転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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森の中

 昼飯を食った二人は、資金稼ぎのために森の中へと来ていた。

 

「魔物狩りと素材採取だったっけ?」

「そうだ。魔物狩りはそのままだが、素材採取の方はその時教える」

 

 森の中を歩きながら薬草などがないか探すユウヤ。図鑑のようなものは持っていないが、そういう知識も一通りのことは頭の中へ入れているので問題ないのだろう。

 

「あいつには会わないの?」

「アルラウネか?まぁあっちから来たら会うだけだな。こっちから行っても迷惑なだけだろ」

 

 採取しやすいように一応迷宮判定されている場所にいるので、アルラウネに会わないのかと聞かれるが、迷宮主と人類の関係はよろしくないので会わないと言うユウヤ。

 

「あ~、見られても困るしな」

「そうだ。警戒はしてるが、探索者とか騎士団もいるからな」

 

 それに納得するリア。未知の脅威や実力者がいるので、そう言う可能性は低く……いや、完全に消すために、そういう行動そのものをしないことにしたようだ。特にこういう人が少ないところだと、撒くのも大変だと付け加える。

 

「こういう会話もあまりしたくないんだがな。精霊とかもいるらしいから、どこで情報が洩れるかわからない。リアも気を付けとけよ」

「は~い。わかってるよ」

 

 精霊に限らす、魔法や能力などもある。なのでどれだけ対策してもしきれないのだ。とは言え気を張り詰め過ぎてもよくないし、無理なものは無理だと割り切ることも大切なため、できる限りの対策をしていけばいいだけの話でもある。

 

 

「っと、見つけた。こういうのだ」

「……雑草にしか見えないぞ」

 

 そう話していると、目的の薬草を見つけリアに見せる。だがリアの反応はあまりよくなく、そこらの雑草と同じに見えるらしい。

 

「まぁ見た目はな。でも中身は若干違うぞ」

「……確かに、なんか力を感じる」

 

 薬草にもそれなりの種類があり、特徴を知らなければそこらの雑草と見分けがつかない。ただ確実に違うところがあるとすれば、よく集中すれば感じ取れるだけの力が籠っているというところだ。これは高位の薬草になればより強く感じ取れるようになる。

 

「あ、でも毒草にも似た種類あるから気を付けろよ。ちゃんと教えてやるから」

「だろうな。そう思ったぜ」

 

 あくまで特殊な薬品に使えるほどの力がある素材がそう感じるだけで、それが人体にどういう効果を及ぼすかどうかは千差万別だ。どんな傷や病気も直す薬になる薬草もあれば、その逆に人体に毒にしかならない毒草も勿論ある。だから結局はある程度の知識は必須なのだ。

 

「あと取りすぎんなよ。ないとは思うが全滅したら大変だからな」

「わかってるよ。そもそもそんなに売れないだろうし。てか迷宮内だから大丈夫じゃ?」

 

 魔物もそうだが、迷宮内にあるものはとにかくしぶとくどれだけやっても全滅しない。事実定期的に魔物を殲滅していたが、それでもすぐに魔物の数は元に戻っていた。これは迷宮から勝手に資源や力が供給されているのと、この迷宮は特にだが外側から流入してきたからだ。そして制御に失敗するとアルラウネのようになる。

 

「他の人もいるだろ」

「そっか。だよな」

 

 そうして薬草を探しながら、チマチマと薬草を採取していく二人。やはり迷宮内なのがいいのか、それは順調に進む。

 

 

「なんか魔法でちゃちゃっと見分けて取れる方法とかないのか?」

「ないわけじゃないが、お前それ出来ないだろ」

 

 しばらく採取していたら、リアが急にそんなことを言い出す。どうやら魔法や能力を使えばもっと楽に済むのでは?と考えたようだ。

 

「そうだった。オレ闇魔法以外苦手だったわ」

「だろ?それに魔法が万能でも、それを扱う人はそうでもないんだ。想像力とか賢さとか、それを実現させるために相応の魔力量も必要だし」

 

 言ってしまえば自分の都合を無理矢理押し付けるものなので、最低限押しのけるものより強固でなければならない。だからこの世界の魔法は、世界の法則に沿った魔法、多数派である物理法則系に偏っている。流れに逆らうより流れを利用した方が効率がいいから。

 

 それにリアの言った『薬草を分けて回収する魔法』があったとしても、使用者が知っている薬草しか回収できないだろう。なぜなら、想像力が関わっている以上、判別や理解は欠かせないからだ。

 

「ものをキレイにする魔法とかは?服とか一瞬でキレイになるやつ」

「物体を振動させて、微細な風魔法で吹き飛ばしてるだけだろ」

 

 『ものをキレイにする魔法』も物理で説明が付く。そして小さな差異は、無意識や魔力の性質、現実の修正力などが補ってくれる。なのでどんなものも結局、現実に出力されている時点で物理法則からは逃れられない。新しいものができたところで、それも物理法則に組み込まれるだけだ。

 

「じゃあ回復魔法は?あれ使うにもいろいろ考えてるのか?」

「自然治癒とか本能的なもの利用してんだろ。細胞分裂は生物の基本だし」

 

 病気を治すなり、傷を治すことは、生物が本来持ち合わせている能力を使っているので、それを強化したり働かせるためにエネルギーを突っ込めばいいだけなのだ。その他流れを元に戻したり異常を排除したりとあるが、一番は対象にとって無害で都合の良いものでなければならないという条件があるので、使用者は結構少ない。

 

「へ~色々あるんだな」

「わかってないだろ。また量子力学の話でもしてやろうか?」

 

 適当に話していたが、リアの理解度が少々足りないと感じたユウヤは、昔した話を持ってくる。そしてついでに詳しく勉強し直すか?とも考えていた。

 

「いやだね。古典力学だけでお腹いっぱいだって。てかなんでそんなに知識いっぱい持ってんだよ。天才か何かか?」

「前にも言っただろ、能力だって。それに知識を付けるのは面白いぞ。生活が楽しくなるし、戦闘の幅も広がる。リアだって色々できるようになっただろ?」

 

 魔法も能力もその他大勢の力も、使うだけなら感覚だけで十分だ。それをより強力で便利にするために知恵や知識が必要になるのだ。

 

 

「そうだけどよ~。ちょっとオレの頭じゃ……ん?魔物か?」

「そうみたいだな。まぁあれぐらいならすぐ終わるだろ。ちゃっちゃっと終わらせてこい」

 

 魔物の気配を感じ取ったリアは、自分が行くと言った目でユウヤを見て、ユウヤもじゃあさっさと終わらせて来いとリアを送り出す。

 

「やった!もちろんだぜ兄貴!」

「そうかそうか、頑張ってな」

 

 それにウキウキになったリアは、さっそく木刀を取り出して魔物を狩りに駆け出すのだった。

 

 

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