転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

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 三級中位同士の戦いです。


機人族 斉藤ヒビキ戦

 ボコボコにされながら鍛え続けて約半年程が経った頃の話。

 

「これでどうだ?」

 

「やればできるじゃん」

「そうだな」

 

 小嶌と鉱納にその成果を見せて、再度受けなおした狩りを済ませた水科は……

 

「じゃ、次は実戦だな。ちょうど用意してたからついてきてくれ」

 

「は?」

 

 即座に実戦のために壊れても問題ない広場に連れ出されていた。

 

「あ、そうだ。能力も自由に使っていいぞ」

「まともに使えるんならな」

 

 水科は、二人との修業では能力を使うことができなかった。それは制限されているからとかではなく、使う暇すら与えられなかったからだ。そして日常生活でも使い道のない能力なのと、下手に使うと周囲を破壊してしかねないので使うに使えなかった。

 

「ここだ。んで、あそこにいるのが今回の相手だ」

「殺す気でいけよ。相手もそのつもりで来るだろうからさ」

 

 端が倒壊したビルで壁のようになっている、半径400メートルはありそうな広場の中心に、一人の少女が突っ立っている。

 

「斎藤さん……のところの娘さん?」

 

「機人族のな。ちょうどいい相手だろ」

「母親の方じゃ、お前すぐに殺されかねないからな」

 

 実力が似通った相手ならホンキで戦えるだろうと二人が用意したのが、斉藤ヒビキという近所に住む機人族の少女だった。

 

「じゃ、待たせるのも悪いから行ってこい」

「わかった」

 

 鉱納にそう言われ、水科は瞬動でヒビキの前に行く。

 

「久しぶり~、水科さん!」

「よう、一週間ぶりぐらいか」

 

 近所に住んでいるとはいえここは田舎。お隣さんがビル数棟離れた場所が当たり前なのと、みんな思い思いに動き回っていることにあって、目的がなければ気配を感じていても出会うのはあまりない。

 

「聞いてるよ!修業中なんだって?こっちに来たってことはあのすばしっこい奴倒したんだ」

「まぁな。結構苦労した。そんなことより、やろうか」

 

 そう言い二人は構える。

 

「お母さんほど強くないけど、簡単に負けるほど弱くないからね」

「わかってるよ」

 

 最後にそう言葉をかわした瞬間、二人の動きは掠れ、戦槌と手刀がぶつかり合い、衝撃が響き渡った。

 

 

 

「簡単にやられないでね?」

「そっちこそ」

 

 

 

 受け流せないように拮抗する鍔迫り合い。その間にも両者は、少しの動きを利用して衝撃を繰り出し続け、相手の体勢を崩そうとしていた。

 

「っ!?」

 

 そして衝撃と打ち消し合い、受け流し合いに勝ったのは――

 

「私の勝ちね!」

 

 ヒビキだった。

 

 受け流された水科の槌撃は、地面に突き刺さりクレーターを作り出す。その隙に懐に入り込んだヒビキは、その研ぎ澄まされた籠手のような拳で、水科をぶん殴る。

 

「おりゃ!」

「ガハァっッ!!?」

 

 空中に殴り上げられた水科に瞬動で追いつき、地面に叩き落とすヒビキ。そして即座に追撃をかけようと空動で急接近した。

 

「えっ!?能力ッ!?」

 

 だが水科は地面に沈み込み、ヒビキの拳が地面に波紋を作ると同時に大爆発を起こす。

 

(効いてねぇ。近接戦で勝てないから能力戦と思ったんだが)

 

 普通に着地して、煙が上がる手を振っているだけで終わるヒビキを見てそう思う水科。

 

「すごいね。聞いてたけど、思った以上……ねっ!!」

「効くか!」

 

 地面を殴り、衝撃が水科へと襲い掛かる。それを液状化させた地面で相殺し、津波のようにヒビキに向かわせる。

 

「これでも、くらえ!」

「ッ!?」

 

