転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
あの後も何人かに絡まれたが、全員叩き潰し前線で勝利を収めた佐地の所へと付いていた。
「チィ、仕留めれなかったか。お前ら!警戒解くんじゃねぇぞ!って、ん?水科か」
「おい、これはどういうことだ?」
逃げていく子供たちを無視して、機嫌の悪い水科は仲間に指示を出す佐地へと問いかける。
「見ての通りだ。単なる抗争だ」
「それは分かってる。なんでここでやってんだ?」
ここに来るまでに子供たちの様子を見て、なんとなく自分に非があるという事を分かっている水科だったが、なぜ抗争になるまでに至ったのかは、佐地側のミスだろうと判断していた。
「お前の勧誘に来た時に鉢合わせた。島の取り合いだよ」
「そうかよ。てか何度も言うが、俺はお前らの仲間には入らんからな」
新参者であるあの子供たちは、水科と腹を割って話に来ていた。まぁそれがどんな手段であれ、交渉であれ、ここに近づかれた事は水科の落ち度だ。だが鉢合わせたからと言って戦闘になるのは違うだろうとも思っていた。
「そう言うなよ。オレたちは長い付き合いだろ?」
「それでもだ」
いつも通り、キッパリ断り周囲を見る。佐地の仲間の子供たちといつも以上にボロ付いた光景が目に入った。幸い自身の拠点にはこれといった悪影響はなさそうなのが救いだ。
「なんでだよ……じゃあせめてご近所さんとしての付き合いぐらい請け負ってくれよ」
「は?」
呆けた声を出す水科。そう、極力関わらないように生きて来た彼は、そんなこと一切した事がないのだ。親しい仲どころか、人との関り自体がほぼないのが水科の人生であった。
「なぁ、今までは適度に人が少なかったから出会わずに済んでも、これからはそうもいかないだろ?」
「……」
自分から話しかける事無く、絡んできた相手と偶然出会った相手だけと接してきた。だがこれからはそうもいかなくなるだろう。なんせ人が増えるのだ。組織だって勿論増えて、縄張りがハッキリし始める。
「ここは人が近寄らない端だが、それと同時にそこそこ安全な場所でもある。機所さんのいるような中心部に比べて利便性は落ちても、弱った組織が入り込む場所にしてはいいところなんだよ。わかってるだろ、それぐらい」
「……そうだな」
人が増える、活気づく。それ自体は悪くない。都会を目指すものとして避けては通れないものだろう。だが中に入ると言うのと、作り出されていく中にいるのとでは違うので、水科はこの状況を好ましく思っていなかった。
「組織同士の縄張りの境界線は、地形やそこに住んでる住人で決まる。コミュニケーションは避けられないぞ。今のお前は強いからいいが、もっと強い奴が出てきたらどうしようもなくなるぞ」
「そうだな……」
佐地の言う通りで、境界線の役目を果たす以上、その者は強くなければいけない。でなければ舐められて碌な事がない。
「今回はたまたま出くわしたが、それでなければあれはお前が相手すべきものだった。交渉とかできんのか?」
他組織の監視も行っている佐地たちは、今回怪しい動いをする者たちを見つけてここまで来たのだ。そこがたまたま水科の拠点で、勧誘もとなっているだけで、本来の目的は他組織への力の誇示である。
「そこら辺は問題ない。それに今回は礼を言う」
「そうかよ。で、補強でもしようか?」
水科は、そんな必要はないと返す。それに対し佐地は、やっぱ無理か……とみんなを引き連れて帰るのだった。
~おまけ~
・狭間の住人の思考回路
自身の感情を極力排した合理性から始まり、自分の考えを成り立たせるための理性、最後には完成させた感情とちょっとずつ学んでいくのが狭間の住人。
これによって狭間の住人は、大人に近づけば近づく程、人間味が増すことになる。なおこれは、親や育ててくれる存在の有無で色々変わります。