転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
鉱納と小嶌は拠点としているビルで、寝転がったり椅子にもたれかかりゆっくりしていた。
「暇だな」
「そうだな」
鉱納と小嶌は、水科の言った休日というものを体験していた。その感想が、今出た言葉にすべて込められているといっても過言ではない。
「水科の奴は変なこと考えるな」
「丸一日好きにダラけるとかな」
有り余る体力が動きたい何かしたいと訴えているが、二人はボーとして雑談をするだけに留めていた。
「休む日と書いて休日って話だが、一日も使う必要あるもんなのかね」
「怠けて弱って、そのままくたばっちまいそうだ」
小嶌はそう言うが、狭間の住人ならその前にストレスの影響の方が早く出るだろう。そもそも余程のことがない限り休む必要がない彼らは、何かに手を付けていないと暇で暇で仕方がなくなるからだ。
「そういやずっとボーとしてたり、のんびりしてたりする奴もいるから、そいつらのことでも言ってんのかね?なんかネットとかで色々見てるらしいし」
「そういう奴らは上位層の強者か、そう見えるだけの奴だと思うがな」
そういう奴らは意外に多いが、休日があるわけでも何もしていないわけでもない。あくまでそういう奴だというだけで、実際は逆にあらゆる状況に即時に対応できるようにしている意味合いの方が大きい。
「こんな感じに」
「確かにな。認識できないだけか」
小嶌がいきなり飛び上がり刀を抜き斬りかかる。それをサッと抜いたナイフで受け止める鉱納。
「そもそも仕事だとか休日だとか、意味わからん事言うからな、あいつ」
「人生楽してめてないんじゃないか?」
軽く打ち合いながら雑談を続ける二人。
「そりゃ言えてるかもよ。あの年で人生に疲れてるとかかもしれないな」
「昔っから独りぼっちだったらしいからな。警戒心も強かったし……最近になってやっと馴染んで来たのか話しかけてきたし」
水科とまともに絡んだのは最近になってからだ。それまでは警戒心が強く基本出くわさずに、出会ったその時でも最低限のことしかしなかった。
「きっとこれから楽しくなってくるだろうよ」
「だな。人生はゼンリョクで楽しんだもん勝ちだ。嫌なら避けるなり逃げるなりすればいいだけだもんな」
きっと今の生活に満足していないから、人生の延長線上として認識できず、より分けて考えてしまっているのだろうと思う二人。そもそもこいつらにとっての仕事とは、外注だとか責任感のある事を言う。そういう意味では今水科を鍛えているのも彼らにとっては仕事なのだが、別に面倒くさいわけでも嫌なわけでもなく、逆に楽しんでいる。嫌なこと面倒くさいことをして金を得ると思っている水科とは、大分感性が違うのだ。
「そういう意味じゃ、都会に行きたいって言ってたのも頷けるな」
「ああいうところは退屈しないからな。それ相応でもあるけど」
ノンストップで打ち合い続けているためか剣戟が徐々に激しくなり、火花が散り始める。しかしそれと対照的に、周囲には気を配っているようで被害は出ていない。
「っと、じゃあもっと鍛えてやらねえとな。じゃなかったら簡単に殺されちまう」
「攫われて黙ってる奴じゃないからな。抵抗してそのまま、ってなりそうだ」
残像が見え始め、抑えきれなくなった衝撃がビルを揺らす。
「……外でやるか」
「お、そうだな」
そのまま鉱納が仰向けで飛び降り、それを追いかけて小嶌も飛び出した。
その瞬間に銃撃が鳴り、弾が弾かれるとともに飛斬が空を切る。それをナイフで打ち消した鉱納は、距離を保ったまま銃撃を繰り返し、小嶌は距離を詰めるために追いかける。
「おっと、やっぱつえぇな!」
「鈍っていないかみてやる!」
そうして二人は、久々にホンキで遊ぶことにしたのだった。