転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~   作:バトルマニア(作者)

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いきなり半年!?

 転生者は目が覚めると、そこはどこかの廃ビルの中だった。そこで転生者は、壁にもたれかかり座り込んでいる。

 

「は?なにが……ッ!?」

 

 何がどうなっているのかわからず、手元にあった戦槌を杖代わりに立ち上がろうとしたその時、頭痛と眩暈が同時に転生者を襲い。

 

「な、なるほどな。通りで……」

 

 今までの事を思い出し、記憶を整理しだす。

 

「転生して半年……地球換算で六年か。そんで転生当初と合わせれば十二歳程度と。それと記憶は薄いがあるな。それよりも生き残る事に集中して押し殺していたのか」

 

 黒球体に転生させてもらってからおよそ半年がたっていた。だが碌に記憶を見る機会がなく、本能で生き残る事に専念していたため、時間経過でやっと意識が追い付いてきたのだ。

 

「体の調子は……問題ない。能力の方も……なんか思っていたのと違うぞ?」

 

 体を軽く動かし、問題ない事を確認する。そして能力を使ったが、少し違和感を覚えていた。それは感覚的なものではなく、黒球体との約束の差異であった。

 

「爆発系の能力?一応液体だから水人族の能力の派生か?」

 

 記憶を探っていると、その使い方やなぜこんな能力を得たのかの詳細が出てくる。

 

「なるほど、最初は液体操作だけだったけど、変質したのか」

 

 確かに強力な能力だった。身体能力も超人といえるほどに高く、すさまじい速度で成長していた。だがそれ以上に世界は過酷で、転生者を追い詰め続けた。その結果生まれたのがこの能力だった。

 

「この戦槌も、この能力も、火力不足を補うためのものか」

 

 生まれて半年しか経っていない転生者では、襲い来る敵を倒すことなどできず、それを補うために成長した結果である。

 

「さて、能力はわかったが、ここはどこだろうな」

 

 再度記憶を探りながら、ボロボロになった窓から外を眺めた。

 

「廃都市かな?たしか人も住んでるし、兵器や怪物なんかもいたと思うけど」

 

 その先に広がっているのは、どこまでも続くボロ付いた廃都市そのものだった。人か火災かわからないが、いくつか煙が上がっているところもあり、所々に倒壊した高層ビルも見える。

 

「俺が生存可能な範囲での最大難易度か。確かにそうだな」

 

 高度な文明だったのか、都市からかき集めた前世のものと遜色ない生活用品や、前世からすれば明らかにオーバーテクノロジーじみたものもいくつかあった。特に街中を徘徊している兵器に関しては、SFレベルの代物だ。

 

「それ以外はわからないな。生きるのに精一杯だったから。まぁ後で調べよう」

 

 過酷な世界だが、どこかワクワクしていた。

 

「で、だいたい分かったが、視界に見えるこれはなんだ?ってうおっ!?」

 

 視界の端にメールマークのアイコンが点滅表示されており、それに目を向けるとそれが開き、なにやら文章が飛び出してきた。

 

 

 

 拝啓 水科 拓也(みずしな たくや)様。

 

 この度はこの狭間世界に転生いただきありがとうございます。あなた様の要望通り、水人族に転生させていただきました。その際に容量のすべてを種族特性に振り分け、これにより転生先での環境や経験に合わせて、種族特性を主軸に適した成長をすると思います。そして次に転生先ですが、海底都市の端部分にさせていただきました。概要としては、狭間世界ではよくある、『大都市作ったけど人が集まらなくて廃棄された都市』です。一応は機械によって維持管理されていますが、人の管理人が極端に少なく崩壊を待つだけの都市なので、みんなと同じく自由に使ってください。

 

 PS

 意識が戻るまでの間は補助していたけど、これ以上はこちから干渉はできないから頑張ってね。あとこの世界じゃ僕を認識できる子は少ないから黙っといた方がいいよ。ヤバいやつ認定されるから。なんせ余ほどのことが無い限り僕は不干渉で認識できない……というよりそれをする必要なんてないからね。

 

 みんなの創造主、原初生命体より

 

 

 水科がその文章を読み終えると、溶けるように消えてしまった。

 

「は?消えんのかよ。邪魔だったからいいけど」

 

 そう思いながら他に何かないか探す。しかし特に見当たらず、ため息を吐いた。

 

「はぁ~、自由に過ごせか。どうしようか?」

 

 頼まれ事も命令もされていないのでその認識で合っている。だがいざ転生してみるとやることが無く、それどころか生き残る事で精一杯であった。

 

「とりあえず、強くならなきゃいけないな。あと中心部にも行きたいし」

 

 この世界は過酷で弱者は簡単に淘汰される。だから強くならなければいけない。

 

「全力でこの世界を楽しむ……か。これだな」

 

 そして水科は今後の目標を決めたのだった。

 

 




 ~おまけ~
 ・狭間世界の時間
 一年が12か月、一か月が300日の計3600日で、一日が36時間でできている。

 ・廃都市について
 狭間世界ではよくある無駄に高い技術力で作られた超施設だが、場所が悪く人が集まらずに廃都市になった都市の一つ。様々な者たちが海底に限らず陸空海、果てには次元や時空にすら都市や施設を作りまくっているが、大抵は人口が足らずに廃棄されまくっている。それどころか移動都市を作って放流している者たちもいる。また所有者がいなくなった施設などもそういわれている。
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