~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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それでもやっぱり?

 春香の戦いを眺めながらゆっくりしておこう、そう思っていた二人だったが、しばらくしてなにやら別の方向を向いた秋奈がまた顔をしかめる。

 

「侵食か。やってくれる……」

「黄金郷か。ゴール・ドレ・フェーブルって奴だな。得点は78点か」

 

 すべてを破壊困難な黄金に上書きし、それを自在に支配する存在。そいつが、領域を黄金に変えながらこちらに向かってきていた。

 

「強いしお前との相性が……」

 

「消えろ」

 

 その瞬間に、領域の一部が切り離され、それを包み込んだ結界が一点に向かってすべてを押し潰していた。

 

「お前……」

 

 まるで部屋に入り込んだ害蟲を潰すように、相手を始末した秋奈を少し引き気味に見る観測者。

 

 

「気を抜くな。まだ終わってなどいない」

「わかってるよ」

 

 一瞬にして姿を現したフェーブルは、手荷物黄金の剣で秋奈に斬りかかっていた。観測者はそれに横やりを入れて弾き返す。

 

「酷いではないか!いきなり終わらせようとするなど!」

 

 全身黄金の装備に身を包んだ、王侯貴族のような姿と物言いの金髪イケメンが距離を取りながらそう言う。

 

「知らん。今すぐ帰るのであれば見逃す、黙って消え失せろ」

「そうも行かぬのでな。貴殿らが溜め込んだその点数。私が貰い受ける事にしたのでな」

 

 当然と言わんばかりにそう言い放つフェーブル。

 

「そうか……では、始末してやろう。手加減は期待するなよ?」

「数で上回っているからもう勝ったつもりか?実に滑稽!その程度いくらでも覆して!こうやってな!『ノンブル ドール』!」

 

 地面に広がっていた黄金から、完璧で美しいと思えるような黄金の兵士が生えてい来る。美術品としても、一兵士や兵器としても完璧な仕上がりなのだろうと、一目でわかる完成度だ。

 

 

「あの男を相手しろ!私はあの小娘をやる!」

 

 そう指示した瞬間に戦いの火ぶたは切られ、急速に広がる黄金とフェーブルの攻撃を防いで吹き飛ばされた秋奈、飛び掛かってくる黄金兵を斬り裂く観測者により戦闘が始まった。

 

 

 

「この人形、再生するのか……」

『めんどくさいわね。黄金がある限り無制限で湧き出てくるわよ』

 

 新しい黄金兵が復活し、それを一瞬で始末するが、どこかで生まれた黄金兵が剣で斬りかかってくる。それを振り向きざまにかわし斬り落とす。

 

「足切能力か」

『邪魔になればそれでいいみたいなのね』

 

 倒すこと自体は簡単でも、次から次へと湧いて出てくる。高いだけで派手な能力を持たない観測者のような存在にとって、苦手なタイプだ。

 

「それにこれか」

『ええ』

 

 即座に生み出された黄金兵が攻撃を仕掛ける。まるで騎士のような見た目と戦い方で、参加者には見劣りするが決して弱いわけではない。だが観測者が言っているのはその事ではなく、広がり続ける輝く黄金の事であった。

 

「リュウール・ドレ、黄金の輝きか」

『直接触れるだけじゃなくて、光に当たるだけでもじわじわ黄金が侵食するのね』

 

 黄金兵を蹴散らしながら、その光を見る。これも嫌がらせと足切用のものだろう。通常時の参加者は大丈夫でも、それ以外は対策しなければ徐々に黄金に侵食され、最後には黄金の塊になってしまう。それ以外にも微弱な魅了のような精神影響も出ていて、思考妨害に役立っている。

 

「それであれが意図的に強めた、リュミエール・ドレか」

『直視しない方がいいわよ。下手したら脳みそやられるわよ』

 

 秋奈との戦闘で作り出した黄金の塔から、眩い光が放たれる。それにより広範囲の森が瞬く間に黄金と化し、観測者も目を背ける。その瞬間に黄金兵が死角も含めた三方向から一気に攻め立てる。

 

「囚われると厄介だな」

『近ければ近いほど強まるからね、力が』

 

 回避して通り過ぎると同時に前にいた一体を斬り裂き、追撃をかけて来た残りの二体も振り向いたのちに何度か打ち合って軽く葬る。だがその隙に何十体と生成された黄金兵が次々に連携をしながら襲い掛かってくる。

 

「数を増やせば性能が落ちのか」

『数百体も増やしてたらそうでしょうね』

 

 その数はすでに百を超え、やられた先から補充され増え続けている。個々の性能が下がったとは言え油断できないし、数がそろえばそんなものどうとでもなる。少数精鋭から軍に切り替えただけに過ぎない。格下や長期戦、足止めなら適切だろう。

