~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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観測機

 巨大なクレーターの中心で、銀色の源光刀を持つ無傷な少年……観測機が立っており、その視線の先には学生服のような服を着た男が息を上がらせ冷汗を流しながら刀を構えていた。

 

「この程度なら問題ないですね」

 

「クソっ、野郎が……」

 

 自分の力が通じない様子の男子学生は、そう悪態をつく。そして何かをしようと体内で莫大なエネルギーが荒れ狂う。だが少年は一切表情を変えずに――

 

「殺すッ!」

 

「うるさいですよ」

 

 源光刀を振り、衝撃波を掻き消し、寸前まで来ていた追撃の斬撃を受け止めていた。

 

 

「先ほどの50点も行っていない奴は当たり前として、これで70点なら、80点後半までなら大した苦戦もせずにやれますね」

 

「黙れっ!!」

 

 男子学生は、神速と言っても過言ではない速度で変幻自在の連撃を発動させ続けるが、簡単に受けきる観測機はどこ吹く風だ。

 

「井学 卓也さんでしたっけ?技能作成とは随分便利な能力ですね。他人の技を学習して自分のものにできる。それも改造も可能と。それも他人から盗んだものですかね?」

 

「っ!ッ!?」

 

 無限に続くと思われた斬撃は、観測機が少し手を加えた瞬間に一瞬で打開し、井学は転移らしき力で距離を取る。

 

「また仕切り直しですか?あまり時間を使いたくないので、さっさとケリを着けたいんですが……ね!」

 

「なっ!?」

 

 瞬動で距離を詰め、源光刀を振る観測機。その斬撃を咄嗟に防いだ井学は、簡単に押し負け地面を転がりながら吹き飛ぶ。

 

「まぁ参加者と言うだけありますね。多元存在にもなってますし、当然と言えば当然ですが」

 

 防がれた事と張り続けられている超重力が強まるのを感じ、平然と止めを刺すために近づきながらそう呟く観測者。

 

「っと、夢幻流とか言う奴ですか?」

「そうだッ!」

 

 倒れ伏す井学の姿が急に消えたと思ったら、観測機の背後から斬撃が放たれる。観測機はそれを回避し、斬り返しを行うが、斬撃が届く前に煙のように消え去り、死角から斬撃が放たれる。

 

 それを――

 

「こうですかね?」

 

「ガハッ!?」

 

 斬撃が当たるスレスレで同じ技を使い背後に回って、背中を斬り裂いた。

 

「回復ですか?再生ですか?まぁ何でもいいですが、しないのなら死んでください」

 

 首を斬り飛ばそうと源光刀を振る観測機。そして次の瞬間には

 

「なんッ!?」

「時間停止なんて見慣れてますから」

 

 完全復活して側面に回っていた井学を斬り飛ばす。だが井学も黙ってやられてる訳もなく、大地を斬り裂く斬撃を飛ばした。

 

「地裂斬ってやつですか。地面を削っているように見えて地面から生えている技ですね。受けるのに失敗したらって技ですが、まぁ壊せるのなら問題ないものです」

 

 それを安々と破壊し、急接近した観測者は

 

「初見殺しが得意なようで」

 

「これもッ!?」

 

 人一人を覆いつくせる程度のこじんまりとした火炎を押しのけ、逃げようとした井学の片腕を斬り飛ばした。

 

「クソクソクソォッ!!」

 

「乱雑ですね。技はどうしました?」

 

 逃げるのを諦めて、残った片手に握り絞めた刀で連撃を放つ井学。それは段々と激しくなり、片手で打っているとは思えないほどの猛攻となっていたが、苦肉の策では観測機の脅威にはならない。

 

(多少はマシになりましたか。凄まじい成長力ですね。まぁ、所詮はこの程度ですが)

 

 それはまさしく超成長と言えるほどのものだったが、すべて見えている観測機には、そんなものかと切り捨てられてる程度の事だった。

 

「っと。もう終わりにしましょうか。少々楽しくて時間を忘れるとこでした。やはり生物の成長は見てて楽しいものがありますね。まぁ僕もそうなったわけですが……にしても勿体ない。もう少し時間があれば多少はマシな戦いができたでしょうか」

 

 これは本心である。負ける気はないが、大会の後半戦で出会えたのなら、遊べるぐらいには成長していただろうと見ていた。まぁそこまで生き残れればの話だが

 

「舐め腐りやがってッ!!」

 

「おおっ」

 

 井学は観測機を押しのけ、一歩下がり、治していた腕と共に一刀流で構え

 

「受けてみろ!夢幻流 奥義 百華一線!」

 

 一瞬にして放たれた花のように見える幾何学模様が、観測機を包み込むように発生し、一斉に襲い掛かる。

 

「は?」

 

 だが技は空を切り、踏み込んだ先でバラバラになって崩れ落ちる。

 

「重なり合った別次元から放たれる百の斬撃と、自身の放つ一線」

 

 空動で斜め上に逃れていた観測機が着地し、井学を見下ろす。

 

「初見殺しってホント強力ですね。なんせ何もわからないんですから。……さて、次行きましょうか。時間は有限ですから」

 

 何もできずに消えゆく井学を放置し、次の標的の元へと行くのだった。

 

 




~おまけ~
・観測機について
 狭間世界最強格の施設、六大施設が一つ『観測機』。狭間世界が明確に別世界もとい内部世界の情報を知るきっかけであり、同時に狭間世界に甚大な被害を与えた存在が来る原因になった存在。現在めちゃくちゃ弱体化しているが、それでも今大会で最上位に入れるぐらいの力は保持している。
 なお羊さんに適当に調整され、狭間世界の人類種である機人族になってしまっている。

・六大施設について
 どこかの研究者や科学者などが作り出した、大規模かつ別世界に手を出すために作り出されたバカげた研究施設。名の通りその中でも上位六つが有名どころであり、その一つひとつが宇宙級の概念世界級に匹敵するほどのものである。

 唯一宇宙に進出した施設    観測機

 あらゆる境界を航行する戦艦  境界船

 虚空に平然と存在する超施設  虚構施設

 量子世界に樹海のように広がる 量子界樹

 時空の果てに拠点を構える   時空要塞

 次元の隙間に張り巡らされた  次元基地

 であり、今大会に使用された関連施設は『虚構施設』である。

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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