秋を模した大森林の空間で、大洪水の激流が観測者たちに押し押せる。
「物量だな。厄介なのと出くわしたもんだ」
「ワレの領域を沈める気か!
それを鎌の一振りで割った秋奈は、続けて斬撃を分かれさせて、躊躇なくそれを消し飛ばしていた。
「消えんか!」
「生物まで出すか。深海世界だから当然か」
それでもより大きくなって押し押せてくる津波を二刀流にした大鎌で消し飛ばした秋奈は、観測者と共に飛び出て来た深海生物のような怪物を斬り刻む。
「直接叩いてくるから援護頼んだぞ」
「わかっているわ!界っ!」
世界が切り分けられたかのように境界線が現れ、それにぶち当たったものは押し潰れたり切断されるが、圧倒的物量に耐えられなかったのか、すぐに結界が割れるように破壊される。だがその一瞬で秋奈は観測者に恩恵と簡単な結界を張り送り出した。
「惑星規模の天災の深海竜か。点数は88点、星を沈める程の力がりますと。無視してくれればいいのに、これだから上位の世界の存在は……」
『力が集まった惑星であの規模となると相当だよ。大きさで言うと上はいるとはいえ、中身で言うと上澄みだね』
荒れ狂う海上を走り抜け、深海に潜む巨大な細長い竜を観測する。その大きさはまさしく惑星規模であり、並の世界なら移動するだけで大陸を沈められる程だろう。
(ま、邪魔するんなら殺すだけだ。あいつの持ってる点数ごと奪えるんだから願ったりかなったりだ)
『2000点以上持ってるもんね、頑張って』
狙いを定めて一直線に軍刀を振り落とし、海を割り落ちながら深海竜の元へと向かう。それを阻止しようと大量の狂暴な魚が宙へと飛び出し喰らいついてくるが、すべて斬り捨てられていた。
『深海世界。並みの存在じゃ、中に入った瞬間に水圧でお陀仏だね』
(説明どうも)
観測者は簡単に海を割っているが、この海の水圧は凄まじいもので、まるで深海をそのまま切り抜いてきたかのように表面付近でさえ軽くマリアナ海溝を超える水圧が発生している。そして中心部は圧力により氷のように固形化しているようだ。その最深部に新海竜は寝そべっている。
『全部吹き飛ばすことが出来ない以上、相手の土俵で戦わざるおえないね……』
「ああ……」
星の外側まで届き軽く隕石を両断できる水刃斬が上から降り注ぎ、あらゆるものを貫く水飛沫が隙間を縫って全方位から観測者へと届くが、普通に避けられ受け流されて攻撃に紛れながら気配を周囲と同化させて次の飛斬が放たれた。それによって深海竜のいる近くの深海部が大きく抉れ、やっと相手も動き出した。それにより更に多くの水が動き、すぐに観測者のいた場所が沈む。
『でも効かないんでしょ』
(チィ!当然だ!)
だが観測者は潰れない。すでに仕組みを理解し対策を用意していた。不利な事には変わりないが、攻撃を直接受けなければ大した影響ではない。
『一般流使えるんなら当然だけどね』
(ごもっともで!)
高速かつ大量に向かってくる深海生物とそこらかしこに漂う猛毒持ちのクラゲなどの生物を斬り刻み、深海竜の元へと距離を詰める。だが簡単には詰めさせてくれないようで、流石は深海の支配者と言うべき立ち回りだろう。
『あの子も言ってたでしょ?行動にもっと乗せなきゃ。乱入者ぐらい使い熟したかたら一動作に全乗せするのが当たり前よ』
(無茶を言う!)
斬撃系で言えば、飛斬 空斬 乱斬 曲斬とあるが、一動作の中でこのすべてを入れ混ぜて出せるのが秋奈の言っている領域の話だ。それが出来れば、この程度の群れはどうとでもなる。
『やっぱあなたも主力に重きを置き過ぎね。それ失ったらどうする気なの?』
(あいつに言われた事を繰り返すな!)
