転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
ボーと他人を観察して時間が過ぎて数日。新しく隣に引っ越し着て来た組織に食事に誘われた水科は、暇つぶしと人間関係の構築のために店に来ていた。
「先日はすまなかった。お前さんの縄張りで騒ぎを起こして」
「いやいい。これと言って特に損害は出てないからな」
水科は新しく出来たばかりの料亭のような大きめの店に入り、案内された個室でボスらしきガタイのいい頭角族の和装青年に謝罪をされる。
「それは良かった。だがまぁ詫びと言っちゃなんだが、何かあったら言ってくれると助かる。出来る限りの手助けをさせてくれ」
「そうか、ならその時は頼む」
他にも自己紹介を踏まえつつ、そう区切りがついたところで、ふすまが叩かれ、料理が運び込まれる。
「ん?和食はお好みで?」
「ああ、ネットで見てな、一度は食ってみたかったんだ」
それは和食のような料理の数々で、前世であった高級料亭には劣るが、十分な完成度でとてもおいしそうだ。前世ぶりの和食に水科も少し期待目に見ているほどには。
「それは良かった。確かにここいらでは珍しい料理だが、この料亭ならいつでも食べられる。いつでも来てくれ」
「その時は頼む」
会話をしながら間を縫って料理を口に運ぶ。まずは焼き魚を食べてよく噛んで味わいながら頬が綻んでいた。
「気に入ってくれたようで」
「ああ、うまいよ」
米、魚、お浸し、汁物などなど、癖のない素材の味を生かした料理の数々。調味料は最低限で、それは様にプロの一言だ。
「本当にうまい。これほどの食事が出来る場所はどれほどあるか」
水科の言う通りだ。この世界は食の種類が多くても、現地調達を0除けば保存食や保存食材が基本だ。だがこれもそこそこ値が張り、個人で買うものであれば合成食糧がメイン。あれらも勿論うまいし手軽でいい物なのには変わりないが、やはり新鮮な食材からの作り立てにはどうしても劣る。
「うちの自慢の料理人だからな。そう言ってくれると嬉しい」
「そうか、わかった。大体な」
ここは彼らの店であり、拠点でもある。
「俺はとしては、邪魔しなきゃ口は出さんつもりだ。別に商売に関してもこれと言って言う事はない」
「そう言ってくれると助かる」
パィパクと料理を食べながら本件に入り始める二人。
「他の組織との抗争も得にない。まぁほどほどになってぐらいだ」
「ああ」
こいつらの目的は、前回の謝罪と関係作り。特に縄張りに接している俺との話し合いは重要だ。認識のすり合わせをしなければ、後のトラブルも多くなる。
「あと仲介に関しては期待すんな。俺もそう簡単に他人の組織に口は出せない。まぁ、睨み聞かせて小言と言うぐらいだ」
「いやいや、それだけで十分で」
付き合い長い佐地の組織にすら、水科は気軽に口を出せない。武力で制圧しようにも相当苦労するので、そっち方面でも期待できない。だが動きの抑制ぐらいはできる。そして相手はそれを期待していた。
「ならよかった。ま、俺からはこれだけだ」
「こちらもこれらかよろしく頼む」
正直、この話し合いを周囲の組織とやりまくっても、顔合わせ程度の意味しかない。メリットも大きくやる価値は十分にあるものの、争いの有無にはそう影響は与えない。
(いつも通り無暗に手を出さないfおこう)
(情報通り、いやそれ以上か。個人とは言え手を引くのが速い。嘘ではなさそうだが、いつ心変わりするかわからんから警戒は必須か)
しかし水科のように個人で動いている者には効果は大きかった。特に水科は、無暗にちょっかいをかけないので、中立になってくれる以上の価値があったのだ。
そうして、楽しい食事と雑談を楽しんだのだった。