~異次元大会~作者と愉快な仲間たち(乱入者視点) 作:バトルマニア(作者)
参加者を殲滅した作者は、一息つきながら道具の補充をする。
「中々に楽しめたな」
そう思い返し、あの堕天使の急成長ぐわいを確かめるために本を開く。
「狭間細胞も因子を持ってないのにあれほどとは……多元存在ってだけでな」
狭間の住人は全員が例外なく多元存在だ。なので純粋な多元存在の情報は貴重だった。細かい編集が必要だろうが、恐らくこの本一冊を研究者どもに売れば、軽く数億は稼げる程度には……
「まぁ上澄みを集めてきてるってのも大きいだろうが……」
様々な理由が入り混じってこうなっている。それは理解しているが、これから先こういう相手が多くなってくると考えると、作者としては微妙な気持ちになる。
「戦いもいいんだが、情報も欲しいし」
ただ戦いたいだけの乱入者であれば、喜ばしいのだろうが、作者にはネタ集めと言う目的がある。だから参加者が強くなりすぎて、情報を抜き取る暇がなくなれば困るのだ。
「ん~、ん?」
そこで何かを感じ取り、そちらを確認する。すると遥か彼方から高速で何かがこちらに飛んできており、数秒もせずに近くにまでそれが来た。
「久しぶりだな!作者!」
「お前は……」
そして話しかけてきたそいつは、古い友達にでもあったかのように親しく話しかけてきて、作者は誰だったかと記憶を探る。
「見た目が多少変わってる……と言うより若くなってる?みたいだが俺にはわかる。雰囲気からして作者だろ?俺だよ俺、鈴木だ。鈴木 賢治。いや~ホント久しぶりだ。そんであの時は悪かった」
「鈴木 賢治?」
困った顔ををして、誰だったかと思い出そうとするが、なぜか思い出せない。だがどこかで会ったことのある既視感だけはあり、不思議そうにするのが限界の様だ。
「あれ?覚えてない?確かに随分会ってなかったし、短い間の付き合いだったけど、結構仲良かった気がするんだがな。ほら、一緒に色んな放棄施設行って仕事しただろ?で、最後には虚空へ発射された奴だ」
「ああ、そうだったか?」
とりあえず話を聞くことにした作者は、相打ちをしながら鈴木に話させる。
「金がないってずっと言ってたからな、あの時のお前は。だから小稼ぎがてらにバイトしてたんだよ。ほら、一緒に兵器とか同業者に追い回されてただろ?いやあれは欲かいて上位の施設行ったからなんだが……」
「そうなのか……?」
放棄された施設から機械などの金目のものを集める仕事を一緒にしていたのだと言う鈴木だが、作者は一切思い出せず困り果てる。
「容量もよくて強くて、でも口数が少なかったな。クールなんだか口下手なのかはわからなかったが」
「そうなのか……」
そこはあまり変わっていないと思う作者。いや、能力で改善したが、内面は大して変わっていないと言ったところだろう。そして疑問に思ったことを口にした。
「俺は強くねぇぞ」
「……確かに、今のお前は昔みたいに強くなさそうだな。若くなったからじゃね?」
若返りの方法などいくらでもあるので、そのせいではないか?と言う鈴木。なんせその大半は、そう言うデメリットがあるものばかりだからだ。
「まさかそのせいか?記憶ないの?」
「人違いの線は?」
どれだけ記憶を探っても作者の中には鈴木の記憶はない。なので人違いじゃないかと言うが……
「ないない。気配がほぼ同じだし。模倣品って言った方がまだ説得力あるわ……そういやお前分身もできるって言ってたな。その線か?」
「いやできるが……そんな都合の良いもんじゃねぇぞ」
自分の分身を作り出せるものは存在する。だが完全に自立行動できるほどの全く同じ存在や、調整された存在などは非常に少ない。中には独立して別の存在になるものもいるが、もちろん作者にはそんなことできはしない。強引に理由付けしても、他人にされたことぐらいしかないだろう。
「ん~、じゃあやっぱ人違いかね?そもそも3000万年前の話だし……流石にとは思ったけど、お前を見た瞬間に、生きてんじゃん!?と思ったんだけどな~。人違いか~」
「3000万年って、そんなの研究者とか上位の怪物レベルの話だぞ」
いくら寿命に限界がない狭間の住人とは言え、それでも100年後生存率は1%を切るのだ。そこまで生き残った実力者も、10倍年数ごとに100分の1の生存率でふるい落とされ続ける世界なので、安全地帯にいるか相当な実力者でなければそれほどの長生きはできない。
「まぁ似た奴はそれなりにいるし、そう言うこともあるか。じゃあさ、友達になってくれるか?」
「いきなりか。まぁいいけど……」
そう言って作者は、違和感を覚える。初対面ならこんなにフレンドリーに話せないのにと……だが、きっと自分も成長したんだとポジティブに捉え話を続ける。
「よし、じゃあ改めまして、俺は鈴木 賢治だ」
「俺は未崎 作者だ」
別になんてことない挨拶。知人からいきなり友達へと昇格しただけの話だ。コミュニケーションが得意なやつなら、性格不一致でもなければこうなると言う典型例。作者はこういう事を幾度となく体験してきたが、それでも発生したモヤモヤは消えなかった。
「名前も同じなんだよな~。でも別人か……」
「どうかしたか?」
鈴木がボソッと何かを呟き、作者はそれをなんだと聞き返す。
だがその前に
「いや何でも。そんなことより……っと無理だったか。逃げきれたと思ってたんだが……」
「……兵器に手を出したな」
次元が歪み、その先から何かが出てくる。
それを見た鈴木は苦笑いをし、作者は呆れた顔をした。
「ちょっと昔の癖で、ハハ……」
「仕方がない……やるか」
本来なら逃走案件なのだが、なぜかほっとけないと思った作者は 戦闘態勢に入る。その瞬間に、世界が大きく割れ、そこから漏れた激しい光が周囲一帯を包み込むのだった。
~おまけ~
・狭間の住人の寿命について
不老長寿で老死はしない。だが世界自体の致死率は高く、100年後生存率は1%を切る。そこまで生き残った実力者も、10倍年数ごとに100分の1の生存率でふるい落とされ続ける世界なので、何かしらの対策を取ったり安全地帯にいるか、相当な実力者でなければそれほどの長生きはできない。
またこれは狭間の住人だけでなく多元存在すべてに言えることだが、自身よりも密度の低い世界へ行くと、回復手段に乏しくなるので、弱体化の末に餓死のような状態になる場合がある(それでも長寿なことには変わりない)。
そしてそれを対処しようとすれば世界へ大きなダメージを与えかねないので、速攻で排除対象にされることがほとんど。