~異次元大会~作者と愉快な仲間たち(乱入者視点) 作:バトルマニア(作者)
観戦を楽しみながら飲めや歌えやの騒ぎが起きたり、賭けやケンカなどをして会場が騒がしい中、霧原さんはいつものように、霧で分身を作り宿の仕事の延長線上でせわしなく働いていると……
「なにしておるんじゃ、あやつら?専用の端末何ぞ用意して」
「さぁ、聞いてきてみてはどうじゃ?こっちは仕事しておるから」
迷惑三人衆は、自分たち専用の端末で何かを見ていた。それを怪しげに眺める霧原さんAと霧原さんBは、片方が三人衆の元へ向かい、もう片方は分身を増やし仕事へと戻る。
「お主ら、何を見ておる?」
「霧原さん。ちょっとこれ見ててさ」
「この子よ。私の助手の」
「何言ってんだ。こいつはオレの弟子だぞ」
一瞬、お前ら何言ってんの?そっちこそ。みたいな雰囲気になりかけたが
「はぁ、機道のやつか。なんともせわしなく動き回る奴よ」
霧原さんが呆れたようにため息をつくと多少は大人しくなる。
「アタシたちが改造してやったのに、見てよこのザマを」
そこで端末を持っていたアカネが、霧原さんに機道が映る映像を見せつける。そこには溢れれる力を制御できずに暴れまくる機道の姿があった。
「そうだな。オレの取り付けてやった装置を使い熟せてないとは、随分と未熟な奴だ」
アオイがヤレヤレと煙草を吹かしながら言う。
「肉体面でも万全にしたつもりなんですけどね」
ミドリが何が悪かったのかと静かに考え直していた。
「まぁいずれはお主らと同じ領域に辿り着くであろうから、そう焦らずともよいとは思うがの」
恐らくロクなことしかしていないのだろうが、いつもの事なので霧原さんはスルーしていた。
「だと良いんだがな」
「まぁそうね。気長に待ちましょう」
「何百年でもね」
いつものように納得するが、それはそれとして改造やちょっかいはされ続けるだろう。機道のように格上に好かれた奴はこうなりやすい。
そんな話をしていると……
「あ!いいな~!私にもそれ貸して!」
「む、秋森か?久しぶりだの」
何処からともなく元気いっぱいに首を突っ込んで来た狐人の女性『秋森』を止めた霧原さんは、まぁまぁと秋森を落ち着かせる。
「ちとせちゃん、久しぶり。帰ってきたの?」
「珍しいですね。帰省するには早かったと思いますが?」
「弟が変な大会に出るって聞いたからね~」
ニコニコとしながら、アカネに端末をねだる秋森に
「ちょっと用意してやるから待ってろ」
「ありがとう!アオイちゃん!」
アオイが溜息をつきながら端末の予備を取り出して来て手渡す。
「いつものことだが、その呼び方やめてくれねぇか?」
「ごめんごめん。ついねっと、出た出た」
軽く謝りつつささっと弟を見つけ出す。
「あ~残念!戦い終わった後か~」
「余裕そうなのを見るに格下が相手だったかの」
目立った負傷も息切れもなく刀を鞘に仕舞い、消えゆく相手を確認していた弟の姿を見た二人はそう言った。
「基礎だけで大技持たないくせによくやる」
「斬り刻むだけなら刀一本で十分でしょ。面白みに欠けるのはそうだけど」
「守君は堅実だからね」
ちとせの弟である『守』は、派手な技やあっと驚くような技を好む迷惑三人衆とは違い、基礎を大切にする堅実家なやつだ。だが彼女らからすれば面白みに欠けることでも、実力は確かなものなので認められてはいる。
「守は真面目なんじゃよ。お主らと違ってな」
「うんうん、料理もおいしいし、仕事もたくさんしてるしね」
姉であるちとせは旅人として出ていったが、弟の守は宿屋の従業員として働いていた。それに比べて迷惑三人衆は、宿屋を勝手に改造するわ壊すわ変な実験するわで、迷惑を煮詰めて固めたような奴らだ。
「人的被害は出してないじゃん」
「そうだぞ。ちゃんと片付けも修理もしてるだろ」
「後始末はキチンとしてますよ?」
「そうだが、そういうことを言ってるだけではないわ」
そこまで悪いことはしていないと主張する三人に呆れる霧原さん。周囲の事を気にしない利己主義者であればすぐに排除できたのだが、彼女らはうわべ上だけとは言え、一応周囲を考慮できるちょっと危ういだけの個人主義者と言うギリギリのラインを彷徨っているだけのやつらなので、排除は難しいのだ。
「まぁまぁ霧原さん。今はこの大会を楽しもうよ。せっかくの祭りごとなんだからさ」
「む、そうじゃな。仕事もある。こ奴らの対処は後でもよかろう」
不満そうな三人をほって霧原さんは仕事に戻り、秋森は三人の中に入っていき祭りの続きを楽しむのだった。
~おまけ~
・秋森 ちとせは、薄い橙色の髪と目をした一本の刀を携えた和装の女狐の獣人族。
弟の様子を見に帰って来たやつ。普段は各地を旅している、元気一杯な陽キャ。