転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

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次の戦い……には行けないようだ

 ボロボロになり地面に転がる二人に鉱納と小嶌、そしてヒビキの母親であるカナデが近寄っていた。

 

「随分と派手にやったな」

 

 小嶌の呼びかけに、疲れ切った水科は答えられない。それを見た三人は、戦闘の感想を言い出した。

 

「ムダに規模が大きいですね。それに効率も悪く見えます」

「そもそも基礎がなっちゃいねぇからそうなるんだろうな」

「あぁまぁ、だがこれほど消耗するとは思ってなかったな」

 

 散々な言われようだったが、そう言われても仕方がないほど二人の戦闘は雑多なものだった。

 

「連戦してもらおうと思ってたが、無理そうだな。仕方がないから反省会だけにしよう」

「ヒビキ、あなたもですよ」

 

「「は、はい……」」

 

 そうして端に寄せられた二人が最低限の回復をさせてもらっている間に、鉱納と小嶌がせっかく来てもらっていた他の住人に事情を説明してまた今度と言うことにしていた。

 

 

「っと、治ったな」

「じゃ、あっちの戦い見ながら反省会だ」

「氷龍のセイカさんと不滅族のブレイドさんの戦いよ」

 

 そう言った瞬間に、二人の拳が衝突し少しの衝撃と冷気がまき散らされる。そのまま蹴りや殴りの殴打がノンストップで繰り出され続ける攻防が始まった。

 

「あれは……」

「余波が小さい……」

「そうね。ちゃんと力を制御できてる証拠よ」

「籠ってるエネルギー見れば一目同然だな」

 

 ヒビキの言う通り、セイカとブレイドの攻防はこじんまりとして見えた。しかしそれは弱いからではない。的確に力を乗せて攻撃できているからだ。周囲に出ている余波など、打ち消し受け流されたほんの一部でしかなかった。

 

「あんなんくらったらひとたまりもないぞ」

「だろうな。内臓がぐちゃぐちゃになる程度だったらまだかわいいぐらいだ。だから技だけじゃなくて、ちゃんと技量鍛えろって言ってんだよ。技はあくまで分かりやすくしたものでしかないんだから」

 

 一発一発で見れば二人の攻撃は、水科でも対処は可能だ。しかしそれをマシンガンのごとく連射されれば話は変わってくる。一発二発防いでいる間に、その倍の攻撃が水科の体を的確に破壊していくことだろう。これが技だけを覚えた者と、経験を積んだ者の差だった。

 

「凍ってない?」

「ちゃんと防いでるだけよ」

 

 氷龍であるセイカは、その攻撃のすべてに氷属性が混じる。その証拠に周囲の気温は少し下がり、氷の結晶が所々に見える。だがブレイドには一切その影響は出ていなかった。

 

「セイカさんは凍らすじゃなくて、氷を生み出すのが主体だからってのもある」

「氷漬けにはできるけど、中まで凍らせれないんだよ。まぁ傷口ぐらいなら余裕でやってくるけど」

 

 セイカの能力は行動阻害としては優秀だが、中まで凍らせて破壊したり凍傷を狙うのは向いていない能力だろう。それに加え触れた部分に氷を作る都合上、負傷部位に氷を付けられて回復阻害などもしてくる。

 

「てかなんであんなに動き回れるんだよ。隙なんて見えねぇし」

「そう?でもなんだか手加減してるみたい。攻撃入れれそうなところありそうなのに」

 

 あらゆる方法で攻防を繰り返すセイカとブレイドを不思議に思う二人。

 

「まぁ言っちゃ、遊びみたいなもんだからな。種族の力も使ってないし。ホンキ出せば荒っぽくなるけどな。相殺しきれなくなるから」

「実力も戦い方も似通ってるからね。流れ掴もうとしたり、急所に入れれるように誘導してるけどどっちもうまくいかないのよ。あとあんな感じよ、慣れたらね」

「そうだそうだ。瞬動だけじゃなくて、動き全部が連動してんだよ。技なんてあんなん、覚えてやっとスタート地点みたいなもんだ。わかったか、水科」

 

 急所に入らないのも、うまく動けていないのも実力の拮抗のせいだ。両者が徹底的に自分の有利に働き、相手の不利に働くように動いているのでこうなる。今回は遊び程度の組手だが、ホンキで殺し合うとなると出力が上がるので周囲への被害は大きくなる。それでも慣れている者は、疲れるどころか鈍くすらならずに動き続けられる。

 

 

「ほら、あんな感じ……あれ?」

「ん?」

「へ?」

「うそ……」

「マジか……」

 

 地面に氷が広がり、二人の戦闘は激しさを増す。それに気づいた野次馬たちは距離を取り始め、水科たちも徐々に下がりまじめた。

 

「こりゃ広場から出そうだな」

「久しぶりだから熱くなってるんでしょうね」

 

 そう言った瞬間、ブレイドの攻撃を受けきれなかったセイカは端に吹き飛ばされ激突し、目にも止まらぬ追撃をかけられる。

 

 だがそれが届く前に巨大な刺突状の氷が生み出され、ブレイドはそれを負傷覚悟で殴り壊す。そこへセイカの連撃が叩き込まれて、半分も対処できなかったブレイドは大きなダメージを――

 

「「は?」」

 

 無視して突きや手刀を放って殴り掛かり最後には蹴りを返し、それら一瞬の隙にダメージを回復させていた。

 

「あれが不滅族だ。さ、帰ろうか」

「だな」

「流石に早すぎたね」

 

 先ほどとは比べものにならないほどの衝撃と氷が舞い、動きが速く高度過ぎて呆然とするしかない二人を見た三人は、観戦を切り上げて帰ることにするのだった。

 

 




 投稿キャラ出させていただきました。

~おまけ~
・狭間の住人の戦い方について
 範囲攻撃が苦手だが、その代わりに一発一発の威力が見た目以上に強く重い。狭間の住人はそれを捌き 打ち消し 対処してと被害を極力出さないようにしながら殴り合うため、込められている力の割にはこじんまりと見える。こうなる理由は、攻撃をちゃんと通すために直撃した部分を確実に破壊できるよう力を超圧縮して攻防をしているからだ。なので基本的に外見で見えているのは、ただの余波でしかない。
 基本的に体術は誰でもできて、どんな武器でも並み程度には扱えるが、得意分野でなければガチの戦闘で役に立つことはあまりない。なので接近戦がある程度できるのは当然として、その他は主に近距離 中距離 遠距離などのどこが得意かで分かれてる。
 また狭間の住人は、『まともにくらうことはないだろう』『どうにか対処してくるだろう』と言う思考で攻撃を放ってくるので、躊躇も手加減もなく凶悪無慈悲な攻撃を息をするかのように放ってくる。

 おまけだが、広範囲の環境や地形を変えるほどの大きな戦いをしすぎると周囲に迷惑なので抑えているというのもあったりする。この世界は同格以上は探せばいるという程度にはいるので、大きな戦いはそいつらを呼び出してしまいかねないのだ。だからそいつらに目を付けられないようにしなければいけない。なお上位陣と言う名の戦闘狂たちはそんなことお構いなしに戦う模様……
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