転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
目の前のオークを斬り倒し、一息つくユウヤ。
「はぁ~これで最後か」
『ありがとね。そっちのはそれで最後よ。別方向のはリアちゃんが全部倒しちゃったから』
思念伝達のような、電話のような不思議な連絡手段でそれを聞いて少し呆れるユウヤ。リアの戦闘狂っぷりには毎度呆れているのだ。今回だって、楽し気に魔物の場所へ走って行っていたほどなので、いずれ何かやらかすのではないかと心配している。
「そっちはどうなんだ?迷宮を安全な場所に偽造するって言ってただろ」
『こっちは大丈夫よ。今回の件で迷宮内の魔物は排除できたし、あとは管理を間違えなければ、人間にとってうまみしかないように見える迷宮になるわ』
組合から目を付けられ、更には騎士団までいる現状で自身を隠し通すのは不可能に近いと判断したアルラウネは、それっぽく低級の迷宮の振りをすることにしたようだ。
『まぁ安心して、重要な場所はバレないようにするし、一般人でも入れる程度の難易度にするつもりだから』
「迷宮って一般人でも入れんのか?なんか厳重に管理されてるイメージがあるが」
拠点へ帰りながらそう話すユウヤとアルラウネ。
『これは迷宮側の功績ね。迷宮にとって人が入ってくるだけでも収入になるから、浅い階層は誰でも入れるようにしてるところが多いのよ。あと、入り口複数作ったり、他にも色々画策してるみたいね』
「なるほど、俺たちにはうれしい話だが、人類側にとってはたまったもんじゃないな」
管理したり、出入りに制限をかけようとすると嫌がらせをしてくるとか、とんでもない連中である。まぁそう言う迷宮側の努力があって、余程危険な迷宮でない限り基本誰でも入れるようにしてあるらしい。
『でも私たちにとって人類って一番大きな収入源だからね。それを絶たれて、確実に攻略したり死なないような奴だけ送り込まれても困るのよ。だからせめて数で補わないと運営が厳しくなるし、仕方がないわよ』
「世知辛いな~」
まさにその通りである。できなければ衰退して消え去り、またどこかで次の担当が発生する。それは迷宮にとって死を意味し、極力避けるべき状況だ。
『あ~私も地脈とか霊脈の上で生まれたかったな。そうすればそこの管理だけでよかったのに』
「そんなところもあるのか?配属先でやること変わるのはどこも変わらんな」
星や土地の力の流れの管理職に着ければ、場所によっては人と関わらずに大きな力が使える。とはいっても基本的に流れに異常がないか監視してたり、あった場合の対処やその場の守護など、いざとなったら危険度が跳ね上がる。なんせ力ある場所は、人類だけではなく魔物などにも狙われる可能性があるからだ。それも強力な相手になりやすい。
『ところで、これが終わったらすぐにあの村を出るんでしょ?』
「そうだな。今日は流石に止まるが明日の朝には出発する予定だ。厄介事はごめんだからな。少しでも離れておきたい」
あと一泊分残っているのはもったいないが、これ以上に厄介事に頭を突っ込むのはごめんだと考えているので、ユウヤは今日帰った後に手続きを済ませ明日の朝にでも出ようかと考えていた。と言うかそう決めていた。
『次行く町は決まってるのよね?』
「ああ、地下洞窟のある迷宮のある町だ。一応この国の王都まで行って観光したいと思ってる。その後は適当に放浪して、飽きたら返ってくる予定だ」
村の中で情報収集しているだけなので、人づてに聞いたこと以外わからない。せいぜい、方向や道のり、特徴的なところまでが限界だ。
『そう、じゃあ私が迷宮に口利きしてあげる。お金の面とかでもそっちの方がいいでしょ?』
「いいのか?てか大丈夫か?」
たまたま仲良くなれただけのアルラウネと違って、他の迷宮主はどういったやつかはわからない。ユウヤにとっては、人よりわかりずらい相手である。
『大丈夫よ、それに人間よりマシなのが多いわよ。貴方のキライそうなのは少ない方だし。なんせ基本関わる人が少ないしね』
「そうか。ならお願いしようかな」
基本的に迷宮主は、人間で言う権力者的な立ち位置の人は少なく、仲良しパーティーでやっている奴が多いのだ。なんせ余計なことをせず、ノルマをこなす以外は特にやることがない奴らである。そして何より、人類に比べ数が圧倒的に少ない。
『そうと決まれば、帰ってきたらすぐにどうするか話しましょう』
「そうだな。よろしく頼む」
そうして迷宮との繋がりができたユウヤは、通話を切って速く帰ろうと足を速めるのだった。