~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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不可視の空間

 一見なにもなさそうな空間を見つめる観測者に、秋奈は不思議そうに尋ねていた。

 

「違和感は感じるが、何も見えないぞ?残滓かなにかではないか?」

「そう言う奴らなんだ。特定の対象だけを引き釣り込むタイプだ」

 

 秋奈には、観測者が見てるからあるんじゃないか?と見てから違和感を感じるのが限界だが、隠蔽された別空間では今も二対二の戦いが繰り広げられている。観測者にはそれがはっきりと見えていた。

 

「……確かに。だが能力で隠されると分かりずらいな。それに入り方もわからん」

「それは問題ない。考えてある。お前にも働いてもらうぞ」

 

 観測者に言われて注意深く観察して、やっとその空間の曖昧な境界線が見えていた。だがそれが限界で、その先の事は何もわからない。

 

「どうやるんだ?」

「完璧も絶対もない。それはお前がよくわかってるだろ。てかちょっと黙ってろ。入り込む隙を見定めなきゃダメなんだからよ」

 

 そう言うと観測者は能力を強めて、その先を見た。

 

 

 

 一面蠢くバラが咲き乱れる空間で、赤いマントをなびかせた勇者のような見た目の真剣を持つ青年が、暗殺者風の相手に剣を振り落とす。

 

「くっ!なかなか決まらない!」

「なんて威力してんだ!」

 

 振り落とされた剣による剣圧が地面を抉り、飛斬となった斬撃波がバラ畑に大きな斬撃跡を残す。その威力に暗殺者風の……カエデ・セブンは驚きを隠せないでいた。

 

「この空間めんどくさい!迷いの森ぐらい!どうするデウィル!?」

「少しは声を抑えろ!ブレイバ!にしても変幻自在で無尽蔵のバラにそいつの連携……厄介だな」

 

 角を生やした魔王のような男、デウィルがバラが生え変わり元通りになって行く光景を見ながらそう言い、その隙にカエデは距離を取りガンマンモードに切り替えて銃撃をする。

 

「花粉もそうだが遠距離もムリか……」

 

 銃撃は二人を避けるように軌道を描き、調整して強引に届かせた弾丸はブレイバに弾かれて終わっていた。

 

〈なら 近距離〉

 

 そう音が響き、バラがサポートから本格的に動き出す。それにより棘のある茎で突き刺したり巻きつけようと、全方位から攻め立てる。しかし即座にブレイバが剣を振り周囲の茎を斬り刻み、デウィルは魔法結界により身を守る。

 

「あぶねっ!急になにすんだ!」

「これも効かんか!」

 

 ドサクサに紛れ気配を消して接近したカエデが、侍モードで渾身の一太刀を放つ。だがスレスレで躱され、斬り返しを盾使いモードで吹き飛ばされそうになりながらも防ぎ、重戦士モードで攻めの姿勢に入り反撃を開始した。

 

「結構強いな!お前!色んな事できるのはすごい事だぞ!」

 

「近接じゃ一番の高火力モードを安々と打ち合える奴なんかに言われたかないわ!」

 

 

 止めどなく打ち合う両者の武器がぶつかる度に、重い衝撃と火花が散る。そんな中カエデは攻め切れない事に焦り、ブレイバは純粋無垢に楽しそうにしていた。

 

(あっちも攻め切れてない。成り行きであのバラと組んではみたが、やっぱこっちもあっちもあの二人とは相性は最悪だ。後の事もあるが、まずはこいつらを倒し切らなきゃ話にならないな)

 

 カエデが考える事は正しい。複数の分野で一流を誇るカエデだが、近接と剣術が超一流のブレイバには届かない。それを解消しようとこの空間を展開させたバラと組み、得意のチームプレイで戦おうとしたが……

 

(あのデウィルとかいうヤツが厄介すぎる。後衛として優秀過ぎる上に、今は止んでいるが支援役としても優秀。解析と魔法構築までして、近接も魔法ありきとは言え弱いわけじゃないとか……)

 

 得意技の効果が薄く、単純な物量で押し切ろうとしているバラだが、デウィルの編み出した魔法『燃える熱風斬』と『枯れ果てる領域』により斬り刻まれて塵に返されていた。しかも同時進行でこの空間の解析と新しい魔法の解析も進めている。

 

 

(どっちか一人ならどうにかッ!?」

 

「余所見はよくないよ!」

 

 刹那の隙を突かれ、体勢を崩すカエデ。そして続けざまに振り落とされる真剣を受け止めるが、力負けして武器が破壊されていた。

 

「くっ!ならッ!」

「これは!?」

 

 反動で後方へ下がると同時に工作兵モードでちょくちょく仕掛けておいた糸を引っ張り、ブレイバを絡めとる。

 

「なッ!こんなもッ!?」

「これで終わりだ」

 

 この程度ならすぐに斬られて終わるのは分かり切っていたのか、流れるような手つきで弓兵モードとなったカエデは、一瞬で極限まで引いた弓でブレイバの心臓をその矢で貫く。

 

「あっちも終わったか。じゃぁ……はぁ?」

 

 ブレイバがやられた事に動揺したのか、デウィルの手が一瞬止まる。その隙を突いて熱に耐性を得た赤黒いバラの茎が伸び、その身体を貫いていた。

 

 

「な、なんで?この空間は……いつの 間に……?」

 

 そしてカエデも観測者の軍刀により背後から貫かれており、バラの空間も押し潰されるように退場を開始したのだった。

 

 





 投稿キャラを使わせていただきました。

 ~おまけ~
・能力と技術の性能の違いについて
 能力≧技術である。同じ練度だと能力が優勢だけど、極め抜けば技術はそれに追いつく感じです。あとは完全に使い手や状況次第で、能力はカバー範囲が広いから基本有利になりやすい。

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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