森を駆け抜け標的を見つけた秋奈は、剣を持った空色髪の少女の前に堂々と出た。
「ワレの名は四季 秋奈!四季旅館、四姉妹の三女!秋の間の王である!ワレは貴様に勝負を申し込む!いざ勝負!」
「え!?なっ!?」
そして名乗りを終えた秋奈は、さっそく相手に向かって攻撃を仕掛ける。
「ッ!?いきなりね!」
「そうでなくてはな!」
見せるための戦いな為、秋奈の獲物は観測者と同じ刀となっており、剣と打ち合って距離を取る両者。
「70点ね。しかも乱入者だけあって不意打ちも得意なのかしら?」
「すまないな。わかってると思っていたのだ。次からは気を付けよう」
挑発を挑発で返す秋奈は、澄ました顔で少女を見る。両者は警戒しているようで、どう攻めようかを相手の様子を見ながら慎重に考えているようだ。
(相手は70点の神系の存在か。名前は神薙 香菜。能力は蒼天と漂白。剣術と体術が得意で実力も確かに高いが……)
『秋奈ちゃんとどれだけやり合えるのかしらね?初撃はギリギリっぽかったけど』
隠れて様子を見ている観測者は、羊さんと話しながら大人しくしていた。二人の見立てでは、神薙が秋奈に勝つのは難しいと踏んでいるようだ。
そうしている間にも目の前の二人は動き出し、先手を放った秋奈の斬撃が神薙を掠める。
「剣を持っているという事は剣術が得意なのだろう?さぁ存分にその剣捌きを見せてみよ!」
「ッ!?」
次々に繰り出される剣戟にギリギリで対応してくる神薙は、焦りながらも形勢立て直そうと必死で剣を振るう。だが秋奈の方が一歩先を行っており中々立て直せないでいた。
(秋奈って剣術も行けたんだな。それらしい記憶はなかったはずだが)
『得意武器が鎌ってだけで基本何でもできるのが常識よ。どれだけ戦ってると思ってるのよ、あの子たちが』
得意武器以外をわざわざ使い必要がないと言うだけで、別に使えないわけではない。それに狭間の住人とそれらの戦闘の常識が違うと言うものある。
「やるではないか。剣術に関してはそちらが上か」
「じゃあなんで上回れないのよ!」
どうにか立て直して距離を取った神薙はそう叫んでいた。
「む~そうだな。まずそんな見え見えな攻撃は、対処できて当然だと思わないか?こんな感じに……」
「なっ!?」
一瞬で秋奈の姿が消え、寸前で突き出された斬撃をどうにか逸らす神薙。
「分かりずらい攻撃でなければいけないな。あと、そこ隙だらけなので殴らせてもらったぞ」
「グハッ!?」
強烈な腹パンをくらい木に叩きつけられる。それはまるで見せつけるように、まるで参考資料のような戦い方だ。
「ほ~、即座に斬り返しとは見事だな」
「見切ってから言うんじゃないわよ!」
これも観測者に見せるためなのだが、それは逆に神薙にも力を与える。同じことを、自分の才能とセンスと経験を織り交ぜアレンジして即座に死角から放ったのだ。しかし秋奈はひょいっと簡単に避け、打ち合いが始まる。
(才能を経験で簡単に埋め合わせてくるか。それと一つの技術に頼り切っていないから何でもできると。ヤベェな、あの時戦ってたら無傷じゃいられなかったかもしれん)
『倒せる自信はあるのね』
隙の無さを重視する狭間の住人は、その対応能力が異常に高い。秋奈にとって刀とは、あまり使ったことがなく使い手を見ていることの方が多い武器なのだが、実力の大半が才能に依存している相手であれば、簡単に埋め合わせできる程度には使い熟せるのだ。
『そもそも武器と体の特徴とか扱い方を知ってれば、大体使い熟せるのよ。そこに経験とかが入るから同格以上相手には、得意武器とか戦術以外使わないだけでね』
(確かにな。大体できても細かいところで足元掬われるから使わないのか。で、あれは、相手の動きが明確に見えるから才能の差を気にしなくていいと)
秋奈は見えているから、神薙の方が剣術の腕前は上だとわかったのだ。同時に見えているからこそ、どんなに剣術が上手くても、どうにでもなると言っているのだ。
『神薙は秋奈より速く動けるわけでもなければ、身体能力的に優れているわけでもない。才能とかセンスで上回っていても見え見えだから脅威にもならないし、逆に秋奈の方がそれを学んじゃうのよ』
(能力を使えばと言えば話は変わってくるだろうが、使える状況には見えないな)
秋奈と神薙の両者は、当たり前だが相手の能力がどんなものなのかは知らない。だが感知能力に軍配がある秋奈の方が有利であり、少しでも怪しい動きが見られたら即座にその手を潰しているのだ。
そんなことをしていると、秋奈は追撃を止め
「剣術の戦いはこの程度でいいだろう。能力を使ってみるといい」
待ってあげるよ、と無防備になったような態勢を取る。勿論そう見えるだけで、実際のところは隙などあってないようなものであるが。
「使わせてくれなかったくせに、今更なに?見下してるのかしら?」
「いやいや、そのようなつもりはない。ただ折角だし見ておこうと思った次第だ。なに、能力だけではなくゼンリョクで来てくれて構わないぞ。さっきのは単なる準備運動のようなものだろうからな」
一見挑発しているように見える文言だが、秋奈は本当にそう思っていた。そもそも秋奈は、能力の使用を邪魔しているつもりも見下しているつもりもない。ただ相手は剣術だけで戦ってきていると思っており、秋奈はいつも通り戦っているだけに過ぎなかった。
「そう、じゃあ今度こそ本気で全力で行かせてもらうわね」
「それは楽しめそうだ。ワレもそれに答えてゼンリョクを出すとしよう」
秋晴はすでに大体の技を出しており、神薙と観測者にはわかってもらえただろうと判断し、刀を鎌に変える。それを見た神薙は少し表情が歪みかけるが、すぐに戻しゼンリョクの戦いが始まるのだった。
~おまけ~
・厨二病あるあるについて
大半の狭間の住人は、不意打ちじみた攻撃をやることが当たり前となっている。隙を見せるような行為は、“来てください、狙ってください”と言っているようなものなので、“それぐらいわかってるんだろうな、対処できるんだろうな”と言う感覚で攻撃してきます。
ですが厨二病や自分が強者だと思っている奴はそんなことはしません。真正面から戦うことが多いし、中には攻撃を全て受けてくれる奴もいます。でも秋奈のように名乗りを上げるのは珍しい方。
少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?
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バケモノ
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凄く強い
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まぁまぁ強い
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普通
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弱い
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凄く弱い
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ザコ