転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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森暮らしと魔法について

 あれから更に数時間移動し続けた結果、転生者はやっと集落を見つける事ができていた。だが転生者は集落に行くべきかどうか悩んでいた。

 

 理由はあの赤ん坊だ。

 もしあの赤ん坊の親がいる集落だったら、何か面倒な事になる可能性がある。どういう理由にせよ、親の手から離れてあんなところにいる時点で碌な事ではない筈だからだ。

 

 それに転生者は、あまり人との付き合いが得意ではない。

 

 そのことから導き出された結論は

 

 

「よし、取り敢えず場所は分かったから森の中に帰ろう」

 

 結果、転生者は森の中で暮らす事にした。

 それからは早かった。すぐさま森の奥深くに移動し、一夜を明かす。幸いながら魔物らしきものとは出会わず、おまけに小さいながら水源を見つける事ができていた。

 

「ホント、豊かで安全な森で良かった」

 

 ポツリとそんな言葉が口から洩れる。

 転生者が出会っていないだけで、ホントは危険な魔物がいるかもしれない。しかしそれならと、この隙に色々と準備するために早速動き出す。

 

「食糧や安全地帯の確保に、それの充実か。やる事が多いがどうにでもなるか」

 

 普通であれば子供一人でこんなことは不可能だ。しかし転生者には能力があり、更には覚えれば魔法なんてものもある。それを頼りにまずは魔法を習得しようとした。

 

「ん~難しい。大体はできるようになったけど、魔法がうまく行かない」

 

 暇さえあれば魔力操作をしていたかいあって、魔力を手足の様に動かせるようになった転生者だったが、やはり魔法までとはいかないのか苦戦していた。

 

「どうやるんだ?全くわからん」

 

 念じればいいのか、想像力が足りないのか、はたまた何かしら別の媒体が必要なのか、それとも魔力量が足りないのか?何をしても何となく違うとわかるだけである。

 

 そんな事を考えながら魔力を弄っていると、赤ん坊が急に泣きだした。

 

 

「っ、なんだ!?」

 

 驚きながら辺りを見渡すが、なにもいない。

 訳も分からず赤ん坊に近づくと、泣いている理由が何となくわかってしまう。そっと布を剥がし確かめてみると案の定それであった。

 

 そして転生者はもう一つの真実を知った。

 

 

「……こいつ、女だったのか」

 

 性別を気にしたわけでは無かったが、女だと知って少々怪訝な顔をする。そしてしばらく色々悩んだ後、まあどうにかなるだろ、と言う結論が出ていた。

 

「まあ基本は食って寝て動いてりゃどうにかなるだろうし、問題ができたらその時考えればいい」

 

 出ていたというより、ほっぽりだしたと言った方が良いだろう。わからないことを考えても無駄であるし、今はそれより生活の基盤を整える方が先であった。

 

 

「んな事より魔法の練習するか」

 

 片付けを終え、また魔法習得の練習を始める。それから時間が経ち、日が真上まで上がった頃、指先で弄っていた魔力が急に火になって燃え盛った。

 

「やッ!、熱ッ!!」

 

 反射的に手を払い火を消してしまう。出来た、が制御が甘いのかやり方が間違っているのか熱が伝わってきていた。

 

「まあいい、長時間かけてやったかいあったな。今ので大体の感覚が掴めた」

 

 再度指先に魔力を集め、火に変換していく。するとまた火が付いた。今度は熱くないようで、試しにと適当な木の葉に火を近づけ焦げるかどうか試す。するとライターで炙ったかのように焦げ燃え上がる。

 

「なるほど、ムダな事を考えすぎてたみたいだ。想像力による変換と操作か、意外に簡単だな」

 

 中途半端に知識があるせいで、遠回り空回りになっていたようだ。

 

 転生者の言う通りで、この世界においての魔法は大体は想像力である。火を起こすにも、風を起こすにも、想像力により魔力を操作し変換すればいいだけ。仕組みを知っていると色々なことが出来るが、逆にそちらに注力し過ぎてしまうとうまく行かない事が多々あるのだ。これは無意識に、火が出るという結果ではなく、火を作り出す仕組みを再現しようとして想像力などが追いつかずに破綻してしまうためである。

 

「ってことは空も飛べたり……はできないか。他の属性は……普通にできるな」

 

 何でもできるのは事実であるが、それは自身の影響力が周囲を上回っていた時の話だ。それは単純に魔力の量に左右される。

 

「それにしても効率が悪い。どうにかしないとな」

 

 魔力さえあれば何でもできてしまうが、不足分を補うたびにコストが増大するので、想像力の補強のための賢さや知識といったものも重要であった。とはいえそれは転生者の独壇場、前世の知識を生かした魔法を使えばどうにでもあるだろう。

 

 

「魔法で雨風しのげるものでも作ろうと思っていたんだがな。これは苦労しそうだ」

 

 何はともあれ現状の魔法は弱かった。疲れるほど頑張った風魔法は木の薄皮一枚傷つけるのが限界で、土魔法は手で掘るよりましな程度にしか機能しない。今使えるのは水魔法で服を洗ったり、風魔法でそれを乾かしたり、火魔法で焚き火をしたり、光魔法で懐中電灯くらいの明かりをつけたりすることしか出来ないのだ。

 

「拾ってきた棒とかで……いやこの際だから洞窟か洞穴でも見つけて土魔法で改造した方が修行にもなるだろ」

 

 大したことが出来ないことから、修行ついでだと拠点製作についてそう結論付ける転生者。

 

「さてそうと決まれば拠点探しだ。いいとこあると嬉しいんだが」

 

 そうして転生者は拠点作成にちょうどいい立地を求めて移動を開始するのであった。

 

 

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