~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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虚空での強化

 何もない空間でフワフワと漂う観測者。

 

「ここは……どこだ?」

「ん?ああ、気がついた?そのまま寝てていいよ。すぐ終わるからさ」

 

 観測者以外誰もいないはずの空間で、そう声が返ってくる。相手の正体どころか、姿すら確認できない状況で、観測者は即座に能力を使おうとするが……

 

「なっ!?」

 

 一切発動せずに、逆に力が抜けていく感覚に襲われた。

 

「無理に動かないでね。今調整中なんだからさ」

 

 相手はそれを見越してか、呆れたようにする。

 

「何が起こってる?俺は大会に出場するために移動していたはずだ」

「そうなの?わたしはただこっちの世界に干渉したから、こうやって能力の強化と最適化をしているだけよ。本来なら一瞬で気づかれる事なく終わるはずだったんだけど、どうにもあなたの能力……と言うか存在に引っかかってしまちゃって。だから今しばらく待ってね」

 

 そう聞こえ、なんとなく問題なさそうだと思ったのか、観測者はあっさり抵抗をやめた。

 

 

「お前は誰なんだ?それに調整ってされたあとはどうなるんだ?」

「こっちに来るんならわたしは調整する必要があるの。じゃなきゃ長く生きられないからね。わたしは“虚空の管理者”だよ。羊さんって呼んでね。みんなからそう呼ばれてたから」

 

 自己紹介をしてくる相手に、観測者は戸惑いを見せる。

 

「わ、わかった、羊さん。で、俺はどうなってるんだ?」

「別に虚空に入るだけなら何もしなかったんだけど、狭間世界に近づいたから多元存在にしてるの。まぁあなたは元からそれだったみたいだからする必要もなかったんだけど、強引になったみたいで無茶苦茶だったから干渉したのよ」

 

 どうやら存在を強化してくれているようだ。それもキチンとした形に整えてである。

 

「だろうな。俺は多元存在になっただけだど、観測機の実験での結果だ」

「へ~観測機ね。あの子が……だから多元存在になれたのね。内側じゃなれる子は凄く少ないからね」

 

 多元存在になれる者はごく少数だ。大抵の場合、下位存在から始まり、特殊なことが出来る中位存在、能力が持てる上位存在、より強力になった最上位存在、神などの領域である高位存在、そして規模や強さが規格外な超位存在になってしまうのだ。それに比べ多元存在とは、生存や存在維持に長けた者を言う。彼らはどこにでも存在でき、誰とでも対等に競い合え、何より内部構造が複雑で高密度すぎた。その上、多元存在は世界から嫌われているので、それになるものはごく少数だ。

 

 例えるなら、超位存在は派手で巨大な恒星だとするなら、多元存在は地味で小さなブラックホールである。

 

「こっちに来た奴らはみんな多元存在に?」

「そうよ。わたしが一人ひとり丁寧に多元存在にしてるの。今回は量が多くてちょっと手間取ってるけどね」

 

 大会の関係で、本来来れないはずの存在がこちらへとやってきていた。そのため量が半端なく多くなっているのだ。

 

「魔魅さんってやつが大会開くらしいから、それで量が増えてるんだと思う」

「そうね、あの子にも困ったものだわ。まぁだからと言って邪魔するつもりもないけどね」

 

 管理者は無闇に世界に干渉しないし、しても小出しでコソコソしている。これは管理者の力が大きすぎることや、出て行っても碌なことがないなどの理由があるからだ。あくまで世界の維持管理などが目的なので、余程のことが起きない限り表に出てくることはない。

 

「まぁ、そうだな。お前ら管理者は……」

「そうね。世界が維持できるか否かでしか動かないからね」

 

 例え惑星上のすべての存在が滅びようと、世界にとっては待ってればまた出てくる程度の感覚でしかないので、その程度では動かない。だが積極的に動く例外もあり、それは管理下に置いている者たち以外からの影響を排除する場合だ。

 要は外部からの影響を善悪問わず、世界の維持に邪魔や不要と思われたら動くのだ。これが本格的に、それも最大規模の概念世界で実行されたのが観測機の襲来だった。

 

 

「ま、そんな話はいいの、ちょうど調整も終わったところだしね」

「そうだな、ありがとう……そういやお前はどうするんだ?」

 

 体が薄れ始めた時に観測者は、次いでだしとこれからどうするのか聞いていた。羊さんにとって、観測者含め今回の参加者の多くは部外者にあたる。やろうと思えば強化などせず、全員消滅させることも容易いのだ。

 

「虚空はいわば、なんでもありの廃棄場みたいなところよ。だからわたしは最低限以外なにもしない。ただ見てるだけでいいの」

「そりゃな。ほっといても消えるわけだし」

 

 羊さんにとって、虚空へ入って来たものは等しく無に帰るものなので、手を出すまでもないと言ったところなのだろう。

 

「でも大会か、面白そうだからあなたを通して見てみようかしら?全体が見えても面白くないだろうし」

「え?それは……」

 

 最後にそう聞こえ、質問を返そうとする観測者だったが、その前に意識が途切れたのだった。

 

 

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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