転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
気配を感じた方を見ると、外に何人かの少年少女がたむろって水科の自宅を見上げていた。
「お~い!水科!勝負しろ!降りてこい!」
「そうだそうだ!」
「ありがたく思え!」
「またあいつらか」
三人程の子供たちを筆頭に、大体10人いないぐらいの人数で水科の住むビルを見上げて叫び散らかす子供たち。年齢は10歳以下で種族としては、人族や機人族、水人族、小人族などの異種族混合組織。狭間世界では一種類の人種だけで構成された組織の方が珍しく、これがよく見るグループだ。
「はいはい、今行くから!攻撃してくんじゃねぇぞ!」
「じゃあさっさと出てきて勝負しろ!」
「「「そうだそうだ!」」」
この安全地帯にはこうやって子供たちの集団がいくつもあり、水科に絡むこいつらはこの地域に住む親なしの集まりだ。
「懲りねぇな。つい三日前にあんだけやられたくせに」
「うるせぇよ!さっさと始めるぞ!オレたちが勝ったらオレの組織に入れよな!」
そう言ったリーダーであるガラの悪そうな不滅族の少女は、二刀の刀を構えて瞬動で水科を斬り伏せにかかった。
「クソッ!当たらねぇ!」
「バカ、そうそう当たるか」
ひょいっと避けてやる水科に何度も何度も斬りかかる少女だが、避け受け流されを繰り返し、まともに攻撃が当てられていない。
「年齢相応の強さだな。佐地」
「黙ッ!ガッ!?」
佐地と呼ばれた少女は、腹を蹴り飛ばされ吹き飛ぶ。それを合図に、取り巻きの子供たちが一斉に襲い掛かって来た。
「くそっ!」
「やっぱ当たらねぇぞ!」
「お前らもな」
次々に水科に襲い掛かり、そしてぶっ飛ばされていく子供たち。後ろには銃やライフル持ちもいるが、立ち回りに差がありすぎてうまく機能していない。そこに間を縫って佐地が再度斬りかかるが
「くそっ!押し負ける!!」
「飽きもせずに何度も俺に勝負挑んで、そんなに楽しいか?」
簡単に力負けして吹き飛ばされていた。
「お前に言われたくねぇよ!」
「アンタだって挑みまくってるじゃん!」
「そうだそうだ!」
だが何度倒されても即座に立ち上がって攻撃を仕掛けてくる子供たち。弱いが故に攻撃を受けまくってしまうこいつらは、どこまでもタフで、受け身に関してはすでに一流と言っていいだろう。
「俺は楽しいからいいんだよ。いずれあいつらも超えてやるんだからな」
「「「こっちも同じだ!」」」
水科の動きに合わせて成長していく子供たち。だがその速度に比例して水科も対応能力を上げて、その差は縮まらない。
「じゃ、ちょっと能力使ってみるか」
「「「ッ!!?」」」
そう言った瞬間に地面が波打ち、水が水科の周囲を取り巻く。そしてそこに突っ込んだ子供たちは、爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
「おらッ!」
「強引だな。流石は不滅族」
佐地を除いてはだ。本来なら皮膚が焼け爛れたり抉れたりするのだが、彼女は高い再生能力で爆水をものともせず、強引に攻撃を繰り出し続ける。
「っと、危ない危ない」
「クソっ!爆風で狙いが定まりやしねぇ!」
だが負傷は無視できても、爆風で揺らされ続けるのでまともに攻撃が通らない。それにいくら再生能力が高いとはいえ、ずっと攻撃を受け続けるのは流石の佐地でも厳しかったのか、一旦距離を取っていた。
「打ち水程度じゃ意味ないか。そして波状攻撃ね。時間稼ぎか?」
水滴をまき散らして攻撃を振りまくが、風で逸らされ放電などで届く前に誘爆を起こされて届かない。そして水科の次の手を潰すかのように、取り囲んでいた子供たちは遠距離攻撃で爆水を攻撃し続ける。
「こっちには風とか電気の能力者がいるんだぜ。防ぐぐらいは容易だ」
「こりゃ爆発の嵐ですぜ、ボス」
「でも効いてないんだろうな」
「自分の能力で自爆するとかヘマはしねぇよな。にしても動かねぇな」
爆発で水科の姿は見えないが、アクションがないことに疑問を呈し始める子供たち。
「ん?下だ!気づけ馬鹿どッ!?」
正直水科が少しホンキを出せば、みんなを溺れさせて爆殺ぐらいはできるのだ。だが流石にそこまでする気はないので、こうやって地面から飛び出して殴り飛ばすだけにしている。
「弱いな。三級下位以下が集まったところで俺には勝てねぇよ」
「「「ぐっ!?」」」
佐地は戦槌で殴り飛ばされ、他の奴らは爆発で吹き飛びながら距離を取る。
「そもそも俺の得意分野は殲滅だ。相性問題も考えろよ、な?」
水科の爆水はどの分野との敵とも戦える汎用性の高い能力だが、一番は安定した高火力と異常な範囲を誇る殲滅である。同格以上になれば水科本人の技量や実力が必要になるが、格下であれば適当にばら撒いているだけで勝ててしまうのだ。
「クソっ!背中に目でも付いてんのか!?」
「佐地。お前の能力は超再生だったよな?攻撃を受ける前提じゃ俺とは相性悪いぞ」
気配を薄め背後から刀を振り落とす佐地だが、簡単に避けられ
「ガハッ!?」
「「「ボスッ!?」」」
戦槌で殴り飛ばされていた。
「一般流、俺でも中途半端なのに、それ以上に使い熟せていないお前らに勝ち目があるとでも?」
基礎スペックでも、技量でも負けている子供たちには水科に勝てる要素はない。この安全地帯では、独学と実戦だけではこれが限界だろう。
「ま、ここは安全地帯。戦闘経験も少なければ、卑怯な手を使う奴も少ない。これも仕方がないか」
「クソガッ!お前ら撤退だッ!覚えてやがれッ!!」
佐地がそう叫ぶと、子供たちは警戒しながら瞬動でその場から消えたのだった。
~おまけ~
・子供たちの強さについて
10歳以下の子供の強さは、五級~三級程度が基本。安全地帯なら中位でも強い方で、普通の町や外で暮らしていれば上位で強い方。危険地帯なら最上位やめっちゃ少ないが二級もいる。なお10歳以上になると、三級中位以上が大半で、頑張れば2級以上になれる。
因みに三級が使う一般流は、それとなくすべて使えるが未熟なので格上には通じない。得意分野だったらワンチャンってところ。