何かにぶつかり遥か彼方まで吹き飛ばされた観測者は、森が生い茂る中にポツンと立つ世界を支える支柱の一つに激突して、地面に転がっていた。
「う……な、なんだ?誰だ」
「うぅ……」
目を回している着物を着た少女を見て、即座に観測をする。
「乱入者……」
『結構飛ばされたわね。あ、この子は四季 秋奈よ。多分誰かに吹き飛ばされたのね』
どうしようかと悩み、とりあえず起こそうとなった観測者は、四季に近づこうとした。その瞬間――
「はッ!?す、すまない!急にぶつかって!」
「は、はぁ……」
ハッと目を覚まし、的確に観測者のいる方へ土下座をかましていた。
「この度はワレの不注意で迷惑かけてしまい誠に申し訳なかった!」
「それはいいんだが、誰に飛ばされたんだ?」
周囲も含め大体の情報は見れたので、それ以外を聞こうとする観測者。
「よくわからぬが、衝撃を扱う参加者だろうか。その者に吹き飛ばされたようだ」
「そ、そうか……ところでお前は乱入者だよな?」
一応聞いてみることにした観測者は、それとなく話を振る。
「はっ!申し遅れた。ワレは四季 秋奈と言う者だ」
「ちょっと落ち着け」
興奮が冷めない秋奈に、落ち着くよう言う。
「す、すまない。何分慌てるとこうなってしまうもので……」
「わかったから、あと普通にしてくれ」
変なしゃべり方する奴だなと思った観測者は、普通にしゃべってほしくてそう要求するが
『この子厨二病よ』
「少し落ち着いた。礼を言う」
「そうかよ……」
それは叶わず、立ち上がって礼を言われるだけだった。それに観測者は疲れたように諦める。
「……いくつか質問いいか?」
「構わないぞ。ワレの答えられることならなんでも答えよう」
見た目とそぐわない言葉使いと腕を組むその姿にやりにくそうにしながら、観測者は気になっていることを聞くことにしていた。
「まず一つ。お前たち乱入者は、狭間の住人はなんでこの大会に出た?」
「面白そうだったからだ。別世界の者との戦闘を目的に参加した。主催者は想定外だったらしいがな」
わかっていたが無茶苦茶だと思う観測者。そして主催者が誰かはわからないこともついでにわかり、誇らしげにしている秋奈を無視して次の質問に行く。
「二つ目だ。お前の知っている乱入者の数と強い奴を上げてくれ」
「いいだろう。大体300人程いるから長くなるが、大世渡 鏡華を筆頭に糸永 縫人、秋晴 日和、邪龍 偽音、風龍 空、釘崎 朴、雪原 鎖、紅月 光、睦月 七草、波辺 海人、霊山 みき、浮島 夕野、東雲 炎華、桜間 陽子……」
そうやって名前と大体の概要を聞いていく観測者。そして思ったのが……
(出会いたくないな)
『まぁ全員と出会うなんてことはないでしょうね。流石に』
話を聞いている限りだと、上げられた全員が90点以上で、およそ30人いるらしかった。これは非常に面倒なことで、観測者を超える実力者が最低でも30人はいると言うことに他ならない。
(なんせさえ乱入者以外でも100点は大体千人もいるんだぞ。90点台でも五千人強だ。あとはそれ以下とは言え、それでも苦戦しないかと言えば違うし……どうしたもんか)
悩む観測者。なりたての多元存在であれば、100点でも苦戦はするが勝ち目は大いにある。だが熟練者ともなれば話は変わってくるのだ。先の戦いを見れば一目瞭然だろう。
「と、こんなものだな。他に聞きたいことはあるか?」
「いやいい、じゃ……」
聞きたいことも聞き終えたしと、刀に手を添える。それを見た秋奈は驚き、一瞬で距離を取った。
「いきなりやり合おうというのか?」
「そうだな。じゃ、あやっぱいいや、色々と話ありがとな」
隠してはいるようだが、秋奈が冷や汗を流し戦闘態勢に入っていることを見破っている観測者は、刀から手を放す。そしてそのまま手を引き、秋奈と別れようとする。
「ちょッちょっと待った!ワレを置いていくつもりか!?」
「置いていくも何も、首取らなかっただけありがたいと思ってほしいもんだな」
別に戦うんならそれで構わないと再度刀に手を添えるが、そうじゃないそうじゃないと手を振る。
