転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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移動中の遊び

 朝になり野営を終えた二人は、テントなどを片付けて町に向けて移動していた。

 

「な~兄貴、競争しようぜ。どっちが先に町に着くさ」

「昨日もやっただろ」

 

 移動距離が長く話の内容も尽きれば暇になるもので、昨日は途中はそうやって競争や追いかけっこで遊びながら進んでいた。きっとこれからもこうやって移動する機会が多くなるだろうと思っていたが、連続して言われるとは思わず、ユウヤは呆れた顔をした。

 

「楽しかったんだよ。それに移動速度は速くなるからいいだろ?」

「そうだが……まぁいいか」

 

 なんてことなく楽しかったからと言うリア。それを聞いて、ユウヤもやる気を出す。

 

「じゃあ、この石が地面に落ちたらスタートな」

「ああ、わかった」

 

 リアは少し先を行き、小石を拾い上に投げる。そして小石は真上に投げられ、リアの足元に落ちて……

 

 

「ハハハっ!今度こそは逃げ切ってやる!」

「やる気満々だな」

 

 リアは全力で駆け出し、風が切れ、近くの草木が揺れて、砂埃が舞いがある。それを見た後ユウヤは、静かに追いかけ始めた。

 

「全力で走るのは気持ちいな!」

 

 リアはそう言い、ひたすら道を駆け抜ける。流れるように景色が進み、その速度は高速を走る自動車レベルだ。これをユウヤに追い抜かされるまでひたすら繰り返す。

 

(でだ。兄貴の気配が希薄だ。一瞬でも気を逸らせば不意を突かれるかもしれない。どう逃げるか)

 

 ユウヤの気配を探りながら、冷静に考える。前回もそうやって捕まった。魔法の使用はしない約束だが、強化は別。じゃなきゃこんな速度でないし、一瞬の不意を突かれて普通に追い抜かされる事もない。

 

(現状は感知スレスレの位置で前後してる。速度は相変わらずの安定で、瞬間強化の予兆も見えない)

 

 背後を気にしながら、感知を張り巡らさせる。その精度は空間把握レベルの質だが、それでもユウヤの姿は曖昧だ。

 

 

(オレは色んな分野で兄貴に勝ったことがねぇが、隠密と感知に関しては特に差がある。感じ取れないってのは恐ろしいもんだな。何をされてるかッ!わからねぇぞ!」

 

「反応できんじゃねえか」

 

 ユウヤが一気に距離を詰め、追い抜こうとする。それにギリギリで気づき、リアも強化を強めて少し前に行く。

 

「ふうぅ、一気に……それになんで疲れてねぇんだ!」

「一瞬無理したぞ。見せてないだけだ」

 

 一気に数歩で追い抜かされるかもしれない距離を詰められ、必死なリアと余裕そうなユウヤはそう言いやった。

 

「長期戦は安定が重要だ。いつも言ってるだろ?」

「そ、そうだがよ!上手く行かねぇよ!」

 

 ユウヤは普通に雑談してくるが、リアには余裕がない。不意を突かれて息が乱れているのだ。

 

 

(このまま距離を取りつつ息を戻せば問題ない)

 

 

 だが雑に乱れる程慌てたわけじゃない。何時でも修正は可能だ。問題はそれだけの時間を、相手に悟らせないように、かつ相手に余裕を持たれないようにどう稼ぐかだ。

 

「なぁ兄貴!流石にこの距離だと、兄貴が何しようとしてるかわかるぜ!」

「そうか、なら対応して見ろ」

 

 距離が近づいた事で、リアはユウヤが何をしているのか認識できていた。それに合わせて強化を調整して、追い抜かされないようにしていく。

 

「な、んで!そんなに無茶苦茶な!」

「そう見えるだけだ。真似してみろ」

 

 そしてその無茶苦茶な力の流れにいつも驚かされる。リアは天性の天才肌だが、ユウヤはバケモノ具合にはついていけない。荒れ狂う力の流れを完全に制御している様子は、見た目とは真逆だろう。

 

「うぐぅっ!負けてたまるか!」

「頑張れ頑張れ」

 

 それでも負けないのがリアの意地だ。ギリギリのところで踏ん張り、息を切らしかける。当初の目的はこなせていないが、今手を抜けば簡単に追い抜かされるからだ。

 

「お前の力の流れ場緩やかでキレイだからな。このやり方は合ってないか」

「全部できる兄貴に言われても!」

 

 リアは安定して戦い続ける事は向いているが、急激な変化には弱い。これはこれでやりようはあるし、覚えているが、如何せん経験が少ない。

 

(やっぱ教え方間違えたかな?俺の出来る事 知ってる事は全部教えたんだが、全部知ってるし やった事があるだけになってる……ん?)

 

 そう考えながら競争をしていると、少し離れた先にある林の中に気配を感じ、リアに止まるように言うのだった。

 

 

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