転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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転生できるらしい

 

 男は気が付くと真っ白で何もない空間にいた。

 

「え?は?」

 

 驚きのあまりもう一度辺りを見渡すが…、何もない。

 

 どういう状況下理解できず頭が真っ白になり、ただ何もない、と言うか立っているのか浮いているのかすら分からない空間で、男はなにも出来ずにいた。

 

 

 

「お~い、そこのキミ。ちょっといいかい?」

 

 そう呼ばれ、男は急いで声の聞こえた方に意識を向ける。

 

「なんだお前、ここはどこだ?」

「思った以上に冷静だね」

 

 そこには認識できる程クッキリとした真っ黒な球が浮いていたのだ。

 

「思うところがないわけじゃない。ただ気にする程のことじゃないだけだ」

「すごいね、キミ。まぁいいや、だったら普通に説明するね」

 

 そう言いつつ、黒い玉は経緯を話し出す。

 

「キミは死んだんだ。コンビニで雑誌を読んでいるところに自動車が突っ込まれてね。だから転生させてあげようと思って、声をかけたんだよ」

 

「死んだ?それに転生?どういうッ!」

 

 そこで記憶の一部が蘇った男は、頭痛に頭を抱える。だが経緯を知れたお陰か、大して混乱している用見は見えない。

 

「転生ってのは……やらなきゃならないのか?」

「どっちでもいいよ。ただの暇つぶしだしね」

 

 まず拒否権の有無について聞き出す男。だがその返答は呆気ないもので、お好きにどうぞということだった。なので男は、少し考えた後……

 

「それじゃあ、頼む」

「分かった。じゃあ転生するにあたってなんか要望ある?行きたい世界とか、欲しい才能や能力だとかさ。出来るだけ願いは叶えるよ」

 

 再度考え込み、しばらくした後、検討を返す。

 

「転生者のいない、または少ない世界に行きたい。あとその世界の大まかな知識とか、純粋に高い身体能力とかだな。病気とかにもかかりたくない」

 

「わかった。転生者と悪影響が少ない世界へ送ろう。それで能力だけど、健康で強い体と万能って能力を与えるよ。万能は、万人ができることができうるようになる力さ。特別なこと意外なら何でも出来るよ。あと知識だね。細かいことは万能でどうにかなるから、大まかな説明だけするよ」

 

 そして細かい説明がなされる。

 

「キミが行く世界は、魔法や迷宮、魔物なんかがいるいわゆるファンタジーのような世界だ。文明レベルは、便利だけど、未開拓地や危険が多いってとこな。人類種は魔人や亜人、人間なんかがいるね。完全にではないけど、種族的な目立った差別とかもないよ。これも全部、転生者のお陰だね」

 

 黒球はそう言いつつ、イメージを転生者に送り込む。そこには広大な大自然やいくつかの国や迷宮、各種族の見た目などが入り込んできていた。中には研究所なのか近代施設のようなものが複数存在したものの、多くはザ・異世界ファンタジーさながらの風景だ。

 

「過酷だが、まぁ悪い世界じゃないな。文明も発達しているし、種族間での嫌悪さもない。その転生者ってのは相当頑張ったんだな」

「うん、探索者組合ってのを作ったり、種族の壁を取っ払ったり、技術や文明発展とか、何回も転生して、何百年ってかけてどうにかしてきたのさ」

 

 ここでは言い表しきれないほどの功績を立て続けてきたその転生者は、勢いが落ちたと言え今でも顕在だそうだ。

 

 

 

「そうか。……そういや俺は転生したあとなにかすることとかあるのか?」

「特にそう言うのは考えてないかな?自由に生きていいよ」

 

 あくまでも暇つぶし、そこまでの事は考えてないと。それに安心し、最後の要望を言う。

 

「人が少ない辺境に転生させてくれ、俺は必要以上の人との関わりが嫌いなんだ。厄介事なんてゴメンだからな」

 

 前世で何があったのか、それともただそういう性格なだけなのか、そう要望を出す。

 

「ああ、なら良かった。転生したら子供の姿で辺境の集落近くに生成されるからね」

「ありがとう。色々とすまないな」

 

 礼を言い、早速転生……となる前に、最後に気になった質問を聞く転生者。

 

 それはこいつの存在についてのようだ。

 

 

「そういやお前ってどういう存在なんだ?」

「…忘れちゃったな。ただ神とかではない事は確かだよ」

 

「そうか、分かった。ありがとな」

 

 

 そう言った瞬間、転生者の意識は途切れた。

 

 

 

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