 

「巻き込むのは無理そうだな」

『そうね。ちゃんと住み分けて戦ってるわよ』

 

 黄金の矢の雨が降り注ぎ、それを無視して剣や槍、斧などの武器を持った有象無象が襲い来る。観測者はそれを冷静に対処し、遠くの方で戦っている春香に目を向けるが、こちらの戦いを気にせずに戦っている。秋奈もフェーブルとの戦いに手こずっていて無理そうだ。

 

 

「終わらすか」

『観測は終えたものね』

 

 すでに観測は終えている。その一線を持って、最初に一体の黄金兵の制御が根本から断ち切られた。それに少し反応したフェーブルは、その隙を突かれ劣勢になり始める。

 

「仕組みが理解できればこんなもんか」

『筒抜けってホント怖いよわね~』

 

 向かってくる黄金兵を次々に切り捨てまくる観測者。まるで散歩しているかのような足取りで振られるその一つ一つが 増え続ける黄金兵に歯止めをかけていた。それどころか明らかに動きが悪くなっている。

 

「それでこれか」

『質重視。決着を着けに来たわね』

 

 ヒートアップする観測者を止める単に、自爆覚悟で連携も無視して黄金兵たちが襲い掛かる。それで稼げた時間は数秒にも満たなないものであったが、その隙に一体の黄金兵が出来上がっていた。

 

「自分の腹心を再現したのか」

『死人に縋るだね』

 

 そこにいたのは、黄金で出来た長身イケメンの軽装備の騎士様だった。作り出す際に感じ取った薄っすらとした思念を観測したのか、その情報は筒抜けだ。だが、だからと言って簡単に勝てる相手ではない。

 

 

「強いな」

『平然に言われてもね』

 

 長剣を構え、一瞬で距離を詰めてくる騎士。それを流しきれずに、地面ごと陥没する観測者。そして次の瞬間には両者の追撃がぶつかり合い、距離を取る。

 

「重い速い強いの三拍子だな」

 

 これが勝ちに来た思いの塊。失ったすべてを取り戻すための本気。

 

「だがそれがどうした!」

 

 騎士は踏み出し一瞬で距離を詰める。だがそれは観測者も同じで、目にも止まらぬ攻防が、抑えきれない余波が秋の森を蹂躙する。

 

「剣だけでよ!それが才能か!?天才って奴か!?」

 

 スピード特化の絵になる程美しく洗礼された剣術。それに対し、合理と効率を突き詰めた勝つため殺すためのだけの戦闘術。

 

 あらゆる手段を用いる観測者と剣一本で渡り合う天才騎士の姿がそこにあった。

 

『これ本体より強いわね。まぁあの子と戦う以外の全リソース注ぎ込めばこうなるの頷けるわ』

 

 羊さんがポツリとそう言う。事実、他の兵どころか、根本である黄金侵食自体も完全に停止している。理想と再現と強い思いが込められた腹心の再現体。フェーブルは、無意識にそれほどのものを作り出していた。

 

「強い!」

 

 体が軋む。速度もギリギリ。完全にステータスでは上回られている。フィジカル一辺倒だが技量も上澄みで、おまけに欠損どころか負傷させることすら困難。相性最悪な存在。

 

「マジで強い!」

 

 斬撃は木々を薙ぎ倒し、移動すれば地面が抉れ、衝撃は地形を容易く均してしまう。それはまるで誇張された伝説や神話のようなレベルである。

 

 しかし――

 

「が、それだけだ!」

 

 そんな激闘の中で、観測者は一筋の線を見出し、そこに向かって軍刀を振っていた。

 

『観測を終えてるんだから当然ね』

 

 それを受けた騎士は、一切の抵抗むしなく真っ二つに斬り裂かれる。そしてその機能は完全に停止し、ただの黄金の塊へと返り崩れ去った。

 

 

「あっちも終わったみたいだな」

 

 黄金の塔が崩れる同時に消え去るフェーブルの姿を見た観測者は、そう呟きながら合流のために足を進めるのだった。

 

 




~おまけ~
・観測を終えたの意味
 相手の情報を筒抜けにした上に、攻略の算段が付いたと言う意味。実行できるかどうかは観測者次第。
 因みに隙や弱点がなかったり極端に少なかったりすると、今回みたいにまずそれらを作り出すための仕掛けからしなければいけないので、長期戦になりやすい。

・黄金兵の性能
 見ての通りのインチキ性能。即死技である黄金化に対抗できることを前提にしても、並みのアニメ世界ならこれだけで無双できる。
 因みにフェーブル自体は、軽く見積もっても惑星級の戦闘力があるし、最高傑作の騎士はそれを上回る。

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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