転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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道具説明

 ユウヤたちは拠点に帰り、数日ほのぼのと過ごしていた。その間特にやることもなく、いつも通りの日常を過ごし、そしてついに約束の時がやってくる。

 

「できたよー!」

「ついにか」

 

 そう言って元気よく家に上がり込んだアルラウネは、作った道具を並べ始めた。

 

「我ながらいいものができた。いい経験にもなったし、本当感謝してもしきれないよ」

「テンション高いな……」

 

 少々興奮気味なのが気になるが、それだけいいものができたんだろうと思うユウヤ。

 

「で、説明お願いできるか?」

「もちろん」

 

 リアがそう言い、アルラウネは笑顔で頷き、まずはと言ってロングコートを見せつけてくる。

 

「コートか?」

「それだけじゃないよ。中の服から履物までちゃんと用意してるから」

 

 ズボンにパンツ、下着にシャツと、羽織もののコートや靴を含め身に着けるものとしては一式分が二人のために用意されていた。

 

「中の服は予備もあるし、いざってときも心配不要よ。ま、そうならないように色々と付与しといたけど」

「聞いても?」

 

 自慢げのアルラウネにそう問いかける。

 

「まず属性や魔法を筆頭にした各種耐性。あと自動で修繕と浄化、サイズ調整に懐にちょっとした亜空間機能まで付いてるわ」

「……随分とすごいな」

 

「これもあなたが魔石をくれたおかげよ。でもちょっと物足りないのが、コートに比べて中の服が一段劣るのと、強化系を付与できなかったところね。流石に容量が足りなかったわ」

 

 付与できる力の量は、素材と大きさに比例する。ロングコートにしているのも、より多くの力を付与するためであった。

 

「これだけでも、こんな中堅迷宮じゃまず手に入らない装備ね。それこそ質で言うなら最上位迷宮の深層付近か、素材と大金かけて名匠にでも頼み込まなきゃ無理なものよ」

「そこに置かれた道具たちもか?」

 

 いかに自分が用意したものが凄いかを話し、ユウヤの質問に頷くアルラウネ。

 

「魔法があるとはいえ、あったほうがいいものを作っといたの。あと魔法は強力で便利だけど、それの対策をしてくる相手も普通にいるからね」

「なるほど、確かにな」

 

 懐中電灯やナイフ、水筒からピッケルなど、普通に旅をしたり迷宮に潜る際に役立ちそうなものまでを見せてくる。

 

「にしても、よくこんなの思いついたわね。こんなの迷宮どころか町にすら中々置いてないわよ。まぁ個人店は知らないけど……」

「この世界、転生者とかいるらしいからそれっぽいのがあると思ったんだが……そうでもないのか?」

 

 ユウヤは自身のことを転生者であると誰にも明かしていない。そしてこの世界の世間一般的には、転生者など全くと言っていいほど知られていないが、なぜか迷宮側はある程度把握しているようで、ユウヤもその話を聞いていた。そのため極まれに生まれる転生者が、何かしていないかと考えていたのだ。

 

「転生者?確かにいるけど、大抵は個人用に作ったり、魔法や迷宮産ので事足りるから、それらしいものを作って広めてるのは探索者組合の組合長ぐらいね。それでもうまいこと作れないみたいで、量産までされてるものは少ないみたい」

「世間に出回るようなものは少ないか」

 

 技術的にも環境的にも障壁が大きすぎるため、新しく作り出される便利なものは少ない。そのため、既存のものの改良や迷宮産の物品の模倣品を頑張っているようだ。

 

「ま、仕方がないわよ。何をするにも前提が違うしね」

「そうだな」

 

 魔力がある世界とない世界。魔物がいる世界といない世界。基本的な条件が同じでも、一つ二つ別のものがあるだけでもまったく話は変わってくる。

 身体能力が高ければ重機などは発展しずらいだろうし、移動も馬を強化したり、魔物を使役したり、もっと言えば魔法で瞬間移動とかできれば自動車など必要ないだろう。

 

 

「ところであなたたちは、この森を出ていくのよね?」

「そうだな。ちょっと世界を見て回りたいんだ」

 

 先にも話していたことだが、アルラウネは少し残念そうに聞いてきた。

 

「私としてはずっといてくれていいんだけど、というかいてほしんだけどね。せっかく仲良くなれたし、頼りになるし」

「まぁやることなくなったら帰ってくるさ。それでどうだ?」

 

 迷宮主は基本一人だ。なぜなら会話できるほどの知性のある配下や仲間はコストが高く、人類とは命を取り合う関係であり、ユウヤたちのような例外がいなければ会話の数も極端に少ない。一応迷宮主同士での情報交換や素性を隠して人里に下りたりもするが、前者は直接会うことは珍しいし、後者は身の危険の事を考えれば気の休まることはないだろう。

 

「そう言ってくれると嬉しいわね。じゃあ気長見待ってるわ」

「そうしてくれ」

 

 そうして別れを告げた両者は、各々の目的のために動き出すのだった。

 

 

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