相手の土俵で戦っているのだから、流石の観測者も苦しい戦いになっていた。なんせさえ総量では負けているのに、相手は観測者を危険視して本気になっているのだから当然だ。
『と言うか、初手当たらなかったのそんなに辛い?』
(当たり前だ!あれが当たってりゃ、こんなに苦労することなかったわ!)
生物と激流のコンボで中々接近できない。その上相手は防御もガチガチに固めている。あの飛斬が当たっていれば、さっさと観測が済んで深海竜が体勢を立て直す前にやれたものの、水流などによる空間や認識の歪曲で当たらなかった。
『多元存在にも慣れてるし、深海竜も乱入者倒してるから、一般流は使ってくるに決まってるでしょ?』
(わかってる!分かりやすいもんな!)
やっと猛攻を切り抜け、観測で相手の隙と道筋を確認して空動で一気に駆け抜ける。それにより壁のようになった氷水へと空斬を連続して打ち込む。
『秋奈にやってもらった方が良かったんじゃないの?てか今のは空飛斬か尖撃の方が良かったと思うけど?』
(この空間で無茶言うな!あとあいつとこいつの相性は最悪だ!こいつはバケモンみたいな見た目しておきながら知性は相当高い!あれはちゃんと戦い方を弁えてやがる!それに勝てたとは言え乱入者には特に警戒してんだぞ!)
防御壁を破壊し、散らばった残骸が嵐のように飛び交う中、観測者は反撃しつつ距離を取ろうとする深海竜の流れを読み切り、飛斬を放つ。それが硬く柔らかい深海竜の体に巨大な傷を作り体液が噴出する。だがそれもすぐに治り、血により強く狂化された深海生物たちが襲い掛かる。
『確かにあの子じゃ相性悪いわね。善戦はできても押し潰されるでしょうし』
(ってことだ!)
深海竜は大暴れして更なる激流を生み出す。それに流され深海生物を斬り刻みながら、飛斬を連射する観測者は、安定してダメージを与えていた。この度に深海生物は強化されて厄介になり続けているが、これも観測のために必要な行為だ。実力者相手には隙を突いて情報を引き出すために、相手の策に乗らざるおえない場合もある。そして巨体すぎてこの作業だけで何十分とかかっている。
『近づかないの?突ける隙はいくらでもあるでしょ?』
(バカ言うな!あいつの体表近くに大量の深海生物がいんだぞ!)
息が上がる。観測者はこういう敵とも戦ったことは数多いが、それも多元存在になっていない超位存在しか戦ったことがなかった。いわゆる格下としか戦ってこなかったのだ。だから見えていても対応するので精一杯になりつつある。
『そう言えばあの生物たちも多元存在ね。簡単に倒せるとは言え、攻撃力は本物よ』
(だから困ってんだ!)
ここは多元存在しかいない場所だ。無双はできても、それは安全圏からのモノではなく、相手と同じ土俵で勝っているに過ぎない。なのでいつ反撃が届くかどうかわからないのだ。
『にしても、攻め切れてないじゃない。まさか怖いの?』
(当たり前だ!乱入者以外でこんなに中身が詰まってるのは初めてだからな!)
深海竜はその巨体で適当に動いているように見えて、的確に観測者を攻略しにかかってきている。飛斬が当たった際だってそうだったし、ああ見えて観測者の後に控えているであろう秋奈に対しての警戒も怠っていない。明らかな脅威を二人相手に、いつでも対処できるようにギリギリのラインで戦っているのだ。
『星の中核を統べるだけあるわね』
(そうだな!だがもいい!観測は終わった!)
そうして戦いは、決着へと向かうのだった。
~おまけ~
・一般流の使い方
参加者クラスなら一つ一つ使うだけならすぐに覚えられるから、そっからがスタートラインだね。
でも一般流は少ない動作に全乗せするのが本来の使い方だよ。だから相手からすれば、同じ動作で、てかただ普通に動いてるだけでなに飛ばしてくるかわからないガチャみたいなもんだね。経験すれば分かるけど、初見だと酷い技だよ。
少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?
-
バケモノ
-
凄く強い
-
まぁまぁ強い
-
普通
-
弱い
-
凄く弱い
-
ザコ