~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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どこ行きやがった。

 山の中を歩く一人の女がいた。

 

「くそっ、あの野郎どこ行きやがった」

 

 それは秋晴であり、いなくなった観測者を探していたのだ。

 

「勝負を捨てやがって、やっと調子戻してきたところなのによ」

 

 人工衛星を撃墜させ、地上に戻った後に残っていた参加者を皆殺しにして結界から出てきた。秋晴からすれば調子を戻す程の戦闘ではなかったが、時間がかかって完全に見失ってしまっていたのだ。

 

「見つけたら絶対に仕留めてやる……ん?」

 

 そんな感じで草木を分けて歩いていると、一つの小屋を見つけていた。

 

「……いるな、強いのが」

 

 静かだが、いる。それもとびっきり強くて、厄介なのが……

 

「そっちから来るか」

 

 小屋の扉が開き、腕が太く手が大きい筋骨隆々の白いのっぺりとした黒い覗き穴があるだけの仮面をつけた三メートル近い大男が出てくる。服装は仮面と白い獣の毛皮フードを基本にボロ布の服に裸足、手首には材質不明の鉄製の手枷の様な物がつけられているだけの男だ。

 

 

「やるか?」

「そうだな。それが主人の命令だからな」

 

 見つけた参加者や邪魔者を適当に全員始末しろ。それが主人、この大会に呼び出した魔魅さんからの命令であり、奴隷である大山(魔魅さんが付けた仮名)はそれを実行するために、秋晴に襲い掛かる。

 

「なかなかの速度だ!」

「避けるか」

 

 瞬動を使ったのか、一瞬で距離を詰め拳を振るう大山。だが秋晴は回避し、握りしめた拳でゼンリョクで殴った

 

「ガッ!?」

「耐えられるだろ!すぐ沈むなよ!」

 

 空間ごとカチ割れ、怯んでいる刹那の内に殴打による空隙を叩き込み続ける。それにより吐血しながら吹き飛ぶ大山に狂気的な笑顔で迫る秋晴は

 

「なるほど!適応か!」

「っ!?」

 

 腕を掴まれ折られそうになるが楽しそうに、振り回し地面に叩きつけ山の斜面が吹き飛んだ。

 

「身体能力も再生能力も申し分ない。流石は95点だ。存分に付き合ってもらうぞっ!!」

 

 目が開けられないほどの雷電が迸り、大山ごと周囲が焼け黒ずむ。だが大山はすぐに再生していき、攻撃に対しての耐性を取得していく。それを見た秋晴は、顔面に空撃を叩き込んでいた。

 

「そんなに戦うのが好きかい、お前さん?」

「傷も浅いか、それに手はなっ!?」

 

 大山は手を放しておらず、傷も浅かった。そして今度は自分の番だと言わんばかりに秋晴を振り回し、喰らった威力よりも数倍にして叩き返す。

 

「いいなっ!」

「耐久イカれてんのか?」

 

 目にも止まらぬ速さで何度も何度も、地面や木々、岩に叩きつけ、時には尖った場所にも打ち込んだ。だが秋晴は、驚いているだけでこれと言ったダメージは負っていない。

 

 それどころか……

 

「ゼンリョク出せそうだ!」

「さっさと死ね」

 

 秋晴は振り回されながら体勢を整えて、大山の眼球へとその金属っぽく鋭くなった指を突っ込もうと伸ばす。それを掴んだ大山は、引きちぎろうと引っ張るが

 

「面白くねぇことすんじゃねぇよ!」

「チッ!」

 

 衝撃で手を放し手蹴り飛ばす。しかしそう遠くは飛ばせず、音速すら容易く捉え切る大山の動体視力が捉えきれない速度で使用された空動で懐に入られており

 

「おらっ!」

 

 重撃を最大で打ち込む。それにより体内まで満遍なく強大な衝撃が響き、周囲と共に全身が軋み口は勿論、目や鼻からも血が噴き出し、膝を着く。そこに顎に蹴りを入れて斜め上に打ち上がった。

 

「受け流したか」

「……久々にまともなダメージ喰らったぞ」

 

 すでに殆ど治っているとは言え、消え切らない口に付いた血を拭いながら立ち上がる。そして視認できる程強力かつ強大な静かなオーラを漂わせて、戦闘態勢に入った。

 

「まだ出せるのか?待ってやろうか?」

「いやいい。戦った方が速い。お前と同じようになッ!!」

 

 力を引き出すために追撃しなかったのを相手も気づいているようで、一気に力を引き出した大山は、瞬動で距離をゼロにし秋晴をぶん殴った。

 

 

「そうこなくちゃな!」

「反応してきやがるか!」

 

