転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
立ち並ぶ廃墟と化したビル群を高速で駆け抜け、目的地である施設の最北端へと向かう水科。
「何が最終試験だ!こんなのただの狩りじゃねえか!」
あれからキツイ修業を続けた水科は、気が付いたら五歳になっていた。地球時間で約60年の月日が流れていたが、感覚的にはそんなに長く感じていなかった。しかし成長はキチンとしていたようで、これができれば一人前といわれ面倒な仕事を押し付けられていたのだ。
「お!いたいた!さっさと済ませるか!」
水科の目線の先には、壊れて滝の様に海水が垂れ流しになっている外装と、1メートル程度のダイオウグソクムシのような生物が数匹ウロチョロしていた。そこへ突っ込み、戦槌を思いっきり振り落とす。
「おもっ!?」
硬さなど一切なく、沈み込むような重さが伝わり鈍い衝撃が返ってきて、反動を逃がすために離れる。
「ちょっ!?」
水科の襲撃に驚いたダイオウグソクムシたちは、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。それに一瞬あっけに取られるが、即座に追いかける。
(くっ、この独特の匂い。あいつらか。早くしねえと)
追いかけて行く内に、ダイオウグソクムシが放ったであろう独特な匂いが振り撒かれていることに気付く水科。それに焦り足を速めるが、すばしっこく隙間などを逃げ回るダイオウグソクムシは捕まえることが困難で、いつまでたっても追いつけない。
(こりゃ最終試験って言われるわけか)
そして結局追い付けずに、滝の近くまで来たところで足を止めた。
「カニか。こいつは食えるんだろうか……」
匂いに誘い出された巨大な影が見え、ズワイガニのような怪物が出てくる。そして水科を見つけると、先制攻撃を仕掛けてきた。
「いや、勝てるかどうかの心配の方が先か」
振り落とされたハサミを避け、即座に反撃を繰り出す。
(真正面からっ!?」
だがハサミの方が固く、攻撃へと傾けすぎたせいで体勢を崩した水科は簡単に振り払われた。
(移動速度と精密さが勝ってるのが不幸中の幸いか)
ズワイガニはその大きさもあって、見た目にそぐわず早い程度で水科でも余裕をもって避けられる程度の速度と精密さしか持っていなかった。だがそれでも耐久と破壊面ではズワイガニが勝っている。
(能力使うか?今回は食料確保が目的だから使う気なかったけど、こいつを狩ってこいとか言われてないし)
攻撃を回避し、障害物を利用して逃げ回りながらそう考える。
(……いや、あいつらならこれも狩ってこいとか言いそうだ。というか完全にこれ見越して言ってるだろ)
水科の能力では、対象を無駄に傷つけてしまうので狩りには向かない。無論それではこれを指示した二人は納得がいかないだろう。
(刃物の扱いもっと習っとくべきだったな)
そう思い、能力で生み出した液体の爆発による推進力と瞬動で超加速した水科は、解体用に持ってきていた短刀でズワイガニを斬り裂いた。
「やっぱ関節が弱点か」
足の一本を失いグラつくズワイガニに、畳み掛けるように爆発瞬動で関節を斬り裂いていく。そして一分もたたずにズワイガニを無力化した水科は、最後に頭部に戦槌でぶん殴る。
「ふ~うまくいった。主力なだけにこっちの成長は早くて助かる」
すると甲羅にヒビが入り、ズワイガニは力なく倒れた。
「さて、こいつを回収して……」
そこまで呟き、何かを感じ取った水科はゆっくりと振り返る。
「えぇ……」
そこには、滝から出てくる複数のズワイガニの姿があった。
~おまけ~
・ダイオウグソクムシ?
・5級下位
生態系の下層にいる生物。戦闘能力はなく生存能力に特化している。襲われると独特な匂いをばら撒き、仲間に危険を知らせ周囲の他の生物を誘い出す。素の味はさて置き、栄養価が高いので加工して非常食にされる場合が多い。
・ズワイガニ?
・四級上位
ダイオウグソクムシの出した匂いに誘われてきた怪物。7メートルないぐらいの巨体で、深海ではよく群れを成して歩き回っている。甲羅は固いが関節は弱い。身もおいしく、甲羅も低級の防具などになり色々と便利。
爆発瞬動……動きが直線的になる代わりに圧倒的速度を手に入れる瞬動に爆発でさらに速度を嵩ました技。また水科の場合は爆発を使って無理矢理軌道を変えることができる。ただし動きは単調になるわ負荷はデカいわで、格上相手には大した効果はない。
破撃……衝撃を逃がさず集中させ、その分破壊力の増す攻撃。抵抗ができない相手は一瞬にしてグチャグチャに破壊される。