~異次元大会~作者と愉快な仲間たち(乱入者視点)   作:バトルマニア(作者)

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うまくいかない

 

「ん?終わったんですか?」

「ああ、お陰様でな。わかると思うが、礼としてお前を強化しておいた」

 

 それを確かめるように軽く体を動かし、アルトリアは調子がよさそうに頷く。

 

「ありがとうございます」

「いいんだ。さて、とりあえずここから離れよう。他の参加者が来るかもしれない」

 

 チャラ男に関してはほっといてもいいだろうと思った作者は、そのままこの場を離れようとするが……

 

「そうです……ね?」

「どうした?」

 

 反応が鈍いアルトリアに、内心焦りながらそう聞き返す。

 

「いえ、ちょっと違和感がありまして」

「強化の影響かもな。ところで……」

 

 記憶をいじくったことに気付いたのかと冷や汗を流しそうになるが、少し安心する作者。そしてすかさずその話題から話をそらそうとしたその時

 

「……強化以外に何かしました?」

「いやなに……っ!?」

 

 しらばっくれようとする作者に、雷撃の混じった斬撃が放たれ、作者は即座に距離をとる。

 

 

「やってくれましたね」

「……はぁ~、もっとうまくいくと思ったんだがな。やっぱ苦手だ」

 

 さっそく支配が解けてしまったことにため息をつき、作者は構えなおす。

 

「あなたは危険です。ここで討たせてもらいます」

「はっ、できるもんならどうぞ」

 

 アルトリアが一気に距離を詰め、それに合わせて作者が振り落とされた刀を掴む。その瞬間、莫大な衝撃と閃光があたりを包み込んだ。

 

「なッ!?」

「どうした?攻撃が効かずに驚いてんのか?」

 

 無傷の作者に驚くアルトリア。それどころか刀はしっかりと掴まれており、少し動かすだけでアルトリアは体勢を崩してしまう。

 

「ま、おとなしく沈んでろ」

「ッ!?」

 

 そのまま拳が振るわれ、何かがつぶれる感覚とともに木々をなぎ倒しながら吹き飛ぶアルトリア。

 

「な、なんて重い……一撃を……」

「意識保ってんのは褒めてやる。だがそれじゃ何もできんよな」

 

 アルトリアがギリギリ意識を保っているところに作者が現れ、顔面に手をかざす。するとゆっくりと沈み込むように手が入り込んでいく。

 

 

「なっ!?ガァ!!?」

「おとなしくしろ」

 

 より深く書き換えるために強引な手法をとる作者。それに抵抗するアルトリアだが、ダメージが大きくまともに動けない。

 

「っ!?抵抗の仕方も知らねえくせに……これだから多元存在は」

 

 強い意志や根本にはほとんど手出しができない。たとえ実力が天と地ほど離れていても、そこには手が出せず、上書きしたところでそんな薄っぺらいものでは時間の問題だ。それでも、あらゆるものを度外視すればできないことはない。

 

「どうやって攻撃を無効化したのか教えてやろうか?いや、問題形式にしよう」

「っっ!!?」

 

 作業を進めながら作者はそう話し出す。

 

「お前の記憶にも入れたが一般流の中に“無動”と“乱動”って技がある。程度が低けりゃ一方は受けやすくなるだけで、もう一方は単にブレて見えるだけのもんだが、それを極めれば一瞬だけどんな攻撃でも受けきれたり回避できるんだよ。どんなけ強力でも、持続がなけりゃ通じねえ」

 

 自身が使った技の説明を続ける作者。

 

「ま、隙を突かれりゃ無防備になるっていう弱点もあるがな。で、どっちだと思う?」

 

 笑顔でそう聞く作者に、アルトリアは苦し紛れの攻撃を放った。だが全くの手ごたえがなく、空を斬ったかの感覚がアルトリアを味わう。

 

「そんな無理に出された攻撃が通るとでも?まぁもしくらっても俺にはこれがある」

 

 そう言い作者は、コートを軽く捲って腰につけているカードデッキのようなものを見せつける。

 

「“身代わり紙”って言ってな。俺の負った不都合を肩代わりしてくれんだ。スゲーだろ?これがある限り俺は無敵だ」

 

 自慢げにそう言い、苦し気に目を見開くアルトリアに更に追い打ちをかけた。

 

「で、俺がこんなことを話してる理由は、お前の隙を狙っての事だ。どうやらうまくいったみたいだな。因みに答えは、どっちもだ。受けた時に無動とさっきの攻撃で乱動をな」

 

 アルトリアの瞳から光が消え、虚ろになっていく。それを確認した作者は、安堵した顔になりこう思った。

 

(成功してよかったー!しくじってたらもっと面倒なことする羽目になってるところだったな、うん。やっぱ賭けはするもんじゃないな。身代わり紙の消耗もヤベーし。ま、やらなきゃ勝てん場面多いからやるけど)

 

 内心と外ずらはだいぶ違うようだ。

 

「とりあえず色々仕掛けるか。こいつらは暴走確定だが」

 

 無力化と支配は同義ではない。単に邪魔をしまくって動きを妨害したり誘導しているだけで、なんでも言うことを聞く人形を作っているわけではないからだ。そのことから、防衛本能からくる暴走が一番手っ取り早く再利用できる手段となる。

 

「俺も支配ができたらいいんだけど、消去でも上書きでもなくて、あくまで書き足しだから無理があるんだよな。やりようはあっても割に合わんし、なにより無茶が通じないってのには変わりないし……」

 

 ブツブツ呟きながら作業を進め、二人に条件を書き込んでいく。

 

 そして――

 

「よし、五分後または外部刺激があった場合に即座に暴走っと。あとはあの施設だな。ちゃちゃっと終わらせて巻き込まれないように逃げねえと」

 

 半壊した施設に足を運ぶのだった。

 

 




 ~おまけ~
 重撃……一度に二発以上の衝撃を放つ技。そのままなら打ち出した衝撃が対象を襲い、衝撃を重ねるようにして打ち出せば、超強力な一撃を繰り出せる。

 無動……一瞬動けなくなるが、あらゆる攻撃を完全に受けきることができる。失敗すると無防備になる。

 乱動……存在をブラすことにより、一瞬だけあらゆる干渉を受けなくする。失敗すると無防備になる。

 身代わり紙……作者のインチキ無敵術の一つ。これがあればどんな不都合も、一回につき一枚でなかったことにできる。その上量産も簡単で攻撃の質によって紙の壊れ方が違うので、どんな攻撃をされたのか大体わかってしまうクソ性能を誇っている。しかし攻撃の大小にかかわらず消費されたり、持続攻撃には弱い弱点がある。

 情報過多……作者が相手を無力化する際によく使う技。これを食らった相手は、混乱するほどの情報量を受けて身動きが取れなくなる。一発の大きさではなく量によるチマチマとした情報攻撃なので、それを超える外部刺激が起こると即座に解除される。

 強制暴走……多元存在は強引に捻じ曲げられそうになると自己防衛として暴走する特性がある。それを利用して暴走を誘発させる技。見境がなくなるので暴走前に逃げておかないと、仕掛けた本人が真っ先に襲われる。


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