~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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会場での会話

 観測者が気がつくと、多くの参加者がいる広く豪華そうなパーティー会場にいた。

 

「ここは……」

『大丈夫?』

 

「っ!?」

 

 急に脳内に声が聞こえ、周囲を確認する。だが観測者に話しかけている人物はどこにもいない。

 

『ん?ああ、ごめん。急に話しかけて、わたしだよ、羊さん……って言っても姿を見せてないからわからないよね。じゃ……これでよしっと』

 

(いや良しじゃねえよ)

 

 脳内に話しかけてきた羊さんは、観測者の視界内にその姿を表す。それは、全体的に白色が特徴の和服の寝巻きを着た羊の獣人だった。

 

『まぁ別にいいじゃん。とりあえずこの大会中はよろしく』

(……まぁいい。追い出せそうにないし、強化してくれたお礼も兼ねてな)

 

 少し考え、追い出すのは不可能だと判断した観測者は、早々に諦め許可を出す。

 

 

『ありがとー。でなんだけど、話しかけられているよ?』

 

「大丈夫ですか?ボーとして?」

「あ、ああ大丈夫だ」

 

 一瞬動揺してなにも出来ずに突っ立っていると、近くにいたキラキラした鎧を着たイケメン男に声をかけられていた。

 

「あんたも参加者か?にしても随分と多いな」

「そうですよ。ここにいる皆さんの多くは参加者らしいですね」

 

 非常に広い会場に大量の人がおり、ザワザワと何かを話したり、机の上に置かれた食事を楽しんでいるようだ。

 

「随分と強そうな奴らが集まってるな。こりゃ苦労しそうだ」

「そうですね。娯楽で参加してる人もいれば、優勝を狙っている人も多いでしょう。……そういえばあなたは、どんな世界から来たんですか?因みに僕は、魔物や悪魔とかが蔓延る世界から来たんですよ。そこで勇者ってのをやってたんです」

 

 キラキラした男は勇者だと名乗り、自身のいた世界について簡単に紹介する。

 

「へ~、俺は宇宙を旅してただけだから、特定の世界に属してたわけじゃないな。強いて言うなら、宇宙世界かな。適当に観測者って呼んでくれ」

 

 観測者もそれっぽい自己紹介をし、自身の存在を名乗った。

 

「観測者ですか、わかりました。それにしても宇宙中を旅してたって、いろんな世界を見てきたのかな?」

「ああ、そうだ。お前のいたような世界なら億千万と見てきたし、それ以外にも科学が発達した世界とか、妖怪や怪異がひしめく世界だとか、詰め込める要素全てをごちゃまぜにした世界とかも見てきたな」

 

 観測者は観測機との戦争のために宇宙中を旅して、様々な世界を見てきた男だ。こと見ることに関しては、最上位の一握りの中にすら入っている人物でもあった。

 

「そんなに世界があるんですか」

「お前たちのいる星ってのは、宇宙に浮いている無数にある星の一つだからな。俺はそこを渡り歩いていたんだ」

 

 そして同時に、世界を渡り歩くに値する程の実力者でもある。そうでなければあの観測機の相手など務まるわけがない。

 

 

「たくさんの星があるのは知っていましたが、それほど多かったなんて……世界は広いですね」

「ああ、広いとも。もう果てしなく続くんじゃないかと思えるほどにな。そんでもって、厄介で強い奴らも腐るほど見てきたな」

 

 勿論それだけ旅をしていれば、強者たちとの出会いも多くなってくる。俗に言う神やチート存在、銀河や宇宙さえも統べる者たちも見てきていた。

 

「因みに、僕はどれぐらい強く見えますかね?」

「……わからんな。ただ、俺が知っている奴らに一瞬でやられるほど弱くはないと思うよ」

 

 話が続いていく過程で、自分はどれほど強いか勇者が聞いてきた。それに対し、少し周りを確認した後にそう答える。

 

「ははは、そう言ってくれるとありがたいです。ここには、僕より強そうな人がたくさんいますから」

 

 勇者は、苦笑いを浮かべそう返す。

 

 確かにこの勇者の言う通り、ここには強者しかいない。最低でも神や超越者の領域に入っている者たちだらけだ。

 

 だが…

 

「ここに来て強化されてるだろ?そのお陰で、ここにいる奴らはみんなほぼ同じ立ち位置にいる事になっている。さっきも言ったが、一方的に蹂躙されるほど、お前も含めたここの奴らは弱くない」

 

 観測者は、規模や存在の格の違いで全てを圧倒する者たちを知っている。それの目の前だと、あらゆる能力や力が無意味になりかねないとも理解していた。だがここに来て話は180度変わった。なぜならあのときの強化で、その差の大半を埋められてしまったからだ。

 

「そうですね。アレのお陰で僕は強くなりました……だけど、それは彼らも同じです」

「……一つ勘違いしてるようだから言っておくが、あれは純粋な強化なんてものじゃないぞ。あれの真骨頂は、あらゆるものへの干渉権を得るというものだ。これのお陰で、どんな相手にも攻撃が通るようになったし、やろうと思えばどんなものにでも対応できるようにもなった」

 

 驚いた顔をする勇者に、観測者は続けて

 

「実感わかないと思うが、それは感覚や認識のズレが起きないように調整されてるからだ。まあ意識して使う分には自己調整は必要だがな」

「そ、想像以上ですね。実感としては、ただ強化されただけしか感じられなかったのに……」

 

 試しに少し能力を使ったりして確かめる勇者だったが、それでもイマイチ理解できないようで、難しそうな顔をする。

 

「使いこなすのは、少し難しそうですね」

「そりゃな。今まで感じ取ってきた情報量とは比べ物にならないほど、情報量が増えてんだから当然だ。まともに思考できてんのが不思議なぐらいだ」

 

『ん~、褒められると頑張ったかいあると思えて嬉しいね』

(ホント出鱈目だな。格を同じに出来るってとんでもねえことなんだぞ。強制的に技量とか経験、相性勝負に持ち込まれて、一方的な攻撃ができないって面倒この上ないわ)

 

 そんな事を話していると、会場全体に特有の音が鳴り響き、暗くなっていく。

 

「おっ、始まったか」

「そうみたいですね」

 

 周りが静かになり、二人も話すのを止めたのだった。

 

 

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ

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