転生者の生存記~このイカれた過酷な世界で~ 作:バトルマニア(作者)
ドローンを破壊し終えた水科は、二人の元へと来ていた。
「あ~、こりゃひでぇ」
「だろ?身の丈に合ってなかったんだろうよ。今回は期待できねえだろうな」
ボロボロになった兵器を見ながら水科と子供がそう言う。
「っと、見てみたが小嶌の言うとおりだ。武装は使い物にならねえし、それ以外は偵察用と変わらない。苦労に釣り合わないどころか赤字もいいところだ」
鉱納は非常に残念そうな顔をしていた。それもそのはずで、うま味を全て潰された上、本来取れるはずだった利益も大幅に削られたからだ。
「あ~あ。うまく行ってたら二、三十日は安定したのによ。今週生き残れるかな?」
「しかたがないおだろ、あとその分には問題ない……が、またゴミ漁りだ」
「乱獲すると殲滅対象になるからな。それ以前にそんな実力ないが……」
こういうところにいる連中はどいつもこいつも金欠気味で、その週生き残るだけでも苦労する。それは水科も同じで、年齢の割に強いだけの彼は、彼ら以上に懐が寂しい。
「そういやあのドローンどうなった?回収した?」
「普通に壊したわ。俺にそれだけの実力はない」
「お前の能力ってホント攻撃的だよな」
戦闘と破壊に特化した水科の能力に、それだけのことが出来るはずがない。そもそもこれだけやって、やっと年長方にギリギリ追いつけるかどうかの差があるのだ。事実戦闘能力だけなら年上の鉱納と小嶌に匹敵する実力があるものの、それ以外は年相応か劣っている部分も多い。
「どうだ?俺たちと組むか?色々教えてやるぞ」
「いつも言ってるが、それはお断りだ。俺は一人の方がやりやすいんだ」
「そんなこというなよ~。慣れればすぐだって」
いつものように他の組織にやっているように勧誘を断るが、二人は諦めていないのか下がらない。
「それに俺は、大人になったら中心部に行く予定なんだ。どっちにしたって離れる羽目になるぞ」
「都会へ!?」
「上京する気か!?」
正気か?と驚く二人は、なぜか引き留めようと話し出す。
「都会なんて危ないぜ。あそこは魔境だ。のんびり生きてくなんてできなくなるぞ」
「そうだ。人手不足はここより深刻で勧誘だってここの比じゃないって話だ。田舎で引きこもってた方がいいぞ」
あらゆるものが集まる都会は、競争が激しく、いつもどこかで紛争レベルの争いが起き続けている。生き残るには組織に属するか、実力が高い奴じゃないとまともな生活が出来ない。
「物価が高いから金だっていっぱい必要だ。ここみたいに物々交換じゃやっていけないぞ」
「こっちで怪物や兵器の相手してた方がマシだろ。外と違って施設内は極端に強い奴がいないんだから無理に都会に行く必要は薄い。それにここにはアリスさんやメリーさんがいるしさ」
施設は言わば安全地帯に近い位置づけにある。それも外に比べれば程度の意味合いでしかないが、予兆が感知しやすく、そこに強い奴が近くにいることによってそちらに注意が向きやすいので、生存のしやすさは雲泥の差である。
「まぁ確かに都会に比べて田舎は人が少ないし、外敵の怪物の方が多くてムダな戦いは避ける事が多い。それにここじゃあの二人がいるから安全だろうけど、俺はただ都会に行きたいだけなんだよ。てか世界を見てみたいって言った方が良いか。まあそんな感じだ」
水科は世界を見てみたかっただけだ。都会に行きたいのもその一環であり、最終的にはこの海底都市を出て外の世界に行くのが目標である。
「……わかった、とりあえずだ。解体と運搬、手伝ってくれよ水科」
「俺たちだけじゃ大変でな。報酬ありきだからさ」
「ああ、手伝うよ……」
そうして水科は、二人の作業を手伝うのだった。
~おまけ~
・都会について
人と物などが集まる魔境のような場所。人が多いため常にどこかで争いごとが起きており騒がしい場所だが、大半の狭間の住人にとっては大した問題ではない。対人戦が得意なやつが多い。
・田舎について
人が少なくみんな支え合っている場所。種類にもよるが、大体の施設型田舎は安全地帯と言って良いほど穏やか。人同士の争いは少ないが、怪物たちの被害が多い。そのため対怪物が得意なやつが多い。