転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
ユウヤたちが殲滅を始めて数日が経っていた。
「以前に比べて随分と多いな。一度準備しなおす羽目になるとは……」
始めは軽く拠点周りの魔物を倒して行ったようが、思った以上に数が多くリアと二手に分かれて事を進めることにしたようだ。その後も魔物の数は森の奥に行けば行くほど多く強くなり、ユウヤたちの進行を妨げたため、一旦拠点に戻り再度準備を整え、拠点に結界を張って出直す羽目になっていた。
だが準備のかいもありその後の殲滅は順調よく進み、あらかた片付け終わり周囲を確認するユウヤ。
「こんなもんか。さてリアを呼びに……」
「あ、兄貴!!」
「ん?なんだリ……ハ?」
そう叫んでこっちに走ってくるリアの方を見て、ユウヤは一瞬何が起こっているのか理解できなかった。
リアの後方には巨大な球根型の植物がリアを追ってこちらに向かってきていたのだ。だが意外にも体の方はすんなりと動き、流れるように水魔法で水針弾を生成させ、植物に放った。
「チッ!効かねえか」
水針弾は植物の体を貫きはしたものの、複数開いた穴をすぐさま再生させる。そこで反撃と言わんばかりに蔓をリアに伸ばすが、ユウヤは即座に水刃ですべて撃ち落とす。
「めんどくせぇ。なんだよあのふざけた再生能力は」
「だよな。斬っても斬っても元通り、オマケに兄貴の水針弾も効かないのかよ」
急所を打ち抜くことに特化した水針弾や斬撃ではあの巨大植物は倒せない。
「急所の魔石を狙うにもあれだけデカけりゃな」
「見つけ出せても届かないね」
だが植物もユウヤを警戒してか、隙を伺うだけで攻撃はしてこなかった。
「魔法でド派手に……をするにも隙がな」
「わかった、じゃなんとかするわ!」
しかしこの膠着状態がいつまで続くか分からないと二人は打って出る。
まずは武器も含め全身に闇を纏わせたリアが先陣を切り植物に斬りかかった。それを払いのけようと蔓をしならせる植物だったが、闇を掠めるだけでリアには当たらず距離を詰められ斬り裂かれる。
「させねえよ」
地面からの攻撃をしようと根っこを使おうとする植物。しかしユウヤに地面を固められ動きを封じられ、逆に地面から生えてきた剣山に串刺しにされる。
「リア離れろ!一気にやるぞ!」
「わかった!」
盛大に斬りまくっていたリアが大きな斬撃を放つとともに距離を取り、次の瞬間には植物は炎に包まれた。
「内部から焼き尽くしてやりゃどうにかなるだろ」
「おお!どうやってんだ兄貴!あんなのオレじゃできないぞ!」
抵抗むなしく燃え上がる植物を見ながら、興奮気味にそう尋ねるリア。とはいえ隙があるわけでは無く気も抜いていないかを確認したユウヤは説明をしだす。
「確かに何かに被さって魔法は使えないし、生物であるならなおさらだ。できたとしても、特殊能力とか明らかな格上でもなきゃできないだろうな」
「あいつ弱くないぞ。耐性も再生能力も高いぐらいだ」
何をするにも存在する影響力を上回るか、隙間に入り込むかしなければいけない。簡単にはねのけられるもの、上回れるものならいいが、明確な実体がある物体や意図的に抵抗妨害してくるものは基本的に手出しできないものだ。
「じゃあそいつに干渉しなきゃいいだけだ。特殊能力とかじゃなくて、間接的にぶつけれればいい」
「そうか!発生や操作には影響するけど、その後は関係なくなるのか!」
ユウヤのしたことは簡単で、串出した後に剣山の一本一本の中にひたすら炎熱を発生させ続けているだけだ。対象は術者の扱う剣山には手出しが出来ず、炎熱の発生を止められない。そして漏れ出た炎熱が植物を燃え上がらせているのだ。
「魔法に魔法を重ね掛けするなんてスゲーな!俺もできるかな?」
「考え方とか発想と、それを実現できるだけの魔力があるかだな」
発想と賢さ、そしてそれに見合うだけの魔力があれば何でもできるのが魔法だ。それらが揃えば揃うほど使い勝手がよくなり、逆に言えばなければ使い勝手の悪いものになってしまう。
「お前はやんなよ。なんせさえ闇魔法以外はお世辞にもうまいとは言えないし、俺だって今回はお前が引き付けてくれなかったらもっと手こずってただろうしな」
「兄貴みたいな複数魔法の精密操作なんてできないからな。闇魔法一つで精いっぱいだ」
そんなことを話しているうちに植物は燃え尽き、大きな魔石だけがその場に残る。それをみて嬉しそうに取りに行き拾い上げるユウヤ。
「過去一番の大きさだな。色も濃くて鮮やか、こりゃ大金になるかもな」
「おお!これで資金面はどうにかなりそうだな。年齢的にも大人になった。この森を出て旅をする日も近くなったな」
リアとともに喜びを分かち合いながら今後の話に花を咲かせる。そしてその場を去ろうとしたその時だった。
「ちょっと待ってくれるかしら?あなたたち」
背後から声が聞こえ、即座に臨戦態勢を取るのであった。