転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

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説教と……?

 メリーに連れ去られた水科は、とある高層ビルの屋上で放り出される。

 

「ぐっ……」

「受け身ぐらい 取れ」

 

 苦しみながら立ち上がった水科は、メリーの方を見る。

 

「感知ぐらいは、使えるのね」

「当たり前だ……」

 

 一瞬惑わされかけたが、なんとかメリーの姿を視界で捉えられた水科は、今度は警戒心を限界まで高めた状態で話す。

 

「……警戒心 出しすぎ」

「警戒心なさすぎだって言ったのそっちだろ」

 

 メリーの言わんとすることは水科もわかっていた。だが反抗心からそう言い放つ。

 

「はぁ~。極端。何もできてない 証拠」

「……わかってる」

 

 水科は様々な技を覚えている。基礎から特殊なものまでところ構わず覚えていた。だがそれらは意識しないと使えない。いや、正確に言うと意識しないと役に立たない。感知系など最たる例だ。

 

「じゃあもっと、経験する。戦え」

「鉱納さんや小嶌さんと結構戦ってきたんだがな」

 

 その他にも狩りや兵器とも沢山戦っている。だがメリーから言わせれば……

 

「足りない。仮にも 外へ行こうとする、奴の量じゃない」

「そうかよ」

 

 別に戦闘回数が足りないわけではない。安全地帯基準だと結構戦っている方だ。だが質が低すぎるからカウントするなと言っているのだ。実際二人から話を聞いていたメリーは、一瞬で水科の努力を斬り捨てていた。

 

「そもそも、あの二人は 教えるのに向いてない。それにあなたも、教わるのに 向いてない……と思う」

「……」

 

 メリーの辛辣な評価に、水科は黙りこく。

 

「……私たちは、教えることも 教わることも 向いてない。それだけ」

 

 言葉足らずだったと補足をするが

 

「じゃあどうすればいいんだよ……」

「だから、経験積めば いいと思う。たくさん戦って、色んなことして ね」

 

 水科にはわからなかった。だがメリーもそう言うしかなく困り果てる。なんせメリーも、あの二人よりマシな程度で、教えること自体は苦手なのだ。

 

「じゃあメリーさんが教えるか相手してくれるのか?」

「……仕方がない。二人の頼みを 無下にできないし……」

 

 あの二人は水科よりもメリーと長い付き合いである。ケンカや戦いを挑まれたことも数知れず、その度に軽く捻り潰していた、元気のある先輩後輩みたいな仲なのだ。

 

 

「それに、男が弱いのは 見ていられない」

 

「は?」

 

 ボソッと呟いたその発言に、水科は反応する。

 

「男は すぐに死ぬ。だから、強い奴しか 生き残らない」

「いやいやそんなわけないだろ。てかそれはみんな同じだろ」

 

 意味が分からないと言いたげな水科と、眉を顰めるメリー。

 

「言葉が、足らなかった。性別も種族も 関係ない。ただなぜか 男は死にやすい。生まれてくる数も 能力も上なことが 多いはずなのに、最終的には 女の方が多くなる。基本構造も、行動原理もあまり変わらないのに……理解できない」

 

「え~……」

 

 今は亡き創造主『原初生命体』の設計ミスだとか、性格や行動的にバカやアホが多いだとか説が多いが、詳しいことはわかっていない。

 

「それと、弱かったら 襲われた時に 困るでしょ?」

「あ?まぁな。こんな世界だからな。そりゃそうなるだろうな」

 

 ここにはないが、外には争いは当たり前として、それ以外にも盗賊や人攫いなどが闊歩する世界だ。弱いということは、そいつらに襲われやすいという事と、抵抗どころか逃げられすらできないことを意味する。

 

「じゃあ、さっさと強くなってね」

「わかった。じゃあ頼む。で、何をすればいい?」

 

 メリーは少し体が動きそうになったが、それを抑えて

 

「まずは、一般流を 学びなおす。わかった?」

「おう、わかった」

 

 そういやダメだったんだなと、基礎から教えることにしたのだった。

 

 




 ~おまけ~
・狭間の住人の学習能力について
 高スペックなので、基本なんでも覚えるしその上達速度も異常に速い。教えるまでもなく勝手に覚えていく。だがみんな同じ条件な為、どれだけ上達してもその実感がわきずらい。才能でもあれば話は変わるが、それでも年上やくらいついてくる奴、探せば出てくる同格以上とこれでもと言うほど頭角を現すのが難しい。そのくせ上達が遅ければ簡単に置いてけぼりになり苦労する。

・狭間の住人は教えるのが苦手な件について
 学習能力が高く感覚でできてしまう彼らは、人に教えるのが苦手だ。莫大な経験と高い技量により個々人で最適解を出せてしまうため、それを他人へ伝えることがものすごく苦手。と言うかまず、自分と種族も武器も戦い方も違うのだから得意だったら逆に凄い。なので教えるとしても、一般流として基礎や技だけの場合が多い(大半の奴は気が付いたらできてるが……)。
 話半分の参考程度で聞けばいいのに、無理に他人から教わろうとすると失敗することの方が多い。水科はそれに加え、使いこなせもしない技を沢山覚えたのが悪い。彼は教わるという建前で、ひたすら色んな奴に勝負を挑んだり観察していればよかった。それで経験積んで良い所取りして、自分に合った戦い方を見つけていればいいのだ。

・男の死にやすさについて
 ホントに死にやすい。そのせいで男女比が3対7ぐらいになっている。なんなら女よりスペック高く作られてるのに、それでも死亡率が高い。そのせいで未亡人が多かったり、他にも色々と問題が多かったりする。そして創造主も不思議に思っている。
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