転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

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随分と弱い主人公

 水科は、鉱納と小嶌が連れてきたとある人の前にいた。

 

「この人は?」

「メリーさんだ。出会うのは初めてだろ?」

「滅多に姿見せないんだぞ。今回だって見つけ出してわざわざ来てもらったんだ」

 

 幼児族なのか子供のような見た目で、短金髪に水色の瞳。整った顔立ちで美少女と言えばそうなのだが、感情が見えないほどほとんど変わらない表情。スラリとしたワンピースのような服を着ており、まるで西洋の人形のようだった。

 

 

「でなんだがメリーさん。こいつに技術叩きこんでください」

「瞬動しかまともに使えないんです、こいつ」

 

 酷い言われようだが、事実なので言い返せない様子の水科。

 

「……隙だらけ」

「は、はぁ?」

 

 開口一番そう言われた水科は

 

「えっ?」

「警戒も、してないのね」

 

 不意にメリーの姿を見失い、背中に違和感を覚え、胸から生えてきた刃物を見る。

 

「ガァ、ゴフッ……!?」

「本当に……三級?」

 

 刃物が抜け、血を吐きながら膝をつく水科を見下ろしながら、メリーさんはそう問いかけた。だがそれどころではない水科は、答えられない。

 

「あ~あ。なんで警戒してないかな?」

「流石にあれはないわ」

 

 小嶌と鉱納は呆れたようにしながら、倒れた水科に回復薬を振りかけた。すると傷が見る見るうちにふさがり、水科はダルそうに立ち上がる。

 

「急に攻撃なんて……」

 

 文句の一つでも言ってやろうと、メリーの方を見るが感知できずに戸惑う。

 

「話にならない。帰る」

「ちょっと、待ってッ!?」

「おいッ!?」

 

 去っていくメリーさんを止めようとする小嶌と鉱納に、メリーは容赦なくナイフを振り飛斬が放たれた。それをギリギリで打ち消す二人。

 

「あなたたちは、弱くない。だから忠告するけど そんな足手まとい捨てた方がいい」

 

 

「さっきから言いたいように言いやがって!」

 

 水科がそう叫び、二人を押しのけメリーの前に立つ。

 

「だったら俺の強さを、価値を証明すればいいんだろ!」

 

 瞬動で距離を詰め、戦槌を振る。だが振りぬいた時には既にそこにはメリーの姿はなく

 

「ホント、弱い」

「ガハッ!?」

 

 横から蹴っ飛ばされ、建物の外壁に叩きつけられ、ビルが大きく揺れながらヒビが入った。

 

「ここの若いのも みんなそう。でもあなたは 特にそう。なんで生き残って、これたの?」

 

 実に不思議そうにしながら、近づき疑問を問いかける。

 

「そんなん、ここが安全地帯だからに……決まってんだろ!」

「見え見え」

 

 地面が液状化し、渦を巻きながら包み込むようにメリーを取りついて爆発させようとする。しかし爆発することなくすり抜けられ、水科は意図も容易く斬り裂かれた。

 

「学ぶ以前に 見えてない。経験不足で 弱い子が多いけど、あなたほど 見えてない子は、珍しい」

「み、見るだと!?ああ、そうだな。確かに、俺はお前が、何してるかわかんねぇよ!」

 

 フラフラと立ち上がり、今度は戦槌に瞬動と破撃を乗せて、メリーに振り落とす。

 

「待ってあげたのに……その程度?」

 

「ッ!?」

 

 直撃したはずの攻撃は、メリーに対して何の影響も与えていなかった。その事実に驚愕した水科は、タジタジとメリーから距離を取っていた。

 

「追撃しないし、逃げもできない。動きは、鈍くなる一方」

 

(どうすれば!?どうすればいい!?)

 

 メリーが一歩近づくごとに、水科も一歩下がる。無駄だとわかっていても、離れずにはいられなかった。

 

 

(来る!)

 

 ごく自然に溶けるように消えたメリーを感知するために、神経を研ぎ澄ませ

 

「そっちか!」

 

 振り返り戦槌を放つ。

 

「……流石に二度は 効かないね」

 

 見直したのか、感心したのか、はたまた当たり前だと再認識したのか水科には分らなかった。なぜなら、全身全霊の槌撃を、普通のナイフ一本で受け止められていたことの方が衝撃だったからだ。

 

「はぁぁ――!!くそっ!くそっ!!」

 

 何度も何度も戦槌を掠れるほどの速度で放ち続ける。だがメリーは、軽くナイフを振るだけで、そのすべてを弾き返す。

 

(試されてる!何かないか見られてるんだ!じゃなかったら俺は――!?)

 

 メリーからすれば軽く小突いただけの刺突。それも対処の可能性を大いに残した甘すぎる攻撃だった。だが水科からすれば、死神が放った理不尽な攻撃に見えた。だから水科は、全力で、ゼンリョクで――

 

「及第点」

 

「なっ!ガァ!?」

 

 回避と同時に踏み込んだ槌撃は、ほんの少し強めに振るわれたであろう手刀の払いに、拮抗させることもできずに吹き飛ばされていた。

 

 

「小嶌、鉱納。この子ちょっと 借りるね」

 

「お、おう……」

「は、はい……」

 

 そして、息を切らしながら立ち上がろうとする水科を掴み、その場から消えるのだった。

 

 




 ~おまけ~
・苗字や名前について
 日本人みたいな名前が基本だが、西洋人のような名前の持ち主もおり、その複合も少ないが存在している。基本名前の決め方は、住んでいる場所や種族特性であるもの、仕事などで適当に決めている。その他自分で勝手に名乗っていたり、親や周囲からもらったりする場合がほとんど。
 要は現実と殆ど一緒。山の中に住んでたから山中だとか、家族や仲間が山中の所の……など呼ばれている内に苗字と名前ができたのだ。
 因みに龍人族は、火龍の~とか電龍の~などの自分の種族を苗字?に使う者が多い。理由は簡単で使いやすいから。勿論普通の苗字もいる。
 あとメリーさんの本名は、『小隠 メリー』。最初は苗字しかなかったが、機所さんや周囲に言われて、それっぽいからとメリーの名が付いた。メリーは呼びやすいので気に入ってたりする。
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