転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

14 / 37
失敗報告と……

 狩りから帰った水科は、小嶌と鉱納にその報告をしていた。

 

「ほら言っただろ?無理だって」

「流石にできると思ったんだがな」

 

 小嶌ははなっから無理だと思っていたようだが、できると思っていた鉱納は困った様子だ。

 

「攻撃は当てられたんだろ?」

「ああ。けど受け流されて……」

「当たり前だろ。あいつらは防御性能、特に打撃には強い耐性持ってんだから。斬撃でも下手な攻撃なら傷つかねえよ」

 

 弱い生物ではあるが、生存能力や敏捷性と防御面ではそこらの怪物たちよりも高い。なので、ちゃんと立ち回りや攻撃ができているかを試すのには、ちょうど良い相手ではあった。

 

「一般流を使いこなせてないな」

「せめて一つや二つは普通に打てると思ってたのによ」

 

 普通に打てるの基準は、“流れるように的確に使える”ということだ。よって、技として認識して使っている時点で、この世界の普通の大人程度の実力にすら届いてない。

 

「まぁまだガキだってことだな」

「まだ五歳だし、その認識は間違っていないんだろうがな」

 

 この年で三級中位になった水科は、すごく才能がある方である。だがそこで止まってしまってはただの早熟で終わってしまう。

 

 

「とりま瞬動使ってみろ」

「わかった」

 

 技を見てやると小嶌がそう言い、水科は目の前で簡単な瞬動を使った。その瞬間に、水科の姿が掻き消え元居た場所とは遠くに現れる。

 

「パッと見良さそうだけど」

「全然ダメだな。隙が多すぎる。ちょっと動き回ってみろ」

 

「わ、わかった。てかまったく反応できなかった……)

 

 それに普通についてきた二人は、移動し続ける水科のダメ出しをし始めた。

 

「なんかスムーズに動いてねぇな。違和感が凄い」

「切り返しが下手だな。どうしてこうなったんだ?」

 

(こいつら、話しながら普通についていやがる。わかっていたとはいえこれは……)

 

 今まで相当手加減されていたことがわかる程の実力差をマジマジと見せつけられ、振り切ってやろうと力を入れなおす。

 

 だが……

 

「っ!?」

 

「力入れすぎじゃね?」

「そう教えたつもりはなかったんだが?」

 

 逆に見失い、横から声をかけられる。

 

「実践仕込めばいけると思ったんだが、やり方間違ってたか?」

「それとも手抜き過ぎてたとか?中途半端じゃ効率落ちるしな」

 

 ああでもないこうでもないと話す二人を見ながら、水科は考える。

 

(週五で鍛えてもらってたが、ここまでの実力差を感じたのは初めてだ。毎回あとちょっとで届きそうでまけてたけど、実際の差は絶望的だな……)

 

 移動術系は基本中の基本であり、これができないと格上どころか同格にすら勝利が難しくなる。酷い場合は、ちゃんと扱えている格下にすら勝敗の怪しい戦いをしてしまう。それだけ致命的だった。

 

「こいつ技自体の思えは早いんだがな。そっからが遅いんだよな」

「理屈は最低限教えてるはずだけどな。危機感が足りないとか?」

 

 水科は、一つの技として技術を覚えるのは異常なほど早かったが、そこからの慣らしや応用は苦手なようで、技を挟むと行動にズレができ歪なものへとなっていた。

 

 

「まぁそうだな。これからは手加減なしでいこう。こいつもすぐ慣れるだろ」

「そうだな。ってことで、今から戦闘だ」

 

「え?うそっッ!!?」

 

 動き回って疲れてきたところに、小嶌の抜刀が頬をかすめる。それをギリギリで避けたところで、できてしまった隙にすかさず銃撃が行われ、何発かの弾丸が体を貫いた。

 

「ぐうっ!?」

 

「おい、始まったばかりでこれか?」

「というか、あれで疲れてたのか。やっぱ無駄が多いんだな」

 

 慣れて鈍くなっているとはいえ、完全に消えたわけではない痛覚に苦しみながら二人の方を見る水科。そこにはやる気満々の二人の姿があった。それを見た水科は咄嗟に戦槌を取り出し瞬動で距離を取ったが、途中で斬り伏せられ地面に転がる。

 

「今までは痛い攻撃避けてやってたが、やっぱダメだな」

「ムダなところあったらどんどん撃ち抜くから覚悟しろよ」

 

(う、ぐぅ……こ、これが危機感か。確かに……確かに足りてなかったかもな)

 

 明確に感じ取れる危機感に、納得する水科。強引であるが、それだからこそいかに自身がムダなことをして隙を作り出しているのかが実感できていた。

 

「これで、強くなれるのか?」

 

「それはお前次第だな。まぁ頑張れ、これからは死ななきゃいい程度でいくぞ」

 

 子供だから大けがを避けてから、一歩進んだ訓練をするという小嶌。これでも命の保証をしてくれるだけ良心的なのだが、水科はそこに気付く暇もなく小嶌の斬撃を戦槌で受けきる。そこへ鉱納からの銃撃がなされるが、即座に小嶌を押し返して難を逃れていた。

 

「疲れてる時こそがムダを省けるいい訓練になる。叩き込んでやるから覚悟しろよ」

 

「わかっ!たよッ!!」

 

 流れるように連撃が放たれ、急いで受け流そうとしたができずに、その間にまたも隙ができ撃ち抜かれる。

 

(ああ嫌だ。どうにかしてやる。これほど弱かったなんて!)

 

 痛みや違和感はどうとでもなる。だが自身の無力さ未熟さはどうにもならない。だから絶対にどうにかしてやると覚悟を決め、反撃を開始するのだった。

 

 




 ~おまけ~
・感覚について
 狭間の住人は、致命的な感覚や感情を感じない。正確に言うと、激情や激痛はあるが、なんやかんやでどうにかなってしまうといった感じ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。