深海竜を倒した二人は、さすがに疲れたと秋奈の領域内で隠れて休んでいた。
「どうだワレの領域は、いい場所だろう?」
「紅葉が綺麗な世界だな」
二人以外誰もいない世界で、和風な小屋の前のベンチで団子を食べながらそう話す二人。
「そうだろうそうだろう。ほれ、好きなだけ食うがよい、いくらでもあるからな」
「遠慮なく」
いい場所だなと褒めた観測者に、機嫌を良くした秋奈は次々と団子や和菓子を取り出す。
「こんなに穏やかになれたのは久々だ」
「そうなのか?お前ほどの強者が?」
秋奈から見ても観測者は強者である。そんな強者が余裕がなさそうな事を言うのだから、少し驚いて話を聞いてきていた。
「ずっと戦っていたからな。何億年も、何百億年も、それ以上に長く」
「そんなに長生きしてたのか!?」
そうは見えないと、大きく驚く秋奈。
「まぁな。観測機が虚空の果てから来てから、ずっと戦っていた。始めはあいつを追い返すために、奪われたものを取り戻すためにな」
「観測機?ああ、六大施設の一機か。確かに奴らは強大だ。それも納得だな」
狭間世界でも六大施設の巨大さは知られている。理論上最高値と言われる連中の上位勢だからだ。
「そっちでも有名なのか?」
「もちろん。技術と研究の権化であり科学者や研究者の集まりよ。一番浅くても700億年前からその地位を崩した事がない集団よ」
狭間世界での700億年前と言えば、地球時間でおよそ1兆年前にも遡る程の長期組織だ。寿命に制限がない狭間の住人とは言え、その時間は非常に長い時間を指している。
「研究者……確かにその通りだったな」
「奴らは少々加減を知らないからな。利益と災害をばら撒くなんとも言えん組織よ」
不可能を排したような存在である六大施設たちは、秋奈が言った通りの連中だ。そして観測者もそれには強い心当たりがあった。
「観測機と木枯だったか」
「行方不明の六大施設の一機と一人だな。700億年前に真の宇宙を発見したと言ってから、行方知れずになったとか。まぁその後にこちらも内からの侵攻にあって、それどころではなかったと言う話だが」
狭間世界では有名な話だ。特に研究者関連にとっては悲劇的な大事件が起こった時期だった。
「何があったんだ?」
「詳しくは知らんが、めっちゃ強い奴に上位勢が負けて、六大施設やそれを筆頭にしていた科学者集団たちが大打撃を受けて技術力が後退したらしい。それに他にも色々あったって、黄金凶の連中が言ってたな」
狭間世界の大転機だった時期だ。そして狭間世界が、弱体化し、少し優しくなった事案でもある。この事態を苦々しく思う古い研究者は多いので有名な話だ。
「ん?」
「何か来た?」
ゆっくりとしていると、領域が揺れて何かが侵入してくる。それにより少し離れた場所が爆発し、土砂と爆風で巨大な柱が出来上がっていた。
「面倒な。少しぐらい休ませてくれよ……」
「まぁ戦場ってのはこういうもんだからな。さて、ワレの領域に無断で入り込んだのはどこのどいつなのか……」
二人は気配を探るが、その間も侵入者は影しく戦い続けて領域は破壊されている。凄まじいい破壊力であり、一撃一撃の攻防で木々が薙ぎ払われている。
「ん?」
「あ、」
「あ!やっぱり!秋奈ちゃん!」
一人の赤髪の少女が吹き飛ばされてきて地面をバウンドしながら近くの岩に叩きつけられる。それに追いついてきた一人の少女が、秋奈を見てうれしそうに話しかけていた。
「こんな所にいたんだ!奇遇ね!」
「姉上。いつも言っているが、領域を無暗に破壊しないでくれ」
着物を着た大剣と桜色の短髪が特徴の背の低い少女、「四季 春香」は秋奈の姉妹の一人だ。一番ちっちゃいが長女でいつも楽しそうにしている女の子である。そうやって普段は子供っぽいが、時頼見せるスッとした顔つきは美しくも人気が高かったりする。
「ん?そっちの男はだれ?まさか彼」
「協力関係にあるだけだ」
ふ~んとして観測者をジロジロとみる春香は、まいっかと言って、片手で振るった大剣で赤髪の少女「イスズ」の爆炎の一撃を受け止めた。
「なかなかやるね。じゃあもっと遊ぼう!」
「バケモノめ!」
失礼ね!そう返しながらイスズを撃ち飛ばす春香は、大剣持ちとは思えない速度でそれを追いかけて行く。
「ま、手は出さん方がよさそうだな」
「そうだな、ホントは外でやってもらいたいものだ」
激化する戦いを眺めながら、そう話し合う二人であった。
少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?
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バケモノ
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凄く強い
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まぁまぁ強い
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普通
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弱い
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凄く弱い
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ザコ