~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

19 / 37
動き出す兵器たち

 空中で観測者と秋晴が漂う中、地上に一人の男が立って二人を見上げていた。

 

「何の用だ!邪魔しやがって!」

 

(あいつ、秋晴と同等かそれ以上の力を感じる!)

『糸永 縫人。異形族の糸使いね。あの子は大人しかったはずなんだけど……』

 

 秋晴が苦情を呈している中、観測者は情報を集めていた。それでわかったことは、自分より強いかもしれないということだった。

 

「アタシを置いて 楽しそうじゃない」

「だからなんだ!」

 

 糸永がニコニコとしてそう言うが、秋晴はイライラしている様子でそう叫ぶ。

 

「だから 混ぜてほしいな~って」

「無理だな!こいつは私の獲物だ!お前とやり合うつもりもない!」

 

 糸永は大人しそうな雰囲気だが、秋晴は真逆で電気をバチバチと迸らせている。

 

(獲物の取り合いか……それにあれは……)

『ここじゃあなたほどの相手は探すのが大変だからね。羨ましかったのかも。あとあなたの思う通りよ。抑え込んでるけど、戦闘狂が発症しかけてるわ』

 

 狭間の住人は、なんやかんやで戦闘狂だ。入るまではさて置き、一度スイッチが入ると気が済むまで止まらなくなる。糸永はその寸前の状態だった。

 

「そう 残念ね。三つ巴も いいと思ったのだけど」

「余計なお世話だ!」

 

 秋晴れにそこまで言われ、引き下がるとともに内面の闘争本能も収まりだす。

 

 

「あっ、そうそう。一つだけ忠告なのだけど……」

 

「なんッ!?」

 

「は?」

『来たわね』

 

 去る前に糸永は振り返り、何かを言おうとする。だがその前に秋晴が、上空から飛んできた何かを弾き飛ばして衝撃波と爆風が巻き起こった。

 

「鈍ったわね。書類仕事ばかりじゃ 仕方がないのだろうけど」

 

「あいつか~!」

 

 そう恨めしそうに言い放つと、秋晴の姿が消える。その瞬間にまた爆撃光が見えた。どうやら上空から攻撃してきた何かに、仕返しに行ったのだろう。

 

「あら?これは もらっちゃっていいってことかしら?」

 

「遠慮しときたいんだが?」

『完全観測切っちゃダメよ。一瞬でバラバラにされるから』

 

 警戒心を限界まで引き上げ、薄く張り巡らされた糸を把握していく。

 

「フフっ、冗談よ。横取りなんて しないわ。もったいないのだけど 次を探すとするわね」

 

 そう言うと、物欲しそうにサッと糸を片付けて秋晴同様その場から姿を消す。

 

 

「……はぁ~、どうなってんだ?」

『説明してあげてもいいけど?こっちの話だからね』

 

 呆れたため息をしながら警戒は怠らず、加速した思考の中で羊さんに説明を求める。完全観測のせいで、遠くの事を把握できないので仕方がないのだ。

 

 

『兵器たちが動きだしたのよ。それで乱入者……要は狭間の住人を排除し始めたわ』

「兵器が?……ああ、狭間産の 兵器か……」

 

 眉をしかめる観測者。

 

『観測機の件、相当来てるのね。まぁ当然と言えばそうなんだろうけど』

「まぁな。あいつの、あいつらのせいで……まぁいい。この大会に優勝すれば、解決はしないまでも多少はマシになるだろ」

 

 苦虫を嚙み潰したような顔になるが、それよりも今だと話を続ける。

 

『そうね。……でなんだけど、この大会会場には多くの施設や兵器があるわ。それは最初の観測で見えてたでしょ?それが参加者たちの影響で目覚めたのよ』

「それでなんで狭間の住人の排除を?あいつらだったら参加者こそ狙いそうだが?」

 

 機能停止状態だったとは言え、この会場には数多くの施設や兵器が放置された状態だった。それが戦の余波やちょっかいで目覚めたのだ。

 

『最初はそのつもりだったんでしょうね。でも狭間の住人に邪魔されたから、先にそっちの排除に乗り出したって感じかしら。特に上位陣の当たりは強いわ。あの子たち簡単に割り込んでくるから』

「あいつららしい」

 

 同族や同郷など一切関係なく、邪魔であれば排除する。内側や別世界の存在など、彼らからすれば貴重な情報源の塊でしかない。それの回収の邪魔をしてくるのであれば、全機能を持って排除に乗り出してくるだろう。

