転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

13 / 37
疲れた……

 ズワイガニたちを殲滅した水科は、瓦礫に腰を下ろしてため息をつく。

 

「はぁ。まだまだだな」

 

 途中までは狩りを意識して戦えていたが、やはり苦手な戦い方だったのか、最終的には能力で爆殺と撲殺を選んでいた。そのせいで、半分以上が食いもんにも再利用もできないほどにぐちゃぐちゃになっていた。

 

「どうするかな」

 

 そして後始末に頭を悩ませる水科。ビルも何棟か壊してしまい、周囲はズワイガニの無残な死骸だらけ。後者はほっとけばどうにかなるにしても、前者は色々な意味で致命傷だった。

 

 

「随分と派手にやりましたね」

「ホントだ。すごいことになってるね。大丈夫?」

「……」

 

 そうしていると背後から声が聞こえ、水科は振り返る。

 

「アリスさんと倉田家のジャンヌさんとツカサさんか。すまん、やりすぎたみたいだ」

「気を付けてよね!この施設だっていつまでもつかわからないんだから」

 

 水科が謝ると、ジャンヌがそう言い。二人も軽く頷いていた。

 

「そっちも食料確保しに?」

「ええ、それで途中で出会ったの」

「こっちがうるさかったから」

 

 倉田親子が答えてくれて、納得する水科。やはり騒音被害は大きいようで、痛感させられていた。

 

「ホントにすまん。代わりと言っちゃなんだけど、これ持ってく?」

 

「折角だし貰っていきましょうか」

「これだけあれば色々作れるね。今日の晩御飯は豪華になるわよ!」

「うん……」

 

 一人では処理しきれない食料を迷惑料代わりに一部譲ることにした水科は、さっそくみんなで回収を始める。

 

 

「そういやアリスさんって、メリーさんとか機所さんと同じで二級だったっけ?」

「そうですけど……それがどうかしました?」

 

 回収をしながら、近くにいたアリスにそう問いかける。

 

「二級って言ったら一般人の中でも最強格だからすごいなと思って。どうなったらそこまで行けるのかなと。やっぱ才能?天才剣士とか言われてるらしいけど?」

「……実感ありませんね。確かに才能の面も大きい、と思うけど、経験積むのが一番早いよ」

 

 アリスは天才剣士と言われているが、それは“年齢の割に凄いね”という程度の意味合いしか持たない。だから才能だけでは上位に行けても、最上位に入ることができず、技量や判断力を育むための経験が重要になってくる。

 

「外に戦いに行ったりしてるのか?」

「してる。というか、あっちからくるから撃退してる」

 

 他の施設に繋がる道の近くに住んでいるアリスは、こちら側に来ようとする者たちを撃退することが多い。それは人だったり怪物だったりなので、戦闘の種類も回数も多く才能も合わさり強いのだ。

 

 

「あと、年齢重ねれば強くなる訳じゃないからね」

「ジャンヌさん。そうなんですか?なんか生き残ってたら強くなりそうですけど」

 

 しばらく回収をしながら、弾にアリスに質問して話していた水科に、回収が終わったジャンヌがそう言ってきた。

 

「確かにそれは間違ってないけど、こんな安全地帯じゃ話は変わってくるよ。あと私みたいな学者志向なのんびりしてる人とか特に」

「私もあまり戦いには興味ないから……」

 

 戦闘力は絶対に必要だが、余程の危険地帯でもなければ大体三級もあれば事足りる。なので大半の人は、三級で止まることが多い。得意でない人はいても、ツカサのように戦闘に興味のない人は少ないが……

 

「ツカサ。興味ないのはいいけど、腕落としちゃダメよ」

「それは、わかってる」

 

 めんどくさがりなツカサは、母親の変化にいち早く気が付き、自身の獲物である槍に手を置く。

 

「ならよかった。ホントに心配なのよ。もしここが壊れて外に出なきゃいけなくなったら、実力がないとすぐに死んじゃうからね。私だっていついなくなるかわからないんだから」

「何度も聞いた。大丈夫。そんなすぐすぐやられないから」

 

 この世界では親と子が離れ離れになることは珍しいことではない。逆に親兄弟の顔を知っている者の方が珍しく、一緒に暮らしていけている者など極稀だ。これは根本的に死亡率が高いのと、そもそも子育ての考え方が、放任主義だったり組織や社会の役目だというところが大きい。なので狭間世界では、子供相手には優しい者たちが多い。

 

「それならいいんだけどね。じゃ、私たちはこれで失礼するわね」

「私も帰る」

 

「ああ、じゃあな」

 

 そうして水科は、三人と別れたのだった。

 

 




 応募キャラを使わせていただきました。

 ~おまけ~
・年齢について
 10歳(約150年)……肉体的にもほぼ大人なので、大人扱いされ始める。
 15歳(約220年)……より多くの経験をして一人前扱いされ、完全に大人扱いされる。安定して独り立ちできる基準。
 80代(約1200年)……狭間の住人に寿命の限界はないが、この年齢以上で生き残っているのは1%以下。要は生きようと思えば際限なく生きられ、殺されるか満足すれば終わり。
 なお水科がいるような安全地帯では、競争率が低いので長く生きてる奴は多いが、強い奴は少ない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。