転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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転生できたらしい

 

「んっ、ここは……」

 

 転生者は辺りを見渡す。そこは木々が生い茂る森の中だった。どうやら無事転生できたようだ。転生者はもたれかかっていた木から、体を起こそうと力を入れる。だが力のかけ方が上手くいかず、立ち上がった瞬間に倒れてしまう。

 

「はぁ~」

 

 溜息を吐きもう一度立ち上がるが、またもや転倒。そうやって何度も繰り返していると、歩けるくらいには動けるようになってきた。

 

 そこで転生者は体を伸ばしたりしながら、自身の体を確認する事にした。

 

 

 

「大丈夫そうだな」

 

 服装は布の服の様なもので、体は黒い玉が言ったように子供のものになっている。見た目からしたら二歳程度だ。

 

「……どうにかなるだろ」

 

 仕方がないと楽観視して、周囲を確認する。どうやら転生者の要望通り、辺境の森の中での転生らしい。

 

「要望通りだな。基礎能力の引き上げと、能力の万能。転生場所も結構いい」

 

 能力を使い、自分にできる事と、できるだけの情報を集める。

 

「できなくもないが、割に合わない。やっぱまずは知覚しなきゃ始まらないな」

 

 だが元の情報が少なく、大した情報が出てこない。さらに言えば容量に限界があるようで、曖昧で中途半端な上、無理に使うと頭痛がしてきていた。

 

「まずは集落を探そうか。入るかどうかさて置き、場所の把握は必須だ」

 

 そして完全に慣らした体を使って、集落の場所を探しに行くことにした転生者。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだな。まったくわからん」

 

 

 ……数時間後。転生者はまだ集落を見つけ出せずにいた。当たり前と言えば当たり前で、日も傾き始め、辺りは暗さを帯び始める。それに何時間も森の中を歩き続けていたので、足も限界に近い。

 

「困ったな。初っ端からこれか。当然と言えば当然だが……」

 

 空腹も感じ始め、十大な間違いをしたのでは?とそう思い不安になってきたその時、遠くの方で何かを見つけていた。

 

 

 

「あれは?」

 

 人ではなかったが、そこには一つの大きめの籠があった。

 

 なんでこんなものがここに?そう疑問に思う転生者だったが、同時に良かったとも思っていた。なぜなら、人工物があるということは、近くに人が可能性が高いからだ。そう思って辺りを確認するが、特に人がいた形跡は見当たらない。

 

「大人の気配はしないな。中身は?」

 

 仕方がなく籠の中身を確認するために中を覗き込む。するとなんとそこには、タオルでくるまれた状態で眠っている赤ん坊がいた。

 

 見た感じ歯が生えてるようで、大きさからして一歳越えていないくらいの子だ。

 

 

 

「……なんでこんなところに?」

 

 捨て子かなにかだろう。生きているようだが随分と時間が経っているようだ。それは籠やタオルの汚れ具合から予測で、元々汚かっただけかもしれない。取り敢えず捨て子という線が濃厚だろう。

 

 そこで転生者は考え込む。

 

「今の俺にはなにも出来ないな。力もなきゃ食糧もない」

 

 一人で生きていくという前提でいる転生者は、誰かを養うということを考えてすらいなかった。だがこんな赤ん坊を見捨てることもできないようで、打開策を考える。

 

 

 

「ん~?」

 

 悩みに悩んで、上を見上げてみると、何やら果実の様なものがあった。

 リンゴに似ているが白い斑点があり、毒でも付いてそうな見た目だ。そこで能力を使い食べれるか確かめたところ。

 

「食えるみたいだが……どうやって取ろう」

 

 高すぎて手が届かない。そこらに落ちてある長めの棒を使って取ろうとしたが、それでも届かない。

 

「木登りでも……」

 

 そう思って木に足をかける。

 

 

「以外に行けるな」

 

 思った以上に簡単に登れ、そのまま二つのリンゴを取って下に落とす。

 

「二つか」

 

 リンゴを拾い上げながら、そう呟いた。安全を考慮した結果、取れたのは近くにあった二つだけだったのだ。

 

「ん、美味い!」

 

 毒ではないことは確かだが、美味いことは保証されていなかった。だから思った以上に美味かったので驚いていた。それを食べ終わった後、少し考え一つのリンゴは、赤ん坊が起きたあとにすり潰して食わせる事にしたようだ。

 

「動いたら眠くなってきたな。取り敢えず一旦寝よう」

 

 そうして転生者はリンゴを持ったまま、疲れを癒やすためにそれ以外は特に何も考える事なく眠りについたのであった。

 

 

 

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