「そ、そうだ!自己紹介をしよう!名を名乗っただけじゃ足りないな!うん!」
「……まぁいいか。俺は観測者だ。この大会じゃ絶対優勝したいと考えてる。邪魔なら斬り捨てるからよろしく」
そう言うのじゃない 物騒すぎる!と言っているが、狭間の住人が何言ってやがると観測者は冷ややかな目で秋奈を見た。
「ワレは四季 秋奈!四季旅館 秋を司る王なり!得意武器は鎌で好きな食べ物は秋が旬のもの、特に炊き込みご飯だ!この大会には遊びで参加してるだけだから特に優勝とか狙ってないぞ!うん!」
テンパっているのが観測しなくてもわかる。
「え~とえ~と、あっそうだ!厨二病同盟にも加入してるぞ!かっこいいものとかロマンのあるものは大歓迎だ!」
「へ~」
得意武器である鎌を顕現させ、秋をモチーフとしたエフェクトを出し始める秋奈。どうやら能力を使って出しているようで、観測者の感想は“地味に実用性があるもの”とか“相性悪そうだからやっぱここでやっとくか?”とかだった。
「どうだ!かっこいいだろ!よし、もう友達だな!これからよろしく!」
「いやなんでそうなんの?てかなんでそんなに執着すんだ?」
あっさり否定され、崩れかける秋奈だったが、話せばわかるかも!とギリギリで元気を戻す。
「だって……秋晴さんの戦闘邪魔しちゃったんだよ!」
「あ~……」
秋晴からすれば、せっかく楽しんでいたのに衛星兵器に邪魔され、それを潰している間に秋奈に獲物を取られたようなものだ。秋奈は、二重でストレスの溜まった秋晴を恐れているようだった。
「格上に狙われたらどうなるか……大会中じゃ死なないからって出会ったら殺されるだろうし、大会外でもボコられるか嫌がらせされるかも……」
そこまで大人げない事はしないだろうが、嫌みごとの一つや二つは言われるだろう。あとは軽くイジられるぐらいだが、すごい かっこいいを主体とする秋奈からすれば致命的だ。
「だから一緒にいさせてほしいと?秋晴が来た時に自分に目が行かないように?」
「そ、そうだ!いやちょっと違うけど、やむをえんだろ!せめて会うまででいいから!頼む!もちろん責任も取る!」
これもこれでダメージは大きいが、一緒にいた方が秋奈にとって得が多いからそうする他ないのだ。
「随分と自分勝手だな。こっちの事情も考えないで。あとかっこよくない」
「うぐっ!」
精神ダメージを受ける秋奈。
「そ、それでも、それでもだ!頼む!役に立つから……!!」
「どうやって?」
仮に連れていくにしても、何かしら明確なメリットがないといけない。だから観測者は容赦なくそれを問う。
「ワレ程のレベルになると、半径10キロ、いや12㎞は探知が効く。これで即座に敵の位置を把握できるぞ!」
「俺は観測って能力あるから全部見えんだよな」
ガクッとくじけそうになり、次を即座に言う。
「じゃ、じゃあ複数戦にだったらどうだ!一体多はきついだろう!仲間がいた方がいいに決まってる!」
「実は俺の仲間が大会に参加してんだよな」
一緒に戦うかどうかはさて置き、秋奈を引きはがす理由になると、仲間がいることを言う。それを聞くと更に苦渋の表情になり次の、いや最後の案を出す。
「ワレといたら援護してやれるぞ!止めだってそっちのものでよいから!」
秋季領域と言う技で仲間の援護もできると言う秋奈。並みの参加者であれば翻弄できると豪語する。そして観測者の目を見て答えを待つ。
「……わかったよ。ただし、邪魔も手も出すな。手伝いが必要ならその時言うから」
「よしっ!よろしくな!」
そうして観測者との同行を勝ち取った秋奈は、ルンルンで観測者の元へと向かうのだった。
~おまけ~
・厨二病同盟について
かっこいい、すごい、ロマンなどを重要視する集団。自分が特別な存在だと思い込んでいたり なり切ったりしている奴も多く、まさに厨二病と言うにふさわしい集団。
ただ彼らの言う『別世界の知識』についてはあまり当てにならない。
少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?
-
バケモノ
-
凄く強い
-
まぁまぁ強い
-
普通
-
弱い
-
凄く弱い
-
ザコ