 

「この大会 本当に大丈夫か?」

『まぁ主催者はこれぐらい大丈夫だって思ってるわね。厄介な怪物や兵器は大会前に殲滅してるだろうし。料理で言うちょっとした隠し味程度の認識よ』

 

 これぞ狭間クオリティー。乱入者が来ようが兵器が起動しようが全く意に関しない。大会そのものを崩壊させる相手が来なければ、どうとでもなると思っているのだ。

 

「大会外は?」

『そっちは観測できてないのね。普通に大丈夫よ。主催者は契約を破るのを嫌うから』

 

 観戦者は厳重に守っているので特に問題ないらしい。格上が来ないように数々の対策を講じているのだろう。

 

 

『完全観測やめて見てみれば?そっちの方が速いわよ』

「ああそうする……ん?ホントにこれ大丈夫か?」

 

 観測者はとりあえず完全観測をやめ、全体の把握のために全体観測を使う。すると周囲の風景が鮮明に映し出され、カオスと化した現状が理解できた。

 

 その光景は、上空には人工衛星や飛行機が漂い、巨大なロボットや人型兵器が参加者を襲う光景だった。

 

「ごちゃごちゃだな」

『まぁ兵器は特注品出ない限り強くないから大丈夫でしょ』

 

 確かに強くはない。参加者や乱入者と違い範囲攻撃である程度蹴散らせるので、耐久面としては羊さんの言う通りだ。だがその代わりに攻撃面や物量などに特化しており、その差を埋めようとしている。

 

「施設に近づかなきゃマシなんだろうが……」

『いずれは外へ手を出すでしょうね』

 

 様子見状態であれば反撃しかしてこないが、相手の戦力を確認し次第 本格的に動き出すだろう。

 

『と言っても、その前に大半は壊されると思うから大丈夫よ。それよりも利用者の方があなたにとって厄介じゃない?』

「確かに……」

 

 不意を突かれた兵器たちでは上位の参加者にかなわない。範囲攻撃持ちであれば瞬く間に殲滅できるだろう。これで全体の半分以上は再起不能になる。だが問題は兵器を利用する者が出てくることだった。

 

「強化だけならまだしも、施設そのものを乗っ取られたら結構キツイぞ」

『現在進行形でやってる子がいるわね』

 

 そもそも施設が目覚めた原因である乗っ取り行為。これに失敗した為に連鎖的に他の施設が目覚めているのだ。タダでは転けない狭間精神が受け継がれていると言っていいだろう。

 

『で、どうするの?逃げる?待つ?』

「逃げるに決まってんだろ。待ってたっていいことない」

 

 百害あって一利なしと決め、丁度自身を取り囲んでいた世界も壊れたことから逃げを選択する観測者。

 

「100キロぐらいだったら空動で数秒もかからんし、さっさと逃げ――」

「ああぁぁッッ!!!」

 

 そこまで言いかけて、叫び声が聞こえた方へ振り向き

 

「なん、は?……グハッ!!?」

 

 吹き飛ばされてきた何かにぶつかり、一緒に結界の外まで飛んでいくのであった。

 

 




~おまけ~
・狭間産の兵器について
 多元存在と渡り合うために作られた超兵器。並みの世界では再現どころか解析すらままならない超技術の塊だが、多元存在からすれば便利であれ脅威ではないのが現状(同格での話)。だって殴れば壊せるレベルだから。
 ただし耐久面(多元存在基準)以外では驚異的な性能であり、一般人からすれば普通に脅威。殴って壊してくる戦闘狂どもがおかしいだけである。

・秋晴を襲った兵器について
・衛星型攻撃兵器『天撃』
・価格 47億円
・概要
 通常は静止衛星として機能し、攻撃の際は観測座標に対し即座に杭式物理破壊兵器を射出します。毎分12発前後の射出ができ、初速はおよそ秒速8キロメートルから、空間圧縮と力場制御による反作用などを利用し距離に比例し着弾まで加速し続けます。よって、距離に比例し火力が引き上がります。
 機体保護に関しましては、常時展開された空間歪曲結界により守られており、一定以下の攻撃を全てズラし当たることはありません。近距離戦に入られても、無数に備え付けられた極細次元光線により暴雨のような波状攻撃にて対処可能です。
 制作組織『西島プロダクション』より

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。