~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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神速の槍使い

  観測者は気配を消し、急いで逃げていた。理由は簡単、近くに敵が迫ってきているからだ。

 

(やばいぞ、なんか向かって来てる)

『誰かと戦ってるから今はこっちには気づいてないみたい。巻き込まれたら面倒ね』

 

 そう会話している間にも敵は周囲を破壊しながら突き進んできており、観測者はふと足を止める。

 

『どうしたの?』

(……いや、少し見てみたいと思ってな)

 

 観測者はその名の通り、見る事が好きな奴だ。その為なら多少の危険もいとわないし、なんなら介入することも少なくない。

 

『逃げないとやられるかもよ?それに遠くから見るってのもあるけど?』

(それはさっき失敗した。だからその時はその時だ。ま、簡単にはやられないからよ)

 

 普通なら遠くから見たりするものだが、ここに参加している者たちはそう甘くはない。だから見るとしたら間近で見るしかないのだ。

 

『逃げようとしたり見ようと近づいたり、変なことするね』

(結果的に優勝できればいいんだ。判断なんてその場で変わる。それに観測機と戦ってる間はこんなことできなかったからな。息抜きも兼ねてだ)

 

 観測者はストレスが溜まっていた。別に戦闘が嫌いなわけでもないのだが、長い期間気を張って戦争していたので、そのストレスは尋常じゃないほど多いだろう。

 

(お?来た来た!)

『ま、わたしも楽しませてもらうね』

 

 そう言うと、いきなり目の前の風景が消し飛び、クレーターなのか抉れた大地が遠くまで続いている。

 

 

 

「おうおうおう、ここまで暴れて二人しか巻き込めなかったか。点数も増えてねえし残念だ」

 

「こ、こいつ……!」

「君か、いきなり攻撃してきたのは!」

 

 ボロ付いた二人の少女の前に立つ、槍を持った男。その禍々しいオーラに怯まず、二人は戦闘態勢に入る。

 

「耐え抜いたお前らに敬意を表して名乗ってやる。俺は邪神教 第十二席 神速のルイスだ。お前らも名乗るといい」

 

「私の名前は……ミツヒデ……」

「私の名前はユキだよ……」

 

 三人が名乗り終わり

 

「ではやるとしよう、せいぜい楽しませてくれよ!」

 

「「っ!!?」」

 

 一気に戦闘が始まる。

 

 まず最初に動いたのはルイスだった。神速の名の通り誰よりも早く槍を突き出し、回避したミツヒデの背後を抉り取る刺突波を連続して二人に浴びせ続ける。

 

(破壊力ヤバイな。流石は速度支配系の能力だ)

『速度は攻撃力に直結するからね。それにしてもあの二人もやるね』

 

 だが二人も負けていない。ミツヒデは自身と二刀流に雷を纏い、ユキは刺突を剣で受け流しながら氷の大地を広げて対抗していた。

 

(雷と氷か、規模もそこそこでいい感じだな)

『ここに来れる時点でね。それにわたしが調整したんだから当然よ』

 

 ルイスが刺突ではケリが付かないと見て、一気に距離を詰める。それに反応した二人も、反撃の為に動き、激しいせめぎ合いが起きていた。

 

 雷撃の光が周囲を苛烈に照らし、氷の大地がすべてを凍らせ次々に氷の柱や欠片が発生する。それを圧倒的速度でかわし、破壊し、二人を押し始めるルイス。

 

(拮抗……してるようには見えないな。ルイスにはまだ余裕がある)

『そうみたいね。まだ自分にしか影響出してないし』

 

 二人は全力で戦っていた。やれることできることを全て出し切り、初対面ながら連携まで高レベルでこなしている。だがその二人をもってしてもルイスには届かず、余裕を見せつけられていた。

 

(精神的に来るだろうな。見透かされたら終わりだってのに)

『仕方がないよ。存在の格は同じでも、その中身の実力までは同じになってないから』

 

 どんな相手にもついていけ、どんな現象にも反応できる。それは絶対をなくし、理不尽を極限まで薄めることが出来るが、あくまでも一方的にやられない勝負になるレベルまで引き上がっているだけであり、中身までは保証されていない。その性質上純粋な力の差があった場合、どうしても後手に回ってしまうため、その差が勝負にじわじわと出てきており、二人は焦りを誤魔化そうと攻撃が激しくなる。

 

 

「随分と粘るな。だがこれならどうだ?」

 

「なッ!?」

「グハッ!?」」

 

 そんな時だった。ルイスが能力を使い槍を振り切ったのは……

 

「まだまだ!」

 

 一瞬にしてすべてが吹き飛び、大爆発と共に二人にも大きなダメージが入る。さらに追撃として斬撃は放たれ、防ぎはしたが大きく後退する二人。

 

「減速世界」

 

(うおっ!?)

『これはまた』

 

 即座に反撃をしようとした二人だったが、そうはいかず一気に動きが鈍る。そしてルイス以外のすべてのものの速度が、際限なく減速し続け始めた。

 

「速度が全てだ。強さに関係なく俺より遅いんじゃ話にならない」

 

「「ッ!?」」

 

 回避も防御も間に合わず、遠距離からの刺突波を喰らわせ二人は体が削られる。それに対抗しようと必死に次の行動をする二人だが、多少マシになった程度では開き過ぎた速度差は埋まらず、問答無用で削られ斬り裂かれと血飛沫が空中に残る。

 

(こりゃ時間の問題だな。まだ手札もいくつか残っててこれかよ)

『加速世界と本人の超加速ね。前者は全てのものを加速させて崩壊させる技で、後者は己の身を破壊兵器化させる超強化。どっちも厄介だけどあなたならどうにかなるでしょ?』

 

「ああもちろん――」

 

 抵抗むなしく鈍くなり続ける二人に、ルイスが止めを刺そうと槍を振るった。

 

 だがそれは届かず

 

「観測は終わっている」

 

「なっ!?貴様!?どこから!!」

 

 観測器の刀に弾かれるのであった。

 

 




 応募キャラを使わせていただきました

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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