 瞬き一つの内に何百手も超える攻防が行われる。それにより地形は削れ、木々は吹き飛び弾け飛ぶ。

 

「私もまだまだだな!やっぱ鈍るとここまで弱くなるのか!」

「黙って戦えないのか!」

 

 オーラと電撃が飛び交い高速移動で動き回りながら、殴り合いだけで消えていく山々。秋晴が鈍っていると言うのもあるが、大山は学習能力が高いらしく、魔魅さんに教えてもらった一般流はすでに使い熟せるレベルに達していた。そのため実力の拮抗で衝撃が受け流されているだけである。

 

「久々なんだ!毎日毎日書類整理と人員の調整ばっかさせやがって!私の本業は戦闘職の始末屋だぞ!」

「知らねぇよ!」

 

 山々を超えそのすべてが破壊され、ドロドロに溶けてマグマと化していく被害が凄まじい戦い。拠点ではできない戦闘に興奮しきった秋晴は、大山でも驚くほどの速度でテンションを上げて戦っていた。

 

 

「武器使うぞ!」

(ぐっ!?こいつ!」

 

 超近接戦の殴り合いでは勝負が着かないと考えたのか、より威力の高い鎖を取り出し、距離を取ろうとモノを投げつけながら離れる大山へ撃ち出した。

 

 それは足に絡まり、引っ張られると同時に秋晴が近づき――

 

「ガハッ!!?」

「へばんな!」

 

 通り過ぎてまた引っ張られ地面に叩きつけられる。そして追撃として、背中に重空撃を叩き込まれ、背骨も臓器が一瞬でダメになっていた。

 

「離れっ!?」

「治るんだろ!消えるまで遊んでよ!」

 

 振り払い、跳び起きるが、その瞬間に首に何かが通り斬り落とされそうになる。それを支え、地面を重撃で踏み込み、接近と鎖を対処する。

 

 

(適応できるはずだ!なのにダメージが減らない!それに聞いてたが強すぎるぞ乱入者!)

 

 ギリギリで対応できる鎖の猛攻を受けながら、そう考える。確かに大山の「あらゆる事象に適応し、耐性や対応能力を上げ続ける」能力は非常に強力だ。だが多元存在になった以上、それは強力止まりだ。どれだけ強力になろうが、同格であると言う前提がある以上、突破法はある。

 

(暴力的だが技量は超一流かよ!適応した側からその隙を突くように!)

 

 大山はすでに秋晴の攻撃全てに適応している。だが、その度に構造の隙を突くように攻撃をされ、適応が繰り返される。それに単純に攻撃力が高すぎると言う問題もある。不老不死だからよいものの、そうでなければ負けるのも時間の問題だ。

 

(それにあいつのギアが上がる速度の方が速い!)

 

 乱入者一同は、単純な出力や能力であれば戦えば戦う程際限なく強くなる。同時に学ぶところがあったり、同格以上であれば学習もする。その上このレベルになると体力切れもない。なので長期戦にめっぽう強いのだ。

 

 

「おい!どうした!」

「動き回りやがって!」

 

 それに秋晴は動き回り、大山もそれに合わせて動かなければいけなかった。少しでも止まれば、驚異的な攻撃力の猛攻を受ける事になるし、大山も検証済みだが鎖は当たっても避けても受け止めてもダメだ。

 

「お?」

 

 ならと、あらゆるものを消し飛ばしていく鎖を避けて、オーラを刃状にし腕を振って飛斬を放つ。勿論この程度なら即座に、もう片端の鎖が来て破壊される。

 

「あ?」

「死ね!」

 

 だが秋晴が回転しながら鎖を放つ瞬間、その一瞬のうちに距離を詰めて、呆気ない秋晴の顔にオーラも全乗せしたガチの一撃を叩き込んだ。それは地面と挟む形で行われ、地面を何回も陥没させて、深い穴が出来上がっていた。

 

 

「これでも倒せないのか!」

「なかなかの攻撃だったぞ!」

 

 飛び上がり、首を鳴らす秋晴。その顔には傷がついた跡があるが、スッと治っていく。今まで一番ダメージが大きかったようだが、それでも許容範囲内。大山ほどではないにしろ、時間で治る程度のモノでしかない。

 

 

「ちょうどいい。あいつに使う前に試験運用だ」

「なっ!やめッ!!?」

 

 元々異次元の身体能力に磨きがかかり、呪いの緩和や能力のブーストにより遥かに強くなったハズの大山が危機感を覚える光球をサッと作り出す秋晴。

 

「耐えてくれよッ!!」

 

 勢いのまま解き放たれたそれは、星の存続が危ぶまれるほどの威力が込められた超威力の光弾であり、一瞬にしてすべてが白く染まったのだった。

 

 




 投稿キャラを使わせていただきました。

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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