 空へと飛び上がり、開いた掌から光線を出現させ、一気に薙ぎ払う。それは攻撃のために液体を削った水科に直撃し、大爆発と共に焼き切られる。

 

「バレバレ!」

「チィッ!」

 

 津波の先が伸びて、ヒビキを追いかける。だが空間移動を駆使するヒビキには掠りすらせずに、連発される光線の薙ぎ払いに苦戦を強いられる水科。

 

(地面の中にいたら負けないだろうが、空中にいられちゃこっちにも勝ち目がない。どうにかして引きずり落とさねえと)

 

 水針を連発しながら、地面の中を移動し続ける水科。

 

「これならどう!」

 

 効き目がないと理解したヒビキは、薙ぎ払いをやめて拡散弾に切り替える。次の瞬間には光線の雨が地面を貫き、爆発も相まって水科は空中へと放り出される。

 

「もらっ!違うッ!?」

「これも防ぐか!」

 

 遠距離では仕留めきれないとわかっていたヒビキは、無防備になった水科へと手刀の突きを放つが、どうやら誘い出されていたようで、水科の液体刺突による反撃をギリギリでかわす。

 

 しかし……

 

「ならッ!!」

「ぐうッ!?」

 

 咄嗟に振り落としの槌撃を腕で防ぐヒビキだが、力負けして地面に叩き落とされた。そこに続けて液体をまき散らし追撃をかけるも逃げられる。

 

「ダメか」

「中々効いたよ」

 

 地上で向かい合った二人はそう感想を漏らし合う。そして水科が地面を再度液状化させて、波と水飛沫を使うが、ヒビキはそれらをかいくぐり接近戦で決着を着けに行く。

 

「どうしたの!そんなに距離取って!」

「わかるだろ!流石に!」

 

 それでもヒビキは水科に接近できない。同時に水科は接近させないようにするのが精いっぱいだ。いや、両者とも殺しにかかっているのだが、致命的な相性の悪さと未熟さゆえに決着がつかないと言った方がよい。

 

(規模と密度が高くて近づけない!)

(速度と機動力に差がありすぎて捉えられない!)

 

 水科は、周囲を動き回るヒビキの位置を掴んではいるが、それを捉えることができていない。

 

(どうする?長期戦は不ッ!嘘だろ!?」

 

 位置情報をズラされ、更には強引に突っ込んでくるヒビキ。それに対応し爆破で手元を狂わせようとするがヒビキの出力の方が上回り、戦槌も間に合わずに腕を掴まれ膝を叩き込まれた。

 

「ご、強引にッ!?」

「案外どうにでもなるね!」

 

 最大火力の爆撃を使うが、それでも離してもらえず、手刀や拳を何度も叩き込まれる。

 

(技がッ!技が追い付かねぇ!)

 

 爆撃を繰り返し身をよじって逃げようと試みるが、挙句の果てには振り回されて地面に叩きつけられた。

 

「ガァ!?」

「これで終わり!」

 

 そして最後と言わんばかりに強大なエネルギーがヒビキの手に集まり

 

「死んでたまるか!!」

 

 水科も液体を即座にぶつけ、二人の姿は光と爆発の中へと埋もれる。

 

 

 




 投稿キャラを使わせていただきました。

 ~おまけ~
・機人族の補足説明
 見える見えないにかかわらず体のどこかしらが機械でできている種族。武装にもよるが、肌を見せないとわからないやつも多い。超技術により何兆年も前の科学者たちが作り上げた種族と言われている。人工知能だったり、生物機械だったり、内側から落ちてきた何かだったりするが、他の種族同様起源が多すぎて本人たちでもわかっていないし気にしていない。
 種族特性として、自身の体を機械的に改造できる。これにより機械関係の武装を取り込むことができる。その他インターネットみたいなものと繋がれたり、演算機のようなこともできる。
 また名前に、機や械などの機械やからくりに関する文字 意味が付くことが多い(結婚相手の苗字に合わせた場合はその限りではない)。
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