転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
村の柵が見え、入り口付近にいた人と簡単な挨拶をして村の中へと入る。
「案外簡単には入れたな」
「人が多くなってるだろ。それのせいだ」
開拓村のような扱いで、つい最近になって多くの資源があることがわかり、絶賛好景気まっしぐらになったこの村は開拓が進みに進んでいた。そのことにより人の流入が多くなり、警備などが手薄になっているのだ。
「追いついてないと?」
「それもあるが、発展を重視してるってのもあるな」
好景気になると人は浮かれるものだ。些細なことは気にしなくなるし、仲間が増えれば心強くもなる。だから余程の事が起きない限りは目を付けられない。
「そうか~。じゃあこれからここは治安が悪くなるな」
「そうでもないと思うぞ」
宿を探しながら村の中を歩いていると、とある建物が目に入りそちらに目線を向ける。それに続いてリアもそこを見て納得したような顔をした。
「あ~、探索者組合か」
「まだ仮だろうが、あれがあるだけで十分な抑止力だろ」
迷宮かそれに匹敵するほどの利益があると見込まれている場所にやってくる組織“探索者組合”。今は小さい仮施設だが、森にある資源に感づけば本格的に立派な施設が立つことだろう。
「ああいう組織は荒くれものが多そうだけど?」
「下は雑用から上は腕っぷしまで集まってんだ。そう見えるのも無理はないだろうが、基本は信用でできてるし評価とか等級とかあるらしいから出過ぎた真似をする奴は少ないと思うぞ」
悪評が立てば商売がやりずらくなるのは必然なので、どうにかして民度を上げてでも回避しようとするものである。国家と契約してまたぐほどの組織となるとそれは必要不可欠であり、そもそもそういうことを目的にしている組織なだけあって、結構キチンとできていたりする。
「一番強かったら好き勝手出来るんじゃないのか?国家とか乗っ取れそうじゃん」
「ホントに一番強かったらそうするかもな。まぁそこまで登りつめた奴が、そんなことに興味持つかどうかわからんが」
人間は集団生物なので、ユウヤたちのように関係を薄くできても、完全になくすことは不可能に近い。だからわざわざ何の理由もなく敵を増やそうとはしない。
「ふ~ん。確かに威張っててもいいこと少なそうだしな」
「そういうことだ」
最強無敵、完全無欠にまでなればどうかわからないが、そんなものになれる存在などいやしない。というか、そこまで行けば本人の意思とは関係なく恐れられて恐怖支配が始まるだろう。人間を逸脱した者がどんなことをしでかすかなどわからないのだから
「そういや組合には入るのか?」
「いや入らん。めんどくさいし」
行動を縛られることを嫌うユウヤは、即答でそう返す。先にも述べているが、探索者組合自体は非常に良い組織なのだが、どうにもユウヤの肌には合わなかったようだ。
「お得な特典とかついてきそうだけど?ほら、町に入るのが楽になるとか」
「入れなきゃ諦めるだけだ。変な関係は作りたくないんだ」
誰かに頼ることを嫌うユウヤは、どこかに明確に所属することをよく思っていない。それは縛り付けられると同義であり、自由にしたいユウヤの考えとは違うからだ。
「仲間意識とか苦手そうだもんな、兄貴は」
「……否定はできんな。ところで、リアはどうしたんだ?入るのか?」
「いや入るわけないじゃん。兄貴が入んないんだから」
ユウヤの質問に、こちらも即答でそう返す。
「だな。それが一番だ。近づかんように」
「それは言いすぎだろ。っと、あれ宿屋じゃね?」
そんな話をしながら村を散策していると、無事目的の宿屋を見つけた二人は、そのへと近づき表に出ている看板に目を向ける。
「相場がわからんな」
「探索者なら割引付くのか……」
そういう反応をした後に、宿の中へと入っていくのだった。