転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
ユウヤたちと離れたアルラウネは一人になってとあることを考えていた。
「あのこたちは、ホント不思議ね」
ぽつりとそう呟く。
十五年前、アルラウネが迷宮主になって間もないころに突然現れたユウヤ。それに外からやってきたリア。二人は迷宮主のアルラウネにとって特別な人物で、そしてどこまでも不思議な者たちでもあった。
(昔っから見てたけど、素性が全く知れないし、子供の状態でも生き残ってるしで、見てて飽きなかったわ)
侵入者のいない迷宮は基本孤独だ。そんな時に現れた二人にくぎ付けになったアルラウネは、長年二人の動向を見守ってきた。
(それにあの子たちのおかげで私もここまで生き残って成長できたし)
そして同時に、二人の影響でアルラウネは外からやってくる侵入者を退けられ、成長し続けてこられた。これは二人が魔物を倒し続け、同時にここにとどまり続けたことが大きい。
(ホント感謝しかないわね)
迷宮は周囲を利用し維持や成長をするが、生物、特に人類を利用することで高い成長能力を得ることができる。だがそれは果てしない生存競争の幕開けにもつながる。しかしユウヤとリアは、迷宮攻略など目もくれずに迷宮内で生活をしてうまみだけを落とし続けた。
(だからあの程度しかお返しができないのは物足りないところだけどね。空回りが多かったから)
戦力を最低限しか持たずに、残りをすべて豊かに全振りしてユウヤたちがより住みやすい環境へと作り替えた。しかしそれが仇となって外からの侵入者が増え続け、そしてユウヤたちはそのすべてを退けた。
(多分気にしてないでしょうし、今回のこともただ運がよかったと思ってるんでしょうけど……)
本来迷宮主は人類とは相いれない存在である。善悪の感情はなく、それはある種の義務であり、世界の維持に最も効率がいいというだけでそうしているに過ぎない。アルラウネも初めはそうであったが、知的存在として感情があるものとして、情がわいたり仲間意識が出たりなどは当然ありうる話だ。そして今回は特にそれが強かった。
(いえ、やめておきましょう。きっとあの子はそんなこと考えないわ)
長年見てきてわかっていると、考えを心の奥にしまい込む。
(こう考えるようになったのはいつ頃かしらね)
ユウヤはリアに様々なことを教えていた。アルラウネもそれをずっと聞き続けてきた。それは生きていく上で重要で便利で、ありふれてはいるが人として大切なことだった。それをまるで、見て聞いて経験してきたかのように語り、自分と同じ苦労や失敗をしてほしくないと願っているかのように教えていた。
「……さて、私も頑張らなくちゃね。あの子たちがいつ帰ってきても迎え入れられるように」
そうしてアルラウネは、一人森の中へと消えていくのであった。