転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~   作:バトルマニア(作者)

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 転生者が洞窟から出てきて、切り株の上に座り込む。

 

「ふ~、一週間ぐらいかかったが、この洞窟もちょうどよくなってきたな」

 

 あれから一週間が経っていた。その間に転生者は、目的の洞窟を見つけ、そこを改装しながら魔法の練習をしていた。

 

「そこそこ広いし近くで水も食料も手に入る。まぁ魔物のスライムも見かけるけど、概ね都合のいい場所だ」

 

 不思議なほど全てが揃っている環境に若干の違和感を感じたものの、都合がいいから別にいいかと放り投げる。

 

 

「にしてもこの一週間で色んなことがわかったな。一番驚いたことがスライムが食える事だが……」

 

 この一週間で、転生者は様々な事を発見していた。それは生活している内にわかった事である。

 

「あんまおいしくなかったが、スライムについて知れたからいいか。役に立つし」

 

 一つ目は、スライムは食料になる事だった。転生者が、倒したスライムを試しに食べてみたり調べたのが発見の経緯で、そこから能力を使い色々わかったのだ。それはスライムは栄養満点だがあまりおいしくないだとか、何でも食べるから生ごみの処理にちょうどいいとか、増えやすく放置するとヤバイだとかである。

 なお転生者は、スライムを飼う事によって有効利用している。

 

 

「あと魔力の増やし方がわかったのも大きいな」

 

 この世界での魔力の増やし方は何通りかあるが、一番手っ取り早いのは魔物を倒す事による基礎能力の強化で、次に魔力を限界まで使うたびに引きあがる超回復現象である。これにより毎日限界まで魔力を使っていた転生者の魔力量は、元が少なかったこともありたった一週間で倍にまで膨れ上がっていた。

 

 

「それに魔法や能力の方も色々試せたし使えるようにもなった。なにより亜空間に物をしまえるようになったことはデカいな。まぁ魔力量依存だが」

 

 魔法使いは何でもできるが、現実に沿ったものは使いさすさやコスパがよく、現実に反したものは使い勝手が悪くコスパも悪い。なぜなら現実にあるものは想像しやすく周囲の物を利用できるが、現実にない物は一から作り出さなければいけないからだ。これは当人の適性や周囲の環境で左右し、使いやすさがわかる。

 それに対し能力は、一つの性能に振り切れてしまった力だ。そのせいで他の力が使いらくなる事がある。例えるなら転生者は、万能という汎用性に特化した能力者だ。何でもでき、成長すればすべてが高水準になる代わりに、何かに特化することが出来なくなる。決して同格の特化型に追いつけないのだ。

 

 

「食料も確保できたし。米みたいなのがあるのは驚いたが……いやイネ科はそこそこあるからそうでもない?」

 

 見ず含め食料確保にも成功していた。見つけたのは、米もどき、何かの果物、川にいた魚、野草やキノコのようななにかである。一応能力を使い食べられるかを確認しているが、この感覚がどこまで役に立つかは転生者は知らない。一応料理したり新鮮なものを取れば問題ないようだが、これも手探りである。

 

 

「おっと、もうそろそろ昼飯時だな。赤ん坊が泣きだす前に飯でも作っとくか」

 

 昼飯時が近くなったのか、転生者はそう言いつつ魔法を駆使して作った簡素なキャンプセットのようなものが置かれている場所へと立つ。そして魔法で火をつけ、作っておいた石の鍋のようなもので何かを煮詰めだす。

 

「これをこうしてと……」

 

 刻んだ食材を放り込み、その後も前世で自炊をしていたのか、能力のお陰かスムーズに料理をする。

 

「できたな。味見を……ん、なかなかだ。調味料がない割にはうまくできたな」

 

 出来上がったのはお粥のようなものと焼き魚だった。調味料がない事以外は満足いく出来だったようで、わかりずらい笑みを見せて、赤ん坊のところに行く。

 

「飯の時間だぞ~てか変なとこ行くな。危なっかしんだから。探知にも限界があるんだぞ」

 

 変なことをしないか常に探知魔法で見張っているようだが、それにも限界があるようで苦情をこぼす。しかし赤ん坊はなにも分かっていないのかキョトンとした顔してから、ご飯を見て喜び出した。

 

「なんていうかな……まぁいいか」

 

 そうして起きて遊んでいた赤ん坊を引き寄せ、一緒に飯を食うのだった。

 

 

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