転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
連戦はできなさそうだと、予定してた戦いを明日にズラし拠点に帰る水科の元に佐地が現れていた。
「水科!なんだ、あの醜態は!」
「佐地か。お前には関係ないだろ」
一人で来たようで腕を組んでぷんすか怒っている。その理由は分かったが、関係がわからずに疑問詞が出来る水科。
「そんなことない!オレのライバルがあんな醜態晒したんだ!面目丸つぶれだ!」
「お前が俺より弱いのが悪いだろ。俺より年上なのによ」
佐地は一方的に攻め立てるものの、水科は呆れたように冷静だ。
「それは関係ないだろ!」
「そうだな。で、何の用だ?俺は早く帰って休みたいんだ」
水科は疲れていた。それもドッとだ。やはり技単体での精度はさて置き、基本的な循環などは劣っている様に見える。
「反省会だ!感謝しろ!」
「帰りながらでいいんなら聞くよ」
最初の頃は勧誘自体を避けるためにそもそも出会わないようにしていたが、最近では佐地を退けられるようになったため、逃げる必要がなくなった。そして佐地と絡むようになってからいつもこうだ。
「回復が遅いんだよ。循環も深呼吸も使える場面いくらでもあっただろ。そこでムラを正すなりしろよ」
「ああ、そうだな。ご指摘通りだ」
後から考えて見れば、できる場面もなくはなかった。だがその時思いつかなかったのだ。
「動きはいいんだが、中身がダメだな。お前は一度崩されるとすぐにダメになる」
「痛感してるよ」
全体的に悪くなく、一般流を使えるだけの技量も立ち回りも良く出来ているが何かが足りない。それは佐地に指摘された通り、非常時の安定性と即座な切り替えしだ。
「どうしてああも手こずるんだろうな?流れちゃんと感じればいいだけだろ?」
「どうしてだろうな?俺には難しいみたいだ」
同年代以上で言うと、水科以外は大体できる。戦闘力で劣っている佐地だって超再生以前に、その安定性と乱れを治す即効性ある動きはできる。だから狭間の住人は異常にしぶといのだ。
「お前の場合は、ダメージ喰らわずに安定した動きし続けなきゃすぐにボロが出るな」
「どこまでも同格以上に向いてない奴だな、お前の評価だと」
まさにその通りだ。今回の戦いも、これまでの戦いも能力の優秀さに頼っている部分が多い。そして水科の実力を生かせるのは格下の殲滅ぐらいだろう。変える変えると言いつつも、根本は中々変わらないものである。
その後も佐地の嫌みか罵倒かわからないアドバイス?反省会?が続き、拠点が見始めた時
「なんでこうも上手く行かないのかちゃんと考えろよ!解決するためになんかやれよ!いつも同じじゃねぇか!相槌だけじゃないくてまともな答えもないのか!」
佐地が声を荒げた。常に改善し、先へと進むために頑張り続ける彼女からすれば、水科は成果どころか頑張りすら見えない奴に見えているのだろう。そして佐地は、そんな奴に負けている自分が情けなく感じていた。
「ああ、悪いな」
昔から、その他大勢として佐地を知ってた。最近よく見る彼女は、仲間をまとめ慢心せずに常に頑張っていた。だからそれに比べると、水科は少々物足りないのだ。それは水科も薄々わかっていることなだけに、嫌なものから目を逸らす。
「甘いところが多すぎる!だから能力も上手く使えないんだ!もっと精進しろ!」
「言われなくてもわかってるさ。じゃ帰るわ。色々ありがとな」
疲れた顔でそう言い、拠点が見えてきたのでそのまま横を通り過ぎて帰ろうとするが、肩を掴まれる。それを反射的に振り払い殴打を繰り出すが、佐地も普通に対応し数歩少し下がるに終わった。
「大した対応能力だ。確かにお前の言う通りだよ」
「分かったらちょっとは練習しろ!」
すでに刀に手を置いている佐地がそう言ったのを聞いた後に、水科は小さくため息を付いて拠点に戻ったのだった。
~おまけ~
水科はまだ狭間の住人の感覚に追いついていない。