転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
証拠隠滅も隠蔽工作も終えた二人は、案外近かった目的の町へと来て列に並んでいた。
「近いな。大丈夫かな?」
「気にしたって仕方がない」
走って来たとは言え、30分どころか15分もかからずに着いてしまったのだ。
二人の出てきた村は相当田舎で、この町からそれなりに離れていると聞いていたが、それは人や荷物を乗せた馬車の話だ。ユウヤがゆっくりしながら旅したいと言わなければ、二人にとっては数時間もかからずに移動可能な距離だ。
「無理なら無理だよな」
「そうだ。その時はさっさと次行けばいい」
隠蔽工作は結構うまく行っていた。村を潰して人工物はすべて、見えない所に捨てるか埋めてある。地形や木々を動かして違和感のないように調整もしてある。少なくともパッと見で判断する事はできないだろう。
そう言い合った後に、普通に町が楽しみだな~、みたいな話を続けてして、順番を待つ。そして自分たちの番が来て……
「身分証明書?」
普通に止められていた。
「そうだ。町に入りたければ身分証明書がいる。当然だろう」
理由は単純で、身分証明書がないからだ。
それは探索者組合やそれに類する組織に登録している商人や、町の者であれば誰でも持っているものだが、何処にも属していない二人はそんなもの持っていない。
「……それは持ってないな。それ以外で町に入るにはどうすればいい?」
「そんな事も知らないのか?どんな田舎から来たんだよ。……ちょっとこれに触れ」
そう言われ水晶玉を出して来た。
「これはなんだ?」
「犯罪歴がないか調べるものだ」
正確に言うと噓発見器の様なもので、触れている対象が嘘を吐くと赤く光るらしい。二人はその水晶玉を使い、門番からのいくつかの質問に答える。その他、契約書類を書かされたり、最低限の持ち物チェックをされと、地味に時間がかかっていた。
「これで大丈夫だ。仮証明書をなくさないように」
「わかった」
結果何事もなく審査は終わり、いくつかの説明後カードを渡され、いくらかの金を支払い町に入る事ができていた。
「どっかに所属するか住民票だったっけ?どうすんだ兄貴?」
「やらねぇよ。金と身の潔白があれば入れるんだから、それでいいだろ」
面倒な作業であることには変わりないが、裏を返せばその場限りなのでユウヤにとっては楽な事この上なかった。それに最大滞在期間は、一週間と丁度いい期間だ。
「まぁ縛られるのは好きじゃねぇし、それぐらいは仕方がないか」
「そうだそうだ。あと、なくさないようにな、また同じことする羽目になるぞ」
そんな会話をしながら手頃な宿屋を探していると、大通りの向こう側から騒がしい気配を感じた。
「何やってんだろな?」
「気にするほどじゃないだろ。そんな事より宿探すぞ」
リアが気になっている様子だったが、こういうのには突っ込まない方がいいとユウヤはサッと道を変える。そのまま、騒ぎのある場所に近づきすぎないように町を見て回り、しばらく歩いたところで手頃な宿を見つけた。
村で見た宿と同じくらいで、他の建物と比べると年季が入った感じの宿屋だ。
「いいのか兄貴?あっちにあった宿の方が大きくてしっかりしてそうだったのに?」
「あっちは探索者組合に近いからな。それにここは静かな場所でいい所だしな」
町の端の方の宿だが、静かに泊まれるならどこでもいいようだ。それにリアの言う方は、立地がいいためか結構な高そうと言うのも理由だろう。やりようはあるとはいえ、節約はしておいた方がいいだろう。
「良い所そうだな」
「そうだな」
宿に入り人がいる帳場に向かう。そのまま五日間の宿を取り、カギを貰い部屋に向かう。
「残りはこれだけか……」
「明日迷宮行くんだろ?それで全部解決するだろ」
いくら安い宿とは言え、流石に村よりかは高いようだ。残りの手持ちも心伴いが、当てはある。それが上手く行くことを願うだけだ。
「リア、俺は荷物整理するけどお前はどうする?」
「ん~、止めとく。疲れたしたまにはゆっくりするわ」
そうしてユウヤは荷物整理をし、リアは明日のために休むことにするのだった。