

 

(空間の支配権を奪い取らないと攻撃どころか移動すら困難……ね)

 

 高い集中力の中、斬撃の軌道を観察し打開策を考え続ける。しかしどれだけやっても、同じ土俵に立っていないのが原因だと結論が出ていた。

 

(いいわ。そっちがその気なら……こっちも同じ手を使うまでよ」

 

 そう思った瞬間、ミストレアの水結界が流れを変えた。

 

 

 

「お、いおい。なんっだ、こりゃっっ……」

 

 斬撃で肉体をズタズタに斬り刻まれる田中は、怯みながらそう思う。

 

(俺が不死者じゃなきゃ血肉すら残ってないぞ)

 

 不死者である田中は、どうやっても死なず消えれない存在だ。例えこの斬撃の嵐が大会終了まで続いても、田中を殺すことはできないだろう。

 

(はぁ~、このまま消滅して死ねたらいいんだけど、できねえから絶対優勝しなきゃダメだしな。あいつらとも約束してるし)

 

 田中は“不死者同盟”という組織に属している一番の若手で、元の世界から40人近い仲間と共にこの大会に挑んでいた。目的はみんな同じで、完全に死に滅びること。生きるのに疲れた連中なので、こうやって死ねそうな場所があると、何も考えずに突っ込んできてしまうのだ。

 

(十分傷ついたし、いっちょやるか)

 

 そうして田中が体に力を込めると、斬撃の効き目が悪くなり見る見るうちに傷がなくなっていく。それと同時に田中の周囲が歪み出した。

 

 

 

「なかなかの手数であるな」

 

 死滅を纏い、それを周囲に振り撒くデルサネスは端的にそう思った。

 

(死滅で一定の威力以下の攻撃は完全に防げるが、これではこちらも動けん)

 

 あらゆるものを破滅減衰させる能力を持つデルサネスは、それをばら撒くことにより格下の攻撃を完全に防ぐことができる。だがそれ以上に斬撃の量が常軌を逸しているからか押されていた。

 

(中途半端な攻撃では話にならんな)

 

 試すまでもなくそれがわかるほどの実力。そう思いながら自分と似ているとも感じていた。そして何かを思い出したのか、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

(我がここまでせねばらなんとはな)

 

 死王として元の世界で頂点に立ってから長い年月が経ち忘れていた感覚を呼び起こす。

 

「久々にホンキを出すとしよう」

 

 適当にばら撒いていた死滅を操り纏う。すると効果が引き上がり、斬撃のみならずあらゆるものが届くことなく死滅した。

 

 

 

「やべっ!」

『あっ、避けた』

 

 何かしらの空間が広がり、観測者は急いで瞬動でその場を離れる。それが功を成し、世界の展開から逃れていた。

 

「田中ってやつの“戦争世界”か。巻き込まれたらただじゃ済まねえな」

『不死者の再生の際に生じるエネルギーを強引に抽出して世界展開するのよね。無尽蔵だから厄介極まりないわよ』

 

 不死者が傷つけば傷つくほど性能が上がり続ける能力を相手しなければいけない三人に、少しの憐れみを感じながら観測者は離れるのだった。

 

 

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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