転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
殲滅も話し合いもその他の作業も終わり、宿屋に帰ってきた二人が見た光景は……
「……」
「お~、騎士様か。まぁここしか泊まるとこないもんな」
騎士団が宿屋で泊っている様子だった。
(リアの言う通りだ。行くぞ、リア」
「おう、手続きしませたらさっさと寝ような。疲れた」
勿論ただの一般人のような雰囲気で隠れているので誰にもバレないが、もしもの時のことを考え慎重に受付まで行く。
「すまい、ここで明日まで泊まる予定だった者だ。少し話があるのだがいいか?」
「はい何でしょうか?」
受付にいた女性に話しかけ、急な予定で明日には出ることになったと伝え、一日分の宿泊をキャンセルしたいと伝えるユウヤ。
「はい、分かりました。では手続きを……」
「わかった。あと、先に支払ったものはいい。迷惑料だ」
払い戻しを申し出られるが、迷惑をかけたからいらないと言いい、簡単な手続きをして部屋に戻る。
「いいのか?貯金が心ともないんだろ?」
「アルラウネから今回の件で金は貰ったからな。今後もこうやって稼いでいくつもりだ」
金が心ともなくないのか?と聞くリア。だがユウヤは何ら問題ないと答える。今回の件でアルラウネから報酬が出ていたからだ。それにあそこで手間取って問題が起きるよりかはマシだったと言うのもある。
「何話してたんだ?」
「ああ、次の迷宮と言うか、これから行く全ての迷宮でやり取りできるように話し合ってたんだ」
リアは暇つぶしと、自分がいたら質問して長引きそうだしと、だったら外で遊んでいた方がいいと決めていたのもある。だから外で色々と修行じみたことをしていたから聞いていなかったのだ。その間、ユウヤとアルラウネだけであのことについて話し合っていた。
「それはスゲェな」
「アルラウネのお陰だ。にしても、迷宮主があんなに簡単に話通していいのか?ってのは疑問だがな。少しは警戒してくると思っていた」
迷宮主は人類種と敵対関係にある場合が殆どだ。なので、いくら仲間の話とは言え、警戒心がなさすぎでは?と考えていた。それとも、俺たち程度裏切っても問題ないのかどちらかだ。
「そうなのか?オレたちはアルラウネと仲いいだろ?」
「いや、それはそうだが、他の迷宮主の事だ。紹介されたからって、じゃあ待ってるわ、みたいな反応だったらしい。やっぱ常識が違うんだろうな」
アルラウネとの関係は十数年かけて築きあげられたものだ。それに何度も助け助けられを経験した中でもある。だが他の迷宮主は違う。人間不信のユウヤにとっては、フランクすぎて信じられない行為でもある。
「らしい?」
「直接話すことはできなかった。そんな機能ないらしい。その代わり、アルラウネが代わりにやり取りしてくれたんだ。なんか薄い板みたいなのを使ってな」
当然の話なのだが、迷宮主同士で掲示板のようなものでやり取りしているので、迷宮主以外が利用する前提で作られていない。
「へ~やっぱ迷宮主はスゲェな。人類の先行ってるわ。人類がどこまでできるか知らねぇけど」
「ここ田舎だしな」
人類の技術力がどれほどのものかわからないが、迷宮は確実に人類のトップかそれを超えた力を持っているのだろう。星側に付く者たちとして当然なのかもしれないが。
「で、話通してくれたからって何かすることあるのか?迷宮で優遇してくれるとか?」
「それの事なんだが、各迷宮で困ってたりすることがあるらしい。それの手伝いをする代わりに報酬を用意するって。勿論それ以外でも仲良くしてくれるらしいが」
アルラウネを見ればわかるが、迷宮運営も一筋縄ではない。そのため問題も多々あり、それの解決の報酬として金銭などを用意してくれるそうだ。
「それはよかったな。で、へ~困ってることか。できる限りのことをはしてやらねぇとな。なんせここまでしてくれてんだから……」
「そうだな。可能な範囲は答えるつもりだ。あっちも人と関わったりすることはほぼないって言ってたから、大体は答えられるだろうな」
厄介事を避けているだけで、簡単な人助けや恩に答える誠意ぐらいはユウヤにもある。とは言え、自分たちの身が最優先だし、そもそも恩を売られる状況にそうそうならないわけだが。
「ま、それなら安心だな。っと、眠くなってきた。俺はもうそろそろ寝るわ」
「俺もそうするか。夜更かしは体に悪いからな」
そうして話を終えた二人は、早々に寝ることにしたのだった。