転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
水科は約束通り小嶌にラーメンをおぐってもらうために店に来ていた。中には数人の客がおり、注文を待っていたり、麵をすすって食べていたりと様々だ。
「大吉さん、とりあえずいつもの三人前頼む」
「おう、お前らか。いいぞちょっと待ってろ」
小嶌が大吉さんと言われた巨人族の大男に話かけ、大吉は快く注文を受けてラーメンの用意をしだす。
「他は何頼もうかな?」
「カニ炒飯と肉魚の餃子は確定だろ。それで……」
「ちょっと高いが肉野菜たっぷり春巻きとかもいいな。ここじゃ海藻の方が多いから野菜は貴重だし」
そうして三人は次々に注文していく。その数は、まるで大食い選手が食べるかのような注文数であり、食べ放題でも行けばいいのでは?と思わせる数だ。まぁここには、と言うかこの世界にはそんなものはほぼないのだが。
「お~相変わらず大量だな」
「おいしそうですね」
「これであの料金?いつも思うが元取れてる?」
「どこもこんなもんだろ。それに大半の食材は自分で取りに行ってるから実質タダで手に入るからな」
そして一つ一つも大量であり、机を埋め尽くしていく料理の数々に、三人は手を付け食べ始める。大吉曰く、狭間世界の料理人は、近くにないものやこまごまとしたものは買って、こだわりモノや近くにある物は自分で取りに行ったり育てたりすることが多いらしい。なお都会になると、狩れる場所が減るので田舎限定感があるが……
「そう言やネットで探せば、常にどこかで安売りしてるからな。米100キロで1万とか安すぎだろ」
「直接買いに行ったらもっと安くなりしな。まぁそれなりの量は買わなきゃいけないが」
「種類にもよるけどな。あとネットだと距離とか場所によって郵送料変わるし」
バグバグと料理を食べながらそんな雑談をする三人。狭間の住人は食事が大好きな連中が多いので、世界の危険度に反して食も豊富でめちゃくちゃ安く量も多いのだ。そしてなんでも食うと言うか何でも無駄なく利用するので、怪物たちもその餌食になるのだ。
「食料生産のために巨大組織があるぐらいだしな。農業連盟とか、酪農同盟とか」
「肉とか野菜とか魚とか、それ以外のも一杯あるもんな」
「手を出しちゃいけないところは多いが、食関係が一番だよな」
各地に施設や研究所立てたり、噂では島や大陸一つを改造しているなんて奴らもいるらしい。やはり三大欲求や衣食住などの、生存に必要なものを握っているところは強大なのだ。
そんな感じで食事をしていると、奥に座っている客と大吉が何やら言い争っているのが聞こえ、三人はそちらに目をやる。
「鼠家さん。少々飲みすぎだ。あと煙草の方もな」
「なに?文句あんの?ここ喫煙席でしょ?あと酔ってないから余計よ」
鼠の獣人である鼠家に注意をする大吉の姿があった。
「鼠家さん、また大吉さんに怒られてるよ」
「まぁこんな昼間っぱら酒に煙草としてればな」
「体に悪いもんじゃないって言ってたけど、流石にあんなに毎日大量にやってりゃな」
鼠家は、高身長の人間寄りのスレンダーな美人と言う風貌なのだが、目つきは悪いし顔色や雰囲気が良いとは言えない女だった。また不愛想で常にやる気がない様子が目立つ人でもある。
「調剤師だっけ?薬屋してる。その割には香辛料とかも売ってるけど」
「薬とか植物系を扱ってるんだよ。前に店で見たが、あの煙草も調合して作ってるんだ」
「お前に使ってる薬はあの人が作ってんだぞ」
薬屋をしている鼠家は、この安全地帯で誰よりも薬の知識がある。そのためああ見えて節度よく使っている……わけではなく、ギリギリの計算で薬を使っている、ヤク中予備軍の人物だ。
「腕だけは本物なんだがな」
「それだけで十分だろ。客にはよ」
「それでも気にならないかって言われたらそうでもないけどな」
やんわりと大人の対応でやめさせようとする大吉と、興奮して勝手にああやこうやと言っている鼠家の言い争いを遠目で見る三人。
「大吉さんは大変だな」
「いつものこととは言え一応取引相手だし、心配事は多いんだろうな」
「大人しくは……してるな、鼠家さんは。態度悪いだけだわ」
そしていつもの事だと放置して、残った食事に戻るのだった。
~おまけ~
・職業者たちについて
何かしらの職についている、またはそう名乗っている人たちの事。特に基準などはなく、それっぽいことをしていたり、また周囲からの評価で決められるので、その分野の実力さえあれば何でもいい。あくまで主軸と言うだけで、それ以外にも色々兼任していたりもする。