転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
さらに十年ほどが経ち、ユウヤたちの住んでいた森は、危険地帯へと変わっていた。
最初の三年程は、拠点近くに現れる魔物の数も種類も多くなった程度だったが、それ以降は数も強さも激増し、毎日魔物と戦う日々になっていた。
「兄貴!また来たぞ!!」
「ああ!今行く!!」
そう言って拠点から出て、周りを見渡す。そこには体長二から三メートルくらいの人型の魔物達がいた。
見た目は、顔が豚顔で、体は緑かかっており毛は生えておらず、ガッシリ体型の魔物だ。全員何かしらの武器らしきものを持っており、服なのか布なのかよく分からないものを着ているが、何体かはそれよりもマシなものを持っていたり着ている。
恐らくは上位個体か何かだと思われる。
「オークか、しかもこの数」
「十体はいる。新記録だな」
魔物の数に比例して森に入ってくる者達も増え、ユウヤたちはその人たちを遠めから観察していた。そこで分かったのが魔物の種類や名前だった。因みに言葉などは問題なく聞き取れ、会話や読み書きなどもできることがわかっていた。
「兄貴、たまにはデカいのやらせてくれよ」
「分かった。負けんなよ」
リアは闇を纏い木刀を構え、オークの方に向かって行く。ユウヤも取り巻きを倒す為に水魔法を使い、空中に長さ一センチ程度の針状の水、水針弾を複数に浮かべ、それをオーク達に放つ。
「相変わらずスゲー殺傷力だな」
その水針弾はオーク達の首や頭に当たり容易く貫く。そして一瞬にして即死したオークは、開いた小さな穴から血を垂れ流しながら力なく倒れた。
「あっちは……ま、すぐ終わるか」
余裕そうに立ち回るリアを見てそう思ったユウヤは、ふと自身の身体能力について考えた。
「成長したな、俺たち。身体能力は超人顔負けで、魔法も自由自在。リアは特に、闇魔法と剣術に特化してるからそっち方面じゃ……いや、なら尚更もっと頑張らなきゃな」
生活の為にひたすら戦い続け、今では二人とも超人レベルにまで成長していた。さらに能力や前世の知識を利用することにより、技術面でも隙は非常に少ない。そこに経験が加わり、この世界でも上位に入れるほどの高い実力を得ていたのだ。
「終わったぞって、また魔法で倒したのか兄貴」
「こっちの方が速いからな。……それにしても、木刀で首を斬り裂くって、お前も強くなったな」
リアの倒したオークの死体を見てみると、どうやら足や横腹など急所を斬ってバランスを崩させてから、首を斬り裂いて倒したらしい。
「取り敢えず魔石を取ろう」
そう言いユウヤ達は魔物を解体し始める。目的は魔石であり、魔石とは魔物の中にある魔素などの籠った石の事だ。ユウヤたちは何に使うのかは分からないようだが、森に入ってきた人達が回収してくのを確認しているので、もしかしたら資金源になるのでは?と思って集めているのだ。
「そういやリア、随分と魔法の精度上がったな」
「毎日練習してるからな。実戦もつめてるし。でもまだまだ、兄貴には勝てないよ」
リアも随分強くなったが、それでもユウヤに敵わない。事実あれから一度も模擬戦で負けたことがなかった。理由はいくつかあるが、一番は経験の差であり、現状のリアでは近づけても追い越せないのだ。
「そんな事より兄貴、最近魔物が出てくるの多くない?」
「確かにな」
リアの言う通りで、最近拠点に来る魔物の数が多い。どうやら魔物が増え過ぎて、ユウヤたちの拠点に押し寄せてきているようだ。
「一度辺り一帯の魔物を殲滅しようよ」
「そうだな。以前の様にうまく行けばいいんだが……」
魔物が多くなることは定期的にあるので、二人はその度に大規模な殲滅を行っていた。しかし今回は以前よりも数も質も高く、少々心配なようだ。
「大丈夫だって、いざとなったら逃げるって、そう教えてくれただろ?」
「ああ、そうだったな。ま、無理はしないように。じゃ準備でもするか」
そう思いユウヤ達は、森にいる魔物を殲滅する為に準備をするのだった。