転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
驚くに間もなく、目の前の黒球体は……
「いきなりだが転生できるけどする?」
「は?」
世間話でもするかのように話しかけてきていた。
「キミは死んだんだよ。で、ボクがそれを見つけたから転生させてあげるってこと。わかった?」
「え?」
さらっと説明しているが、男の方は何が何だか思考が追いついていないようであった。
「死因は、ゲーム中の心筋梗塞ってところかな?」
「ッ!?」
そこでやっと自身の状況を思い出したのか、気分が悪そうな顔をして頭を抱える。そんな男の姿を呑気に見ながら、黒球体は
「VRゲームって凄いね。肉体の意識飛ばしてゲームするなんて、そんなに楽しいんだ。しかも最高難易度で遊んでるみたいだし、得意なのかな?」
「楽しいというか、現実がつまらないと言うか。でも最高難易度で遊ぶのは楽しい。スリルがあるし、生きてるって感じがるから……って!何なんだよ、お前!?」
VRゲームをしている途中に死んでしまった男は、やっと思考が追いついたのか突っ込んでいた。
「お~、いい反応するね。ツッコミ役に向いてそうかな?」
「そうじゃなくて!答えてくれ!」
無論そんなツッコミにも黒球体はなんてことないように受け流して、質問に答えようと考え込んだ。
「ボクは……何だったかな?覚えてないや。随分と前に本体を壊されてから思い出せないんだよ」
「何かしらの残留思念ってことか?」
どうやら黒球体は、大昔にその大本を滅ぼされ散り散りにされたようだ。そのせいで上手く昔のことが思い出せないようだった。
「そうだね。細胞単位で木端微塵にされて分かれちゃってるから個体ごとに差はあるけど、ボクはその中でも記憶が残ってる方だよ。だからこうやって世界をぶらつきながら自分の細胞を集めてるんだ。そのついでに面白そうなヤツを転生させてるって感じかな」
「面白そうなやつって……でも転生させてくれるならありがたいな。じゃあ元の世界へ……」
復活の過程で暇になった時に、見つけた才能ある相手を転生させているようだ。それを聞いた男が少し苦笑いをするが、すぐに要求を言おうとした。
「あ、そういうのは無理だよ。回収終わって離れちゃったからね。その時にキミを見つけたんだよ。流れから外れたキミをね。よく無事でいられたね、普通なら消えているよ」
「助けられたのか?ありがとう?……てかまさかファンタジー的な世界へ放り込まれるの?俺今まで高度な文明に支えられて生きてきたようなヤツなんだが?いきなりサバイバルとか無理よ。助けられたとこ悪いけど、すぐ死ぬよ」
元の世界への転生は無理だと言う黒球体。なぜならその世界にはもう、黒球体の細胞がないからであった。そこで助けられたことに気づいた男は、一応の礼と、自分には過酷な世界は無理だろうと諦めかける。
「まぁそこは俗に言うチート能力とか、高い基礎能力とかでどうにかなるとして……」
「なるの!?そんなんでどうにかなちゃうの!?知識とか、経験とかは!?」
心配している男に、黒球体は楽観的に能力与えるから問題ないと言いきる。無論それに驚く男。
「うん、それなりの能力はあげるよ。知識とかもどうにかなるでしょ、まぁ容量次第だけど……ボクが見た感じ、どんな世界に行っても多分問題ないと思うよ。まぁ場所によって詰むだろうけど」
「流石にそんな場所には送らんでくれ。最初の生存ぐらい保証して」
危険な世界でも、スタートラインがキチンとしていれば問題ないと言われ、男は絶対に変な場所に送らないでと念押しする。
「そういやキミ、難易度が高いほうが面白いって記憶があったね。確かにそういう世界は色々あって楽しいよ。少なくとも飽きは来ないかな」
「それはゲームでの話だけど……てか現実だったらすぐ詰んじまいそうだな。……いや、チート能力貰えるんだったらアリか?」
黒球体は男の記憶を見てポツリとそう言う。すると少し躊躇したようだが、特殊能力がもらえるならと強気で要求することにした。
「それはキミが決めるとして、どこか行きたい世界があるかな?一応、ボクの細胞がいる世界には飛ばせるからね」
「じゃあ、科学とか機械が凄く発達した世界がいいな。それと他種族とかいれば尚の事よしって感じ」
どこに行きたいか聞いてくる黒球体に対し、男はすぐにそう答える。文明が発達してれば前世のような生活が出来るだろうし、異種族もいれば創作物のような楽しみも出来る。もし危険な世界でも、高い能力は保証されているのだから問題ないだろうと少し安易に考えていた。
「はいはい、じゃ難易度は?高ければ高いほど基礎性能上がるけど?」
「もちろん最高難易度で、そんでもって強力な力とか特別な力とかも」
黒球体の言っていることは間違えではなく、基準が上がれば初期値も高くなるのは当然の話であった。とは言え男は転生できるほど特殊な人間なので気にしていない。
「うんうん、分かった。じゃ行く世界は『狭間世界』でいいか。もちろんその世界では強力な能力が開花するようにしよう」
「普通の異世界とは違って珍しそうな世界だな。楽しみだ」
そうして男は、転生準備をするために詳しい話を聞くことにするのだった。
~おまけ~
世界の難易度
超低難易度……才能の有無関係なく不自由なく生きていける。
低難易度……才能か運があれば豊かな生活が送れる。
中難易度……才能か運があれば生きていくのに困らない。
高難易度……才能と運がなければ普通の生活が送れない。
最高難易度……才能と運があっても危うく感じる。