転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
あれから考えたが、答えが出なかった水科は、フラフラと散歩していた。
「騒がしくなったな」
人口が増えて賑やかになった街を見てそうもらす。多種多様な種族に老若男女が行きかう街並みは、まさに活気を取り戻しつつある再建都市のように見える。
「まぁみんな武装してるんだが」
しかし例外なく皆武装をして、いつでもドンパチ始められるようにはしていた。盲目っぽい青年も、杖を突いて歩く老人も、浮浪者も、群れている子供たちも、見た目にそぐわすそうだった。
「まぁ旨いもんが食えるからいいか」
露店も増え、おいしそうな匂いが漂ってくる。それにつられて、適当な店で串焼きを買って、食べ歩いて観察に戻る。
「あっちでドンパチやってんな」
見えやしないが感じるのだ。無関係の人が多い大通りではあまり起きないが、それ以外の場所では何時もこうやって誰かが戦っている。縄張り争い、ただのケンカ、腕試し、変なのに絡まれたなどなど、理由は様々だ。
「にしてもな、あいつらどうしよう」
増えた奴らの事も考えなければいない。特に近所に引っ越して来たそこそこ大きい組織の相手は大変そうなのだ。水科が見た感じ、最低でも30人はいる。恐らく、こちらに来るときにまとまったのだろう。
「手荒な事はしてこないだろうが」
敵を作るような事はしてこないだろうが、メンツを気にして強硬な態度はしてくるだろう。なんせ彼らにはそれぐらいしかできる事がない。力がないとどうなるかは、以前の場所で嫌と言う程味わっている連中だから。
「ん?」
そうやって気配を探っていると、変なヤツを見つけたようで、足を止める。
「誰だ?」
「へぇ~?気づいた?」
そう言って、一人の女性が水科に使づく。それを不思議と何の抵抗も警戒もせずに受け入れる水科。
「誰だ?新しい奴か?」
「違うよ。単なる旅人の一人。面白いのを見つけたから見に来たの」
そう言って黒髪ショートの学生服を着たような女性は、ニコニコしながら話しかけてくる。
「面白い?何がだ?」
心当たりがある水科は動揺を隠しきって惚けた。転生者だという事がバレれば、どんなトラブルに巻き込まれるか分かったものではないからだ。
「まぁ何もする気はないから安心して。そうだね、自己紹介でもしよう。私は山田 花子。貴方は?」
「水科 拓也だ」
花子は柔らかい笑みを浮かべて自己紹介をする。それに返すように水科も名前を教えていた。
「拓也ね。ありがとう。で、面白い事ってのはね。それは……」
そこで花子は言葉を止める。
「どうした?」
「いえ、これはそうね。やっぱ後のお楽しみって事で取っておいてちょうだい。じゃ私は次の人を見に行くからさ」
そう言って去ろうとする花子を水科は呼び止めていた。
「おい、もったいぶるなよ」
「そうね~、あ!じゃあ一つ。仲間は大切にね」
そう言うと花子は人混みに紛れて消えていく。その後ろ姿を見送った水科は……
「おい邪魔だぞ!」
「あ、すまん」
他の通行人に注意されて道を譲るのだった。