転生者の放浪記~人間不信の異世界観光~ 作:バトルマニア(作者)
誰かに呼び止められ、急いでその方向を見た二人の先にいたのは……
「魔物?」
「アルラウネか?」
人型の植物魔物であるアルラウネがいた。
「そうよ。ここは私の迷宮で、その主でもあるわ。今回引き留めたのは、あなたたちに礼が言いたかったからよ」
「まるほど、通りで森が豊かなわけだ」
リアは話を聞くだけにして、ユウヤがアルラウネとの会話を続ける。
「で、礼ってのはなんだ?なんかくれんのか?」
「それもいいわね。そうしましょう。それで礼ってのは、この森の魔物たちを倒してくれたことよ」
それを聞いて不思議そうな顔をする二人。
「魔物を倒した事?」
「そう、迷宮は基本、自身で生み出した魔物と迷宮内で生まれた魔物しか配下にできないの。だから外から入ってきた魔物の処理に困ってたのよ。特に地上の自然に隣接してる迷宮は侵入が容易だからね」
簡単な説明に納得したようだ。
「なるほど、要は制御できなくなったと」
「まぁそういう事ね。私は争いごとは得意でなくてね。出来たらひっそりと暮らしてたいぐらいなの。今回あなたたちのおかげでだいぶ準備が整ったから、それのお礼もかねて奮発させてもらうわ」
そう言いアルラウネは、何が欲しいかを二人に問いかける。そして少し考えた後にユウヤは欲しい物をこたえ始めた。
「服とか生活に必要な便利道具が一式ほしい」
「それだけでいいの?武器とか防具とかは?」
ユウヤが欲しがったのは生活用具だった。
「別にいい。あと金とかもあればうれしいな」
「わかったわ。じゃあ特注のを作ってあげる」
特に衣類に関しては必要不可欠に思っているらしく、戦闘道具などよりそちらを優先していた。なぜならユウヤたちが着ている衣類は、お世辞にも良い物どころか普通にすら届いていなかったからだ。
そうしてユウヤとアルラウネは、細かいことを詰めるために話し合いを始め、暇になったリアは素振りや魔法の特訓をし始めていた。
「そういや魔石ってエネルギー源になるんだったか?」
「ええ、吸収できれば結構入るんだけど、吸収するのに時間がかかるから毎回先にとられちゃうけどね」
迷宮はあらゆるものを吸収する。それは自然物、人工物問わずであり、特に効率がいいのは生物から漏れ出たものだったり、その死体だったりだ。その中でも取り込みやすいものとそうでないものが分けられ、魔石は後者に分類される。
「じゃ、今それ渡したらもっとまけてくれるか?」
「え?まぁ別にいいけど、あなたまさか……」
驚いた顔をするアルラウネを他所に、ユウヤは亜空間から大量の魔石を取り出し始めた。それは今までために貯めたものであり、固まったアルラウネの前に巨大な山を作っていく。
「え?うそ……なにこの量?それに質のいいのもそれなりに混ざって……え?属性石?こんな……」
「属性石?そんなんも入ってるのか。まあ燃料になりそうなやつはあらかた出したな。これぐらいでどうだ?」
戸惑いながらも目を輝かせているアルラウネは、なんども魔石の山とユウヤの顔を見返しながら
「ちょっと数日待ってくれない?最高級品を用意するから」
「まぁそれぐらいならいいが……」
自信満々にそう申し出たアルラウネに、押され気味に了承するユウヤだった。