転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

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ボーとする。

 佐地たちが帰り、水科は屋上で寝そべってこれからの事を考えていた。

 

「ああは言ったがな」

 

 雲の上にあるガラス天井の先、海底の景色を眺め、時より見える巨大な何かの影を目で追いかけたりして考える。

 

「突っぱねる事しかできないぞ」

 

 こちらの住人は感情的になりにくいでの随分と話しやすいのだが、水科はそうではない。それに彼らは賢いしなれているので、冷静さを意識しなければ足元を見られるのは彼だろう。

 

「いや違うか」

 

 ふと思い当たる節を口に出す。

 

 

「俺には何もないんだ」

 

 

 前世もそうだった。水科には何もない。生きられるから生きているだけ、嫌なものがあるから退けているだけ。これと言ってやりたいこともないのだ。

 

「やりたい事、信念、根性……」

 

 本当に何もない。思い付きで、世界が見てみたくて旅に出るとは言っているが、それだけでは足りない。それだけでは、より強い思い、より明確な目的に負けてしまう。

 

 

 

「一般人は生きたいと思ってるのだろう。楽して、気楽に、楽しく生きるって言ってたっけ」

 

 そこらにいる一般人たちは、老若男女みんながみんな必死に、でも楽しそうに生きて言いる。彼らは何かが出来ると言うだけで楽しいし、それに全力になれる。

 

 

「職人は言わずもがな」

 

 やりたいことが明確な職人たちは、それに心血を注ぐ。そこまで、と思う事は多々あるが、それでも楽しそうだ。この世界の発展を見れば明らかだ。

 

 

「戦闘狂は……そのままだな」

 

 戦闘狂は、戦う事が生きがいだ。隙があれば戦っているし、すごく楽しそうだった。そのついでに強くなっていると言っても過言ではない程に戦っている。

 

 

「俺はどうしようか」

 

 無難に一般人だろうか?簡単にくたばる気はないが、強く生きたいと思ったことはない。運がいい事に水科は、大ダメージは負っても、致命傷や死にかけたことがないのだ。

 

「……なんか考えても無駄そうだな」

 

 色々と頭を過るが、ふと思っていた。あいつらはそんな事考えていない、と。自分が何であるかなどどうでもいい事だ。細かい事など考えず、日々を楽しそうに生きているだけだ。

 

 そう、こうやって――

 

 

「ああ、そういうことか」

 

 

 楽しんでいるのだ。水科が天井を眺めなら、どんな生物がいるのだろうかと、この世界はどうなっているのだろうかと、疑問に思った事。生活の知恵や戦い方を見て感心した事。戦闘して知人と遊んで面白いと思った事。

 

「心は豊の方がいいもんな」

 

 そのすべてにおいて、正の感情が多量に含まれている。それを受け取って、昇華しているのだ。

 

「じゃぁ……手始めにこの景色を眺めとくか」

 

 起き上がり、廃墟街を眺め、みんなががどう生活しているのかを見る。大した理由はないし、特にこれと言って考えはないが、ささやかな興味感心と共に心を潤していくのだった。